本の貸出がラクラクに!? 図書館で増えている自動貸出機って何?

図書館で本を借りるときに、本に貼られたバーコードを貸出カウンターの人がピッと読み込む。図書館ではおなじみの風景です。しかし最近では、自動で本を借りることができる図書館が増えているといいます。一体どんな仕組みなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 図書館内ではさまざまな設備でIT化が進められ、利便性が向上している
- 地域資料などはデジタル化され、Web上で見ることができるものもある
- 情報工学は、コンピューターを使ってより便利さや暮らしやすさを考えていく側面がある
IT化によって図書館が便利になる!
近年図書館では、本の自動貸出機の導入が増えています。自動貸出機は、最近スーパーやコンビニでも増えているセルフレジのようなもので、貸出カウンターに行かなくても、専用の機械を使い自分で貸出処理ができるというものです。好きなタイミングで処理を行えるため、従来の貸し出しカウンターよりも気軽に本を借りることができそうです。
自動貸出機は、愛知県にあるおおぶ文化交流の杜(もり)図書館が2015年度の貸出冊数が人口6万~10万人の同規模自治体、全180の中で1位になったことで注目を集めました。同図書館では本やCDなどはICチップを付けて管理し、自動貸出機だけでなく自動返却ポストや、予約図書のセルフ貸し出しコーナーも設け、スムーズな貸し出し・予約を実現しました。利用者にとって使いやすい図書館であることが、貸出冊数全国1位の理由なのかもしれません。
こうした図書館のIT化によって、利用者は本の貸し出しや予約、読みたい本を素早く検索できるようになります。また、図書館で働く職員にとっても蔵書の管理がスムーズに行えるというメリットがあります。
また千葉県の千葉市図書館ではマイナンバーカードを使い、本の貸し出しを可能にするシステムが導入されました。これにより図書館のカードではなく、マイナンバーカードを読み取り機にかざすだけで、本の貸し出し手続きができるようになったのです。図書館ではより気軽に本が借りられるシステムに進化していることが分かります。
進む所蔵資料のデジタル化
また図書館のIT化は、館内の設備だけではありません。図書館にある資料もデジタル化されていることをご存じですか?
公共図書館では、所蔵している地域資料をデジタル化する取り組みを行っています。デジタル化された資料は電子書籍のような状態になっており、パソコンの端末などを使ってWeb上から閲覧することができるのです。
例えば東京都の三鷹市にある三鷹市立図書館では、現在、三鷹市の施策方針や基本計画といった地域資料がデジタル化された状態で公開されています。子ども向けの読書プランなども公開されており、地域で子育てをしている家族には便利な情報になりそうです。
また、膨大な所蔵資料を持つ国立国会図書館では、収集・保存している資料をデジタル化することに加えて、これらを検索して閲覧することができる「国立国会図書館デジタルコレクション」というデータベースを公開しています。公開されているのは、*90万点におよぶ図書をはじめ、雑誌や論文・新聞・脚本など、国会図書館だからこそ所蔵しているたくさんの貴重な資料をWeb上で閲覧することができます。
デジタル化された国会図書館の資料を見ることができれば、これまで国会図書館に足を運ばなければならなかったのがWeb上で閲覧が可能になり、学校のレポートや論文を書くときに大いに参考になるでしょう。皆さんも国会図書館にこういうシステムがあることを覚えておくと、今後の学習で役立つかもしれません。
(*)この内、インターネット上に公開している資料数はおよそ35万点
IT化の基礎は「情報工学」にあり
図書館におけるIT化は、利用者にとって使いやすさをさらに向上させてくれます。より多くの人にとって使いやすいシステムを考えていく過程では「情報工学」の知識が大きく関わってきます。
情報工学では、コンピューター端末などの情報通信を数学的に考察しながら、通信技術を研究していきます。また文字・画像・音・動画など、コンピューターを使って表現するマルチメディアに関する技術も習得していきます。専門的な内容としては、コンピューターの設計やシステムを自分で構築する「計算機工学」、また身の周りの問題をコンピューターと数学を使い解決に導く「数理情報工学」などがあります。
理数系の知識が中心となる学問のため、情報工学を学べる学校ではまず数学をはじめ物理や化学、生物などを学びながら基礎的なコンピューターやプログラミングの知識を身に付け、徐々に本格的な情報工学の専門分野について研究を深めていきます。
現在、さまざまな本の電子書籍化が進められているように、古い本から新しい本を所蔵する図書館でもIT化が進められています。情報やコンピューターについて学びたいという人は、まずは自分の身の周りでどのようなIT化が進められているのか、目を向けてみるのも面白いかもしれません。
【参考文献】
毎日新聞|おおぶ文化交流の杜図書館 貸し出し図書の冊子数日本一に
https://mainichi.jp/articles/20170524/k00/00e/040/205000c
千葉市図書館|マイナンバーカードで図書館が利用できるようになりました
http://www.library.city.chiba.jp/news/news1125.html
三鷹市立図書館|地域資料のデジタル化
https://www.library.mitaka.tokyo.jp/mitaka/2015022700072/
国立国会図書館|資料デジタル化について
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/digitization/index.html
この記事のテーマ
「情報学・通信」を解説
情報通信産業には、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業の5分野があります。近年は各分野の垣根が取り払われつつありますが、なかでも注目されているのが、インターネットに代表されるコンピュータを介した情報通信工学でしょう。高度に情報化が進んだ現代において、安全保障や経済政策はもちろんのこと、日常生活に至るあらゆるシーンで必要とされる、活躍の場の広い学問です。
この記事で取り上げた
「通信工学」
はこんな学問です
通信技術は、コンピュータ内の技術とネットワーク技術に分けられる。たとえば、コンピュータ内では、通信に関連するソフトウェアとハードウェアの技術が挙げられる。ネットワーク上で用いる技術では、情報の圧縮技術や暗号化技術、光通信をはじめとする光ファイバー技術、インターネットを用いたネットワーク技術、LANによる有線・無線の通信技術などがある。その他、次世代の通信技術開発や宇宙通信技術などの研究も行う。
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