【シゴトを知ろう】ハーバリスト ~番外編~
メイン
テーマ
英国認定メディカルハーバリストとしての知識と経験を生かし、さまざまな講座を行っている菅原麻貴さん。これまでハーブを知らなかった人にも分かりやすくハーブの魅力を伝えるため、講座ではいろいろな工夫をしているそうです。ハーバリストとして活動していたイギリス時代のお話もあわせて伺いました。
この記事をまとめると
- ハーブティーを飲むことなどで普段から身近にハーブを取り入れている
- 見るだけでなく体感することでよりハーブを理解しやすくなる
- ハーブのアドバイスや処方について学ぶなら海外で勉強を
実際にハーブに触れることで、講座での理解をさらに深める
――講座で心掛けていることはありますか?
言葉でお伝えするだけでなく、できるだけビジュアルでお見せするようにしています。ハーブには似た名前のものも多いですし、そもそもカタカナの名前は少し覚えづらいものです。講座では写真を見ながら、ハーブの色や形などもあわせて理解できるように心掛けています。例えば、ハーブを栽培しているハーバリストと共にハーブ講座を行っているのですが、実在のハーブを見てもらうことでよりハーブを理解し楽しんで学んでいただいているように思えます。
また講座では、その日にお伝えするハーブを全て試飲して体感してもらいます。一つ一つのハーブの味や香り、体の反応などを経験しているのとでは、得られるものが全く違います。「お腹の中を柔らかく包み込まれる感じ」「肩の力が抜けた気がする」など、飲んだ時の感想も人それぞれ。体感することでよりハーブを理解しやすくなりますし、味を知っていれば自分でブレンドする時にも役立ちます。
――日常生活の中ではハーブをどのように取り入れていますか?
ハーブティーを飲むのはほぼ毎日の習慣になっています。その日の気持ちや好みの味に合わせてハーブをブレンドしたりして日々のハーブティを楽しんでいます。また、フェイスクリームなど自分に合ったものを作って使用することもあります。
健康食品店やクリニックでハーブのアドバイスを行ったイギリス時代
――イギリスではどのような活動をされていたのですか?
大学在学中から4年間、大手の健康食品店でハーブやフラワーレメディ、サプリメントなどのアドバイスをしていました。
メディカルハーバリストの資格取得後は、独立して自分でお客さんを探さなければなりません。ハーブショップやクリニックの場所を借りることはできても顧客や患者さんの紹介を受けられる訳ではないので、初めのうちはとても大変でした。リフレクソロジーの資格も取って、ハーブのアドバイスのほかマッサージも行っていました。
――イギリスから日本に帰国されてギャップを感じた点はありますか?
海外に比べ日本の方はとても勉強熱心。海外から講座に招いたハーバリストが「皆こんなに熱心に授業を聞くなんて」と驚いていたこともありました。イギリスでは薬局やスーパーなどにもハーブが置かれていますが、「ハーブ療法」については意外と知られていないんです。日本で講座を行っていると、皆さんの学ぶ姿勢とハーブに対する関心の高さを強く感じます。
海外に出る前にまず日本を知り、コミュニケーション力を高めてほしい
――ハーバリストを目指すなら海外で勉強した方がいいのでしょうか?
日本国内でもハーブの勉強はできますが、ハーブの処方の仕方を学ぶことはできません。ハーブを用いたカウンセリングや処方について勉強したいと考えるなら、やはりイギリスなどで勉強をされた方が良いかと思います。イギリスの場合は、英国メディカルハーバリスト協会(The National Institute of Medical Herbalists)の認定コースで学ぶことになります。その他オーストラリアやニュージーランド、アメリカなどでもハーブを勉強できると思いますが、認定組織や資格制度は国によって異なるかもしれません。
ただ、資格を取得後日本に帰国される場合は法律がイギリスと日本では異なるため、メディカルハーバリストとしてイギリスで行えたことが日本では行えなくなることがあるので、海外で資格を取得される場合はその部分もよく考えられた方が良いかと思います。
いずれにしても英語力は必須です。文法だけでなく、英語をコミュニケーションツールとして使いこなせる力が必要になると思います。また海外で暮らしていると、日本のことを聞かれる機会が多くなります。私もイギリスにいた頃、日本について尋ねられてうまく答えられず、恥ずかしい思いをしたことがありました。高校生の皆さんも、海外で勉強するならまず自分の国のことを知っておいてほしいと思います。外国人観光客の方などに英語で話しかけてみるのもいいかもしれませんね。多少文法は間違っていたとして伝えたい」という気持ちがあれば、コミュニケーションの輪が広がると思います。
菅原さんが主催する講座では講義形式のコースだけでなく、ハーブが栽培されている様子を見たり試飲をしたりと、さまざまな体験型のプログラムが用意されています。高校生の受講もOKとのことなので、ハーブに興味がある人は一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。
【profile】Meeting Trees代表 英国認定メディカルハーバリスト 菅原麻貴
http://www.meetingtrees-herbs.com
この記事のテーマ
「エステ・ネイル・リラクゼーション」を解説
ネイルアーティストやエステティシャンなど、美容のスペシャリストを育成したり、アロマセラピストやマッサージ師のように身体のもみほぐしや香りでの癒しに関わる知識と技術を身につけます。あわせて学校では、職業に応じた専門技術と接客能力を磨きますが、新しい技術やトレンドに対応するため、自ら学び続ける好奇心やセンスが求められます。
この記事で取り上げた
「ハーバリスト」
はこんな仕事です
ハーバリストとは、ハーブ(香草、薬草)の効用を生かして、有用で安全な利用ができる知識を教えたり、使い方などを指導する専門家、また、そのような職業をいう。時にはハーブコーディネーターやハーブセラピストという呼ばれ方もする。仕事内容としては、ハーバルセラピーの知識を有し、個々のライフスタイル、健康状態、体質傾向などを把握した上で、カウンセリングや、日常生活に取り入れて行う心の癒やし方、楽しみ方などの提案やアドバイスを行う。ただし、日本国内においてハーブの処方を医療目的で行うことは法律で禁じられている。