【シゴトを知ろう】大道具に関する職業 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】大道具に関する職業 ~番外編~

2017.09.19

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】大道具に関する職業 ~番外編~

撮影現場で美術セットの骨組み部分の造形を担当する大道具。使う道具は共通していても、通常の建築業とは大きく異なる仕事をしています。番外編では、引き続き株式会社ゼファーの多田さんに、より具体的な大道具の仕事についてエピソードも交えて語っていただきました。

この記事をまとめると

  • 決まったものを作る大工と違い、現場での撮影の状況に応じて作業する
  • 現場に一番早く入り、全て元通りにして最後に退出するのが大道具
  • 作品によって規模はさまざま。同業の美術会社は協力し合う関係

指示や状況に応じ、現場でフレキシブルに対応するのが大道具

――大道具はいわゆる大工さんとはどこが違うのでしょうか?
 
通常建築業界では、作業に入る何カ月も前に図面が出来上がり、それを依頼主と検討・修正し、最終的にこれを作りましょうと完成予定図を確定してから作業に取り掛かります。しかし大道具の場合、最初の図面さえ製作直前までできていないことが多々あるため、非常にタイトなスケジュールの中で迅速に仕事をしなければなりません。

また現場での撮影中に、頻繁に大道具に対する変更が発生します。撮影中に監督やカメラマンから変更指示が出ると、その都度、製作物を切ったりつけ足したりなどするわけです。そういう意味で、あらかじめ決まったものをしっかり作り上げる建築業とは違い、とっさの変更に対する対応力が求められる部分が大きいといえます。
 
 
――撮影現場での大道具の一連の作業の流れを教えてください。
 
スタジオに入ると、まずステージ(床)、壁の順に建て込み(業界用語でセットを組み立てること)をし、続いて塗装をしたり壁紙を貼ったりします。その後小道具の出番になるわけですが、大道具はその後も不具合や変更に備えて必ず立ち会います。

セットが完成したら、リハーサルでアングル(カメラでものを写す角度のこと)チェックを含めたさまざまなチェックをし、その後に本番となります。カット(*)ごとに壁を動かすなどすることもあるので、大道具はここでも立ち会います。全員が立ち会うのではなく、建て込みの時は10人で作業しても、最後まで立ち会うのは1〜2人です。

本番が終了になると、当日あるいは翌日にバラシ(業界用語で撤去のこと)をします。解体したものやゴミを、トラックに積み込んで作業場に持ち帰ります。スタジオの掃除もして完全にきれいな状態に戻したら、現場での作業が完了となります。これが作品1本の流れですね。

*カット:映像作品において、作品を構成する要素の最低単位。撮影において、カメラのフィルムがスタートして止まるまでの状態を指す。
 
 
――撮影現場での大道具は結構な長丁場なのですね。
 
そうですね。美術部は現場に一番最初に入って一番最後までいる仕事ですから、最も長時間いるスタッフの一人になりますね。また撮影期間に関しては、規模の大きな作品では半月かかったりすることもあります。ただ、最近は規模の大きなセットは減っており、撮影日も短くなってきている傾向です。

映画の撮影などでは、作品によっては地方に行きっぱなしで1カ月や2カ月チームで過ごすこともあります。ずっとチームのメンバーと密着して過ごすのが苦手という人もいますが、協力して仕事を成しとげて終わった時の充実感はとても大きいと思います。CM撮影の場合、期間は1日だったり、長くても4〜5日程度で、作品ベースで人もどんどん入れ替わっていきます。

一見普通の家に見えても、撮影しやすい仕様で作られているのが美術セット

―― 一つのセットを作るのに何人くらいの大道具が関わっているんですか?
 
それは作品により変動します。1人か2人でいい場合もあれば、規模の大きいものだと30人必要な場合もあります。
映画の大道具は規模も大きく撮影スパンも長いことが多いです。家を丸ごと1軒立てたり、江戸時代の町並みのようなものを作ったりするのも大道具の仕事です。労力がかかるため大変ですが、それはそれで楽しいんですよね。
 
 
――なぜ既存の家を使わず、わざわざ家を建てるのですか?

映像はいろいろなアングルで撮影をしますが、普通の住宅や部屋では、カメラマンがこの位置から撮りたいと思っても、壁があったりするために思った位置にカメラが置けなかったり、光がふさがれるといったことがあります。セットなら、あらかじめ全て取り外し可能にできますので、シーンごとに不要な壁や天井をガバッと取り外したりできるわけです。

ですから、見えるところには建材を使ったり、壁紙を貼ったり、塗装をしたりしますが、基本は木材とベニヤだけのいわゆるはりぼてです。事故がないように安全で強固な作りにしますが、同時に撮影が終わったらすぐに撤去できるよう、簡単に解体できること、持ち運びが軽い素材を使うなども考えて作ります。


――同業者間の横のつながりはありますか?

この業界、人材の貸し借りは多いです。自分自身、知り合いの美術会社から応援要請を受けて手伝いに行くこともありますし、技術の高い大道具製作者に自分の会社では作れない難しい作品を代わりに作ってほしいと依頼するようなこともあります。何かと協力し合う関係ですから、他の美術会社にどんな人がいるかということもある程度知っています。

大掛かりなセットは大変な分、充実感も大きい

――これまでで印象に残ったお仕事について聞かせてください。

ある有名ミュージシャンのPVで、スタジオに3日がかりで巨大な海外の町並みを作ったことがありました。通常それくらい大規模なセットなら1週間前には図面がきて、作業所である程度作ってスタジオに持ち込むのですが、その時は当日まで図面も何も出てこなくて、どうしようかと思いました。

結局、現場でデザイナーが図面を描いている傍らで、ゼロから作っていくということをしましたね。大変困難な作業でしたが、後で思い返すと楽しかったなと思います。完成したセットで実際にミュージシャンがパフォーマンスしているのを見る頃には、3日徹夜した後で倒れそうになっていましたが(笑)、やっぱり充実感はありました。

今ではCG(コンピューターグラフィックス)が徐々に主流となり、大掛かりなセットを作るよりも、CG処理を施した方がたやすく、費用がかからない場合もあります。でも、CGで全てを表現できる訳ではないとも思います。

また、CGだと役者さんはグリーンバックやブルーバック(*2)の前で演技をしなければなりません。実際のセットの中で演技をすることに比べると全然雰囲気も違うし、役作りとして気持ちが入りにくいときもあるのではないかと思います。そういう部分を含め、あえてセットを建てて実写で撮る利点はあると思いますね。

*2グリーンバック、ブルーバック:映像の合成を前提とした撮影時に使用する、緑もしくは青一色の背景のこと



大道具は「白に始まり白に終わる」仕事なのだそうです。何もない真っ白な壁と床だけのスタジオに一番乗りで入り、その日の撮影に必要なものを手際良く組み立て、撮影が終わるとあっという間に撤去して、跡形もなく元の状態に戻す。「最後にまた真っ白な状態にして完結するというのがいいんです」と多田さん。

ひとときの夢のように、作品に応じてどんな世界でも作り上げてしまうのが大道具という仕事の醍醐味なのではないでしょうか。
 
 
【profile】株式会社ゼファー 多田哲也  
株式会社ゼファー http://www.zephyr.cc/

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

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この記事で取り上げた
「大道具に関する職業」
はこんな仕事です

テレビ番組、舞台、コンサートなどで美術セットをつくり上げる仕事。ドラマでは設定に合った部屋を作製したり、歌番組やコンサートでは、アーティストを盛り上げる背景を設置したりする。セットで雰囲気が決まるので重要な役割を担う。仕事内容は、主に大掛かりなスタジオセットづくり、背景の描き出しと、銅像や模型などの造形物もつくる。セットをスタジオで組み立てたり、解体も行う。大掛かりなセットを組む場合は、本物のとび職人が参加することもある。材料の搬入以外に釘打ちや大工仕事もあって専門性は深い。

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