【シゴトを知ろう】ルポライター ~番外編~

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【シゴトを知ろう】ルポライター ~番外編~

2017.12.21

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】ルポライター ~番外編~

「【シゴトを知ろう】ルポライター編」では、ルポライターの井上さんに、取材の進め方や仕事に向いている資質などについて伺いました。
番外編ではルポライターの知られざる仕事の裏側について、さらに伺いました。

この記事をまとめると

  • 本の出版にあたっては企画の発案・取材執筆・校正といった多くの作業が伴う
  • 心ある編集者の存在が大きな支え。編集者のサポートが作品の質を高める
  • 事実を広く世の中に紹介するのが仕事。どう理解するかは読者に委ねたい

一冊のルポルタージュ作品が出版されるまでには長い時間と多くの労力がかかっている

――作品の企画から出版までの一連の流れについて教えてください。
 
編集者と企画について話し合うところからスタートします。私の場合、こちらから企画を投げかけること8割、出版社から特定のテーマについてオファーをいただくこと2割といった感じでしょうか。編集者と一緒に食事をしながら、いろいろなアイデアについてディスカッションすることもあります。

もちろん、書き手の企画と出版社の意向とが合致しなければ先には進みませんので、採用されず消えて行く企画がほとんどです。企画が20があったら19はボツ、といった世界です。

企画が採用されたら、現場リサーチ・取材といった作業を進めつつ、編集者とコミュニケーションを取りながら、企画内容をより綿密に練り上げていきます。

あくまで私の場合ですが、取材をする中で新たな発見や事実を踏まえつつ常に内容が変化していきますので、取材を8割方終えたくらいの段になってから、本の構成を考え始めます。時には出版社からあらかじめ構成の提示があり、それに沿った形で進めてほしいという依頼もありますが、取材もせず予定調和的に狙いどおりにまとめようとしても、どこかで現実との齟齬(そご)が生じてしまうものです。結局、事前の構成は参考程度にしかなりませんね。

原稿を書き上げてからも、担当編集者による多方面からのチェックや指摘が入り、何度も意見交換や校正(原稿の不備を修正すること)を重ねます。『さいごの色街 飛田』では7稿(7回目の原稿提出)までやり取りし、校了(校正作業が完了すること)までには約10カ月かかりました。

こうした作業を経て本が発売されるわけですが、本は発売して終わりではなく、売れなければ悲しいです。なんとかして読んでもらいたいという思いで、売るための販促活動も最大限行います。書店まわり・サイン本作り・講演も依頼があればどこへでも行きます。業界では、発売後の3カ月間が勝負と言われています。
 
 
―― 一冊の本が生まれるまでには、多くの作業や労力が必要とされるのですね。一つの作品の取材や執筆にはどのくらいの時間がかかるのですか?

どれくらいの時間がかかるかは、本当に作品次第で一概にはいえません。

第一、ルポをする対象である場所・人・事については取材後も存在し続ける訳ですから、どこで取材の区切りをつけるかは、書き手の判断次第です。

『さいごの色街 飛田』の執筆時は、脱稿する(原稿を書き終えること)にあたって、私自身の拠点を大阪から東京に移しました。転居の理由は一つではありませんが、飛田(大阪)の近くに住んでいるとつい取材に行ってしまうため、終わりがない。こうした状況を断ち切り、一旦取材対象から物理的な距離を置き、ともかく最後まで書き上げたいと考えたことが、大きな理由の一つです。


――取材を通してさまざまな人との関わりも生まれると思いますが、人間関係もライターとして一旦断ち切る必要があったということですか?

人間関係を断ち切ったりはしません。今でも続いています。ですが、取材対象者と密接になりすぎることによる弊害はあると思います。あまりに友好的な関係になりすぎると筆が鈍る、ブレが生じるといったことはやはりあります。

編集者は大きな存在。二人三脚で仕事を進める

――本を作るにあたって編集者とはどのような関係性で仕事を進めていくのですか?

ルポルタージュの編集者は多方面に物知りで、私たち書き手と同じように取材対象に興味を持ちながらも客観的に物事をとらえられる人が多いと思います。私は恵まれていると思うのですが、これまでに付き合った担当編集者は尊敬できる人たちばかりでしたし、今もそうです。

編集者の存在は本当に大きくて、いろいろ指摘されますが、彼らがくれた的確なアドバイスのおかげで、読者に「読ませる」文章に高めてもらっていると思います。育ててもらっているなあといつも感じています。


――編集者との良好な関係を築くことでルポライターはより良い作品を作り出していけるのですね。

お世話になっている編集者との関係は、とても大切にしています。飲みの席も絶対断りません。フットワーク軽く、どこにでも出かけて行きますよ。ライターは出版社にとっては一次製作者であり、本という商品を生み出す源なわけですから、いろいろな情報もくださる。ありがたいなと思っています。

でも、同業者の中には取材執筆が最優先で、そんなことに時間を割くのはもったいないという考えの人もいますから、人によると思います。


――井上さんの作品に登場する人々は、地に足つけてたくましく生きている生活者が多いですね。取材対象者や取り上げるテーマについての考えをお聞かせください。

なぜかそういう人たちに関心が向きますね。私は政治にも疎いし、天下国家を論じるといった資質は持ち合わせていません。身の回りの関心事・仕事の中から「あ、これをもっと聞きたい」と思う。そんな思いつきが企画の出発点です。


――多種多様な人たちから話を引き出すのはさぞ難しいことだろうと思います。インタビューするコツなどはありますか?

それが我々の仕事ですから。口の重い人の口をいかに開かせ、対話を通じて被取材者自身が忘れていたようなことを引き出せるかが仕事だと思っています。良い取材にするために、いろいろな工夫はしますが、これという決まったやり方があるわけではありません。

ただ、顔色や仕草を見ること、その人の語っている言葉の裏側に思いを馳せて話を聞くことを心掛けています。また、いつもちょっと疑いながら話を聞くようにしています。

私は「疑い方が甘い」とよく指摘されるんです。先方の言葉をとりあえずすっと受け取ってしまいます。でもそれは、信じ込むということではなくて、「こういう事実があるじゃないですか」と切り返して相手を追い込んでいく事がいいとは思わないからです。しばらく泳がせて、頃合いを見計らって別の言い方をして反応をみる。そういった相手の言葉を引き出す手法を意識しながら用いています。

取材の中で「その人が話した言葉」は紛れもない事実だけれど、「話した言葉の内容」が事実であるかどうかは別の問題です。

また、同じ質問でも、答える相手・時期・環境などによって話す内容が異なることがあります。そして、それらは嘘でも間違いでもありません。つまり話してもらう内容は全容ではなく、一部だということです。そういうことを常に考えながら聞いていくことが大事だという気持ちに、長年この仕事を続けてきてようやくなってきたように思います。

好奇心がベース。内容をどう理解するかは読者に委ねたい

――井上さんが、ルポルタージュという形態にこだわる理由は何でしょうか?

なぜでしょうね……。同業者の中には、ルポとフィクションのどちらもやっている人や、特定の分野の研究者になっていく人もいますが、私は無理。そんな能力はありません。

ベースにあるのが、使命感ではなくて好奇心なんですね。私が面白いと思った人や出来事のありのままの姿を伝えることが私の仕事で、それをどう理解するかは読者に委ねます。
ライターの仕事を続ける中で、女性・旅・人権といった分野とのご縁ができました。そこから派生的に生まれた個々のテーマに向き合いたいと思っています。


――現在取り組まれている企画についてお聞かせください。

現在、2つの企画を同時進行で進めています。一つは、女性週刊誌に連載した「お墓、どうしますか?」という、現代のお墓のありようとそれを取り巻く人間模様を追いかけた企画を深めるべく追加取材をしています。もう一つは書き下ろしの企画で「山谷(東京都・台東区にある日雇い労働者が多く住む町。俗にドヤ街とも言われる)」のルポです。器用とはいえない生き方をしている中高年の男性を中心に取材しました。どちらも2017年中の脱稿を目標にラストスパート中です。



「自分の考えを押し付けたいとは思いません」という井上さん。それでいて、井上さんの著作からは、井上さんご自身の印象と同様に、はっとさせられる深い気付きと、人に対する温かいまなざしがあることが感じられました。

一言で書く仕事といっても、いろいろな形態があります。書く仕事に興味のある人は、書くということのどういった部分が好きで、書くことを通じて自分が何をしたいのかということをぜひ考えてみましょう。
  
 
【profile】ルポライター 井上理津子 
井上理津子 http://inoueritsuko.com/

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

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この記事で取り上げた
「ルポライター」
はこんな仕事です

ルポルタージュとは第一次大戦後に発生した報告記事で、作為を加えず社会事象や社会現象、事件をできるだけ客観的に叙述すること。記録文学、報道文学、ノンフィクションなどとも呼ばれ、その書き手がルポライターだ。実際に現場を取材して歩き、ありのままを報告することが任務とされる。主に出版社や新聞社から依頼されるほか、自分でテーマを決めて取材して文章を書き上げ、自ら売り込むこともある。社会に対する鋭い洞察力や広い視野、問題意識と、好奇心を持って臨まなくてはならない。

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