【シゴトを知ろう】いのちの電話相談員 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】いのちの電話相談員 ~番外編~

2017.10.17

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】いのちの電話相談員 ~番外編~

自殺を考える人のための電話相談をボランティアで行う、いのちの電話相談員の活動。相談員を目指す人にはどんな人が多いのでしょうか。深刻な悩みを相談されてどのように応じていらっしゃるのでしょうか。上手な相談員さんの特徴とは? 相談員を経て現在、研修講師として団体に携わっている末松渉さんに詳しく伺いました。

この記事をまとめると

  • 一緒に考えて悩んであげられることが相談員の存在意義
  • 毎回が真剣勝負。自然体でタフな人に向いている
  • 励ますのではなく、ねぎらうことが大切

電話相談ならではの温もりがある

――いのちの電話の相談員には、自分自身が悩み苦しんだ経験がある方が多いのでしょうか?

やはりそういう経験をし、人に助けられて乗り越えたという方が多いですね。また、若い頃にお友達や職場の方が自殺されたことがきっかけになったという方や、たまたま駅のホームで自殺を目撃したことがきっかけになったという方もいらっしゃいます。「もしかしたら私でも誰かの役に立てるのではないか」という素朴な気持ちで参加される方もいらっしゃいます。善意というかおせっかいというか、隣に困っている人がいれば何かしたいという思いやりの心を持っている人が多いですね。


――相談を受けることで自分自身が励まされることもあるのでしょうか。

ありますね。私が発したちょっとした言葉を、ご自分の中で深い気付きのレベルに持っていかれる方がいらっしゃいます。そういう風に受け取られたんだなと感動しますし、うれしいですね。また、匿名制ではあるのですが、たまに以前お電話を掛けてくださった方かなと気付くことがあり、私の言ったことを試していただいたことが分かったときは大きな喜びを感じますね。


――逆に相手の悩みに引きずり込まれることもあるのでしょうか。

あります。そうならないよう研修で訓練は受けているのですが、たまに引きずってしまうことはありますね。心が温かく、相手の悩みを我が事のように受け取ってしまう方は特にそうなりやすいでしょうね。それが良さでもあるのですが、相談員になってからも継続研修というものがあり、相談員同士でディスカッションしてそのような悩みを解消する場もあります。

相手に信頼されることが何よりも大事

――本編では相談員仲間の存在が宝物だというお話もありましたが、どのような交流があるのでしょうか。

相談員になるための研修期間が約2年ありますので、同期とは結束が固くなります。また、継続研修では同期以外の方との交流もあります。個人個人で仲良くなってご飯を食べに行くこともありますし、同じ時間帯のシフトに入ることが多い方とも仲良くなりやすいですね。


――いのちの電話相談員とプロのカウンセラーの違いは何でしょうか。

私は最近になって臨床心理士の資格を取り、専門家は相談員の活動をするべきではないというポリシーのもと相談員は退き、現在は研修講師として携わっています。両方の立場を経験していえるのは、専門家は目の前の人を分かった気になりやすいということ。でも人って簡単に理解できないというのが一般の私たちの感覚ですよね。

専門家は問題をどう解決するかというところから出発しますので、相手が問題を抱えていることが前提になります。でも悩みを抱えている方というのは、その一歩手前の揺れ動いている状態の方が非常に多いです。そのような状況において、一緒に考えたり悩んだりしてくれるのが相談員の存在意義だと思います。専門家には専門家の存在意義があり、両方必要であって、その違いを大事にしないといけないなと感じています。


――この活動を始め、事前にイメージしていたこととギャップを感じたことはありましたか?

それがまさに先ほど申し上げたことですね。私は大学院で心理学やカウンセリングを学びましたが、この活動はそうした学びや資格が通用しない世界です。大事なのは相手に信頼されるかどうか。相手は「この人は分かってくれない」と思った瞬間に電話をガチャンと切るわけですから(笑)。対面ではあり得ないことですよね。それが一番の学びでした。心理を学んでいる方やそれを仕事にしている人、学校の教員の方には役に立つ体験だと思いますから、時間があればぜひ参加してほしいですね。

顔も名前も知らない人と同じ時間を共有できる喜び

――上手な相談員さんというのはどんな人なのでしょうか?

何年やったから慣れるというものではありませんから、常に自分を振り返られる人でしょうね。「こんなもんよ」とならないこと。謙虚に、常に新鮮な気持ちで電話の前に座ることができる人がいいのかなと思います。毎回真剣勝負ですから、自然体でタフな人が良いと思います。相談者には依存心の強い方もいらっしゃいますので、巻き込まれ過ぎないような距離の取り方もケースごとに考えて対処しないといけません。


――深刻な悩みを吐露されることも多いと思いますが、どのように応じるのですか?

相手の邪魔をせず、聴くことが基本です。相づちを打つだけで十分なこともあります。その人にとっては言いたいことを言えるだけでも充分という場合もありますから。相手の言うことを受け止める。励まさない。でもねぎらうというか、「そんなつらい状態でよく電話を掛けてくださいましたね」という言葉を掛けることもあります。お話を聞いて一緒に心配したり、考えたり、悩んだり、困ったり。「あなたを大切に思っています」ということが伝わるように心掛けています。


――相談を受けてきた中で最も印象的なエピソードがあれば教えてください。

初めて相談員として電話に出たときは頭の中が真っ白になりました。でも逆にそれが良かったみたいで、相手の方は喜んでくださいました。聞くことに、精一杯だったのが良かったのでしょうね。今でも研修で「聞き上手になるには?」と質問されたときに、そのエピソードを話すことがあります。

以前、相談員として深夜シフトに入っていたときにはこんなことがありました。話を聞いているうちに夜が明け、電話口を通して向こうからスズメが鳴く声が聞こえ、こちらでもカラスが鳴き、「カラスが鳴いていますね」「そちらもスズメが鳴いていますね」「ではもう朝なので」「行ってらっしゃい」という会話を交わしました。何でもない会話なのですが、印象に残っているのはそういうことだったりします。通じ合ったというか、同じ時間を共有できたと感じられました。その魅力があるから続けられました。

顔も知らない、どこの誰かも分からない人とつながりを持つということ。生きている間に出会える人は限られていますが、電話相談を通してそれが何百人・何千人と広がります。「掛けてみたいな」と思った人がいれば「掛けてください」と伝えたいです。悩みを言葉にできなくても、何かあるから掛けようと思われたのでしょうから。相談員はその辺の感受性がある人が多いので、そのような思いを大切にすると思います。



何でもない会話の中に通じ合える瞬間があるというお話が印象的ですね。深刻な悩みを抱えている人に自分が手助けできることなんてあるのだろうかと思ってしまいがちですが、ただ誰かと穏やかな時間を共有できただけでも救いになるということを末松さんは教えてくださいました。


【profile】社会福祉法人いのちの電話 理事 末松渉
https://www.inochinodenwa.org

この記事のテーマ
福祉・介護」を解説

現場で福祉を担う介護福祉士などのスペシャリストや、福祉サービスの企画・提案ができる人材を育成します。通常の生活を営むことが困難な人の生活を助けるための専門知識、技術を身につけ、職種により就業に必要な資格取得を目指します。高齢化が進む中、精神的なケアや寝たきりを防ぐための運動指導など、必要な専門知識や技術も幅広くなっています。

「福祉・介護」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「いのちの電話相談員」
はこんな仕事です

自殺を考えている人からの電話を匿名で受け、悩みを聞いて心の支えとなる仕事。活動は原則として月2回。相談員に認定されるには、書類審査や面接などの手続きを経て、所定の養成課程を修了する必要がある。養成期間は各地域のいのちの電話団体で異なるが、基本的には2年間。1年目は座学とロールプレイング、2年目はインターン実習で共感力や聴く力を訓練する。完全無報酬のボランティアで、交通費および数万円の研修費用もすべて自己負担だが、尊い人命を水際で救っているという誇りと使命感を持つことができる。

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