ゴーグルをかぶって、画面を見ながら打撃練習!? スポーツの世界で広がる“VR”とは

近年、情報技術(IT)は日々進化しており、最近では装置をつけて仮想現実を体感できるVR(Virtual Reality)技術が話題を呼んでいます。現在こうした技術が、スポーツの世界でも取り入れられていることを知っていますか? 今回は、スポーツのトレーニングの場面で用いられているVRについて紹介します。
この記事をまとめると
- VR技術はスポーツの世界でも活用され、日本ではプロ野球界などで用いられている
- ゴルフ、アメフトなどにも用いられ、イメージトレーニング強化の一助になっている
- 情報工学では、情報技術の知識を学ぶと同時に、日常での活用方法も考えていく
トレーニングをよりリアルに! 日本の野球界で活用されるVR
まず、VRの活用で話題を集めているのが、日本のプロ野球界です。
今年3月、横浜DeNAベイスターズでは、選手の運動能力向上や、チームの強化を目的としたVRシステム「iCube(アイキューブ)」の導入を発表しました。この「iCube」は、VRを用いて行うアメリカ発の最先端トレーニングシステムのことで、日本球界で初の導入となります。
DeNAのホーム球場である横浜スタジアムでは、2015年からボールの軌道や球速、回転数などを計測し蓄積するシステム「ボールトラッキングシステム(トラックマン)」が導入されています。ここにさらに「iCube」を導入することで、ボールトラッキングシステムに蓄積されたデータや映像を活用し、実際の投球をVRで再現できるのです。
実際にトレーニングする際は、選手たちがヘッドマウントディスプレイという装置を頭に着用します。これによって、まるで現実の世界かのように、目の前で投球の速度や球筋・変化球のキレなどをリアルに感じられるのです。対戦選手や球種なども自由に選択できるので、より実践的なトレーニングを行うことができます。このシステムは、アメリカのメジャー・リーグの球団でも採用されています。
世界でもさまざまなスポーツにVRが使われている!
VR技術をスポーツに取り入れる動きは、野球に限った話ではありません。
アメリカでは、アメリカンフットボールのトレーニングにVRが活用されています。VR映像は周囲360度の映像で構成されているため、左右から来るタックルなどの状態も体感することができます。ヘッドセットを装着し、過去の試合映像を観ることで、よりリアルなシミュレーションを行うことができるのです。
アメリカンフットボールだけではなく、スポーツのトレーニングでは、実際の試合状況をイメージする必要があります。VRを使えばさまざまな状況を再現でき、なおかつ季節や時間、その日の天候などを気にせずトレーニングを行うことができるので便利ですね。
韓国ソウルでは市民の間で、VR機器を装着してゴルフを楽しめる施設が利用されています。人口密度が高くゴルフ人口の多いソウルでは、ゴルフ場予約が難しく、利用料も高い現実があります。そんな課題に対してVRで楽しめるゴルフは、時間に関係なく、狭いスペースでもプレイできるため、多数の施設で楽しめるそうです。
情報技術を研究しながら、問題を解決に活かす方法を考える「情報工学」
プロスポーツ選手から一般市民の娯楽としても活用が進んでいるVR技術。このVRをはじめとした、情報技術に関する知識を深めていく学問を、情報工学といいます。情報工学では、コンピュータのプログラミングやシステム開発、通信技術などについて学んでいきます。
ひと口に情報工学と言っても、コンピュータを作ること、プログラムを作ること、コンピュータを使って問題の解決を考えていくことなど、その分野は広範囲に渡ります。情報工学は日々進歩する情報技術と寄り添い、変化し続ける学問です。VRのような先端の情報技術を研究・開発することはもちろんですが、これらの技術を日常のどういった場面で生かしていくか、といったことも情報工学では考えていくことになります。
一見スポーツの場面とは無縁のような、ITや科学技術といった言葉ですが、このように効率的な選手の育成や技術向上に、大きな役割を果たしています。スポーツとIT技術の連携に興味が湧いた人は、ぜひ情報工学を学んで、未来のスポーツ選手たちのトレーニングや能力向上に役立てることができる機器を開発してみてくださいね。
【出典】
東洋経済オンライン|「選手視点の中継」というスポーツの大革命
http://toyokeizai.net/articles/-/148100?page=3
WIRED|VR WILL SOON REVOLUTIONIZE HOW FOOTBALL PLAYERS TRAIN
https://www.wired.com/2015/12/vr-will-soon-revolutionize-how-football-players-train/
この記事のテーマ
「情報学・通信」を解説
情報通信産業には、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業の5分野があります。中でも注目されているのが、インターネットに代表される情報通信工学。政治や経済、日常生活など、情報化社会のあらゆる面でますます必要とされる、活躍の場の広い学問です。
この記事で取り上げた
「通信工学」
はこんな学問です
通信技術は、コンピュータ内の技術とネットワーク技術に分けられる。たとえば、コンピュータ内では、通信に関連するソフトウェアとハードウェアの技術が挙げられる。ネットワーク上で用いる技術では、情報の圧縮技術や暗号化技術、光通信をはじめとする光ファイバー技術、インターネットを用いたネットワーク技術、LANによる有線・無線の通信技術などがある。その他、次世代の通信技術開発や宇宙通信技術などの研究も行う。
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