【シゴトを知ろう】山小屋経営 編

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【シゴトを知ろう】山小屋経営 編

2017.10.20

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】山小屋経営 編

登山とひと言にいっても、山頂を目指してひたすら歩くばかりではなく山中で寝泊まりすることもあります。その際、休むスペースを提供する山小屋。今回は赤岳鉱泉・行者小屋を経営する柳沢太貴さんに山小屋経営の仕事について伺いました。

この記事をまとめると

  • 経営は世襲制が多いが、家業でなくても携わる方法はある
  • 前職のレース活動中に学んだ交渉術が山小屋経営にも役立っている
  • 多くの人と交流し、生活を共にするため集団生活に馴染める人が向いている

スタッフと24時間、生活を共に過ごす

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
私は八ヶ岳の中腹で「赤岳鉱泉」と「行者小屋」という2つの山小屋を経営しています。山小屋とは、登山者が休憩したり宿泊したりするための山中にある宿泊施設です。冬季は山によって入山規制がかかり営業していない場合がありますが、八ヶ岳は年間を通して登山できるため赤岳鉱泉は年中無休で営業しています。

私は3代目である父から経営を引き継ぎました。山小屋はこのように世襲で受け継がれる形が主なので、山小屋経営を目指す方はまずは「小屋番」と呼ばれる、20〜30日間住み込みで働く山小屋スタッフの一員として働いてみるといいかもしれません。山小屋では山が好きな人や世界中を旅した人など、個性豊かな人たちと24時間、衣食住を共にします。山好きでなくても、登山経験がなくても自然が好きで働いて居る方がたくさんいますので、自然に興味がある方は楽しめる環境だと思います。

山小屋での主な仕事は接客や調理、掃除、小屋と登山道の修繕です。男性スタッフは物資を山小屋まで人力で届ける「歩荷(ぼっか)」の役割を担ったり、ときには遭難救助をしたりするときもありますね。経営者としては、お金の管理や備品・食材の発注も行っています。また、小屋番には特別な指導をしているわけではありませんが、「お客様がまた八ヶ岳に来てくれるように、気持ち良く過ごしてもらおう」と声掛けをしています。

<一日のスケジュール>
04:50 起床
05:00 お客様の朝食準備
06:00 お客様へ朝食提供
07:00 朝食
08:00 館内清掃
09:30 休憩
14:00 売店・夕食準備
18:00 お客様へ夕食提供
19:30 夕食
21:00 消灯、自由時間、就寝
 
 
Q2. 山小屋経営の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
一年を通してたくさんの登山者の方が訪れることです。登山初心者の方や上級者、年齢層は20代前半から80代までさまざまなお客様が訪れ、中には人生経験が豊富な方もいます。そんな方と出会い、お話を聞くと視野が広がります。

また、山という大自然の中に住んでいますので四季の移り変わりを間近で見て、体感できる素晴らしい仕事だと思います。

そして何よりも、お客様に「山小屋の食事がおいしくて快適に過ごせた」「また登りに来るよ、ありがとう!」と感謝の言葉をいただくとやりがいを感じますし、うれしくなりますね。
 
 
Q3. 山小屋経営で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
山小屋は自然を相手にする仕事です。晴れていれば美しい景観を楽しめますが、悪天候になれば人間に牙をむき、死に追い込まれる危険もあります。それに豪雨や雪によって登山道や山小屋、山小屋の電気をまかなう水力発電所が破損するケースもあります。通常のホテルのように専門業者に来てもらって修繕や復旧を依頼できる環境ではないため、私たちが修繕を行う必要があるので苦労しますね。

また、山で事故に巻き込まれたりけがをしたりした登山者の人命救助に向かうときもあります。人の命がかかっている極限の状態の中で的確な判断力、危険予知の感覚、強靭な肉体が求められる、一番大変な仕事です。

自然の脅威を前にすると、人間はなす術がなく無力だと実感します。そのため、「自然の中では常に謙虚でいなければ」と考え、慎重に仕事に取り組んでいます。
 
 

レーサーとして身に付けた技術が山小屋の仕事につながっている

Q4. どのようなきっかけ・経緯で山小屋経営の仕事に就きましたか?
 
6歳のころ、テレビで見たF1(世界最高峰のモータースポーツ大会)に憧れてレーシングカートというスポーツを始めました。高校はレース活動が行いやすい環境で過ごしたかったので、大会出場による欠席を公欠として扱う航空学校に進学。高校1年生のころには航空力学を学び、2、3年生のころは3級自動車整備資格を取得するために勉強していました。卒業後は航空の専門学校へ通う一方で、全日本選手権に参戦し、ICAクラス(大会のカテゴリー)年間ランキング4位を獲得しました。しかしその年にスポンサー契約が終結し、最愛の母が病気で他界したこともありカートを降りると決意しました。

その後、忙しそうに働く父の姿を見て山小屋で働く道を選んだのです。幼少のころから山小屋で接客や清掃の手伝いはしていたのですが、そのころは「お手伝い」という感覚でした。しかし改めて山小屋で働き出してからは、責任感を持つようになりました。
 
 
Q5.専門学校では何を学びましたか?
 
高校と専門学校で自動車の整備技術について学びました。今その知識は山小屋の発電機のメンテナンスの際に役立っています。

また、レース活動中に培ったコミュニケーション能力やスポンサーを獲得するための交渉力も経営の仕事につながっています。山小屋でイベントを行う機会があるのですが、その際も企業の方に資金面を支えてもらったり、物を提供してもらったりする必要があるのです。物事をお願いするには順序立てて説明しなければ協力してもらえません。ときには失敗から学んだ交渉術は経営の仕事に生きています。

加えて、運転技術も山小屋の仕事に役立ちます。冬季は車を使って物資を輸送するのですが、地面が凍結したり雪が積もったりする林道を走るためには高度な運転技術が求められるのです。
 
 
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、山小屋経営につながっていると感じることはありますか?
 
高校生のころはレーシングドライバーになるために、全てをかけてレース活動に打ち込んでいました。レースがない時期は山小屋の手伝いをしていましたが、正直嫌々でしたね(笑)。こうして山小屋で働いているのは、自分でも意外だと感じます。人間は年齢を重ねると考え方が変わるのかもしれません。
 
 

山小屋の経営が家業でなくても、経営者になるチャンスはある

Q7. どういう人が山小屋経営に向いていると思いますか?
 
元気があって、どんなことにもやる気を持って取り組める人が向いています。また、旅と自然が好きな人だと山小屋の生活を楽しめると思います。しかし、山や自然の中で生活することが好きではなくても、人とのコミュニケーションを好み、集団生活に馴染める人であれば問題ありません。
 
 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
将来、山小屋経営に携わる可能性としては、廃業するかもしれない山小屋の経営を受け継ぐか、市町村が所有する山小屋の管理人になるという方法があります。また、調理が得意だとチャンスが広がるかもしれないですね。

山小屋は大自然の中で季節の移り変わりを感じられます。そして何より数え切れないほどの素晴らしい人たちと出会える仕事です。先ほどもお話したように、興味がある方はまずは小屋番として働いてみてはいかがでしょうか。
 
 
モータースポーツと山小屋は一見関連無さそうに見えますが、身に付いた技術が役立つ機会も多いとは意外ですね。皆さんも、今取り組んでいることをとことん追求して学べば進路選択のヒントになるだけではなく、将来働き出してから思いもよらない形で知識や技術が役立つかもしれませんよ。
 
 
【profile】赤岳鉱泉・行者小屋 柳沢太貴

この記事のテーマ
環境・自然・バイオ」を解説

エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。

「環境・自然・バイオ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「山小屋経営」
はこんな仕事です

登山者が休憩したり宿泊したりするための施設を管理・経営する仕事。一般のホテルや旅館と大きく異なるのは、雪崩や噴火などの登山者に関わる事故が生じた際に避難所としての役割を果たす必要があることと、登山者の遭難が発生した場合は捜索に参加することもあるという点である。今から新たな山小屋を建設して経営することは難しいともいわれており、アルバイトなどで経験を積んだ上で、売却予定物件を購入する方法が現実的な路線といえる。

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