地球のレントゲン写真が撮れる!? 宇宙からやってきた物質を使った「ミュオグラフィ」

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地球のレントゲン写真が撮れる!? 宇宙からやってきた物質を使った「ミュオグラフィ」

2017.08.22

提供元:マイナビ進学編集部

地球のレントゲン写真が撮れる!? 宇宙からやってきた物質を使った「ミュオグラフィ」

日本は地震の多い国として知られていますが、同時に、世界有数の火山大国でもあります。予期せぬ自然災害にどう対応していくかは、私たちにとって大きな課題です。「もしかして、科学の力で自然災害を事前に察知し、被害を最小限に食い止めることもできるのでは……」と考えたことはありませんか?

この記事をまとめると

  • 岩も人間の体も突き抜ける「素粒子」の力を借りて火山の内部が見えるようになった
  • 「ミュオグラフィ」は、もともと石油発掘や遺跡の調査に役立っていた
  • 高レベルな解析技術は、古くなった建造物の発見にも役立っている

今にも吹き出しそうなマグマの状態を事前察知する技術

海に囲まれ、たくさんの火山が点在する日本では、あらゆる自然災害に悩まされてきた歴史があります。例えば、九州地方には、桜島(鹿児島県)、阿蘇山(熊本県)、雲仙岳(長崎県)などの活火山があり、これまでに幾度となく噴火を繰り返してきました。

火山が噴火するとは、火山の内部にあるマグマ(溶けた溶岩)が山頂の火口から噴出すること。高熱でドロドロに溶けた状態のマグマは、水蒸気などのガスを噴出する性質があります。火山内部の圧力が高まると、唯一の出口である火口に向けてマグマが噴出する仕組みとなっているのです。

噴火を事前に察知するためには、火山内部の様子を知ることが求められますが、人間や探査機が入り込めるような場所ではありません。そこで、宇宙から降り注ぐミュー粒子と呼ばれる超微細な粒子の力を借りた、火山内部を観測する研究が日本では進められてきました。

ミュオグラフィの技術が自然災害予測から、古くなった建造物の発見まで広がりを見せている

ミュー粒子とは、あらゆる物質を構成する素粒子の一つです。皆さんも理科の授業で、物質を構成する原子と分子について学習したとは思いますが、その原子を構成しているさらに細かい物体が素粒子なのです。どれほど小さなものか、何となくイメージできると思います。

ミュー粒子はあまりに微細なため、あらゆる物体をいとも簡単に通過してしまいます。人間の体はもちろん、カチカチに硬い岩や石も例外ではありません。この性質を利用し、火山を突き抜けたミュー粒子の分布や個数を検出することで、ちょうどレントゲンを撮影したような状態で火山内部の物質の密度を調べることができるのです。
ミュー粒子を利用した検知方法は「ミュオグラフィ」と呼ばれています。ミュオグラフィの原理は1950年ごろから知られるようになり、ピラミッド内部の観察など、世界各国でさまざまな調査が行われてきました。

ミュオグラフィの技術を、世界に先駆け火山の調査に取り入れたのは、東京大学大学院でした。ミュー粒子は空から降り注ぐため、本来ならば透過させたい物体の真下に検知器を置くことが望ましいのですが、山の真下に設置することはどう考えても不可能。そこで山のふもとに検知器を設置し、水平に近い状態で飛散してくるミュー粒子の検知に挑戦したのです。検知器の設置場所や技術的な問題に悩まされながらも、2006年、ついに東京大学は火山のミュオグラフィに成功、火山内部のマグマの状態をモニター越しに見ることができたのです。

大型建造物の破損個所の調査や原子力事故の調査・解析にも使われている

資源調達や遺跡の調査から始まったミュオグラフィも、現在では肉眼で観察しにくい、大型建造物の破損個所の調査に使われるようになりました。2017年に入り、東京大学と日本電気株式会社(以下 NEC)、ハンガリー科学アカデミー・ウィグナー物理学研究センター(以下 ハンガリー科学アカデミー)は、ミュオグラフィを利用し、構造物内部を透視画像化するシステムの共同開発を開始。東京大学が培った技術をベースに、ハンガリー科学アカデミーが製作した高精度のミュー粒子検知器、NECによる画像処理技術を用いて本格的に建造物の調査に乗り出したのです。

老朽化した建造物が崩れると、予期しない事故につながる恐れがあるのですが、ミュオグラフィ技術を使用することで、目が届きにくい高層部分や土に埋もれている部分の調査が可能になります。それにより、大事故が起きる前に補修や建て替えができるようになることが期待されています。

災害などの危険を未然に防ぐため、ミクロレベルでの観測技術が私たちの生活を支えています。電子の力に興味が湧いた人は、電子・電気業界で働くことを目指してみるのはいかがでしょうか。高校卒業後に、電子・電気工学について学んでみるのもいいかもしれませんね。 


【参考文献】
国立研究開発法人 科学技術振興機構|火山と噴火の仕組み
http://sciencewindow.jst.go.jp/html/sw27/sp-006

東京大学|「地球の中身をのぞく」
http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/utokyo-research/feature-stories/a-window-into-the-earths-interior/

NEC|東京大学、ハンガリー科学アカデミー、NEC、宇宙線による可視化技術「ミュオグラフィ」を用いて構造物内部を透視画像化するシステムの共同開発を開始
http://jpn.nec.com/press/201705/20170519_02.html

この記事のテーマ
メーカー」を解説

日用品から航空機に至るまで、製品として世に出るモノは必ずどこかのメーカーによりつくられています。工業技術を用いてモノを生産する企業がメーカーです。生産技術の基礎は、機械などは物理学、薬や洗剤などは化学、食品などは生物学などさまざまです。自動車会社のように機械、電気・電子、情報などの各工学によりつくられた部品を一つの製品に集約するメーカーもあります。

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この記事で取り上げた
「電子・電気・OA機器」
はこんな業界です

機器をより使いやすくするために研究・開発し、販売まで行うのが電子・電気・OA機器業界。家電や電気用品から業務用PC、コピー機など対象となる機器は広範囲にわたり、その分市場も幅広い。なかでもスマートフォンやデジタルカメラ、音楽プレーヤーなどの電気製品に使われる半導体の業績は、過去数年増加傾向に。だが諸外国との競争は厳しくなる一方で、さらなる市場開拓が課題となっている。また、新たな通信機器や端末も登場し、より高度な技術開発が求められている。

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