臭いさえ閉じ込めちゃう目の細か〜い繊維!?

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臭いさえ閉じ込めちゃう目の細か〜い繊維!?

2017.08.18

提供元:マイナビ進学編集部

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臭いさえ閉じ込めちゃう目の細か〜い繊維!?

私たちの身の周りは実にさまざまな「紙製品」であふれています。普段読んでいる新聞や雑誌、ティッシュペーパーや汗拭きシート、テストの解答用紙など思い付くだけでもたくさんありますね。用が済んだらごみ箱に捨てられてしまうことも多い紙製品ですが、紙製品の素材は開発され続けていて、それにより私たちの暮らしはより快適になっているのです。

この記事をまとめると

  • CNFは幅4nm(1ナノメートル=10億分の1m)という極細の繊維
  • CNFは軽い上に強く、さらに空気を外に漏らしにくいという特徵を持つ
  • CNFを用いた新しい素材も登場し、さまざまな製品への応用が期待される

衛生面の問題解決に向けた紙おむつの登場

近年、使われる場所が広がっている紙製品の一つに紙おむつがあります。皆さんも、赤ちゃんのころはお世話になったはず。そんな紙おむつも、少子高齢化が社会問題になっている現代では、自力でトイレに行くことが難しい高齢者が使用する大人向けのものが続々登場しています。

紙おむつには、排泄物を閉じ込めるだけでなく、臭いを外に漏らさないよう、高い防臭効果も求められます。ティッシュペーパーをはじめ、さまざまな紙製品の製造を手がける日本製紙クレシア株式会社では、新しい技術を採用して、高い消臭効果を持つ大人用紙おむつ製品を2015年に発売しました。

高い消臭効果の秘密は、「セルロースナノファイバー(以下CNF)」と呼ばれる繊維。これは、植物繊維(紙パルプ)を超微細なナノレベルにまで分解した素材です。どのくらい細いのかというと、その幅は4nm(ナノメートル)。1nmが、10億分の1mですから、とても肉眼で確認できない細さです。

CNFで作られたシートは、軽量かつ高強度を誇り、熱による伸縮性も少なく、内部の空気を外に漏らさない高いバリア性を持つ特徴があります。また、CNFは樹木以外の原料から製造することも可能で、麦わらや竹といった植物や、食品の副産物として発生するトウモロコシの葉っぱやサトウキビの搾りかすなどから精製できることも特徵。自然由来なので、廃棄するときの環境負荷も少ないといわれています。日本製紙クレシア株式会社は、2017年にCNFを量産する設備を完成させ、稼働を始めています。

ナノ繊維製品は技術の結晶。さらなる商品化も

その優れた特性から、今ではおむつ以外の製品にも応用が期待されるCNFですが、実際に商品として私たちの生活場面に登場するまでに、さまざまな技術が積み重ねられています。日本製紙クレシア株式会社のおむつを例に、その技術を紹介しましょう。

そもそもCNFを製品化するために解決しなければならないことの一つに、微細な繊維を均一に散りばめるのが難しいという問題がありました。そこで役に立ったのは、CNFを微細なミクロフィブリルという単位で分解する技術。東京大学大学院が開発した、TEMPO触媒酸化法と呼ばれる化学反応と簡単な機械処理を施すことで成功しました。

TEMPO触媒酸化法によって化学処理されたCNFの表面は、金属イオンや金属ナノ粒子が高密度で付着しやすいという特徴があります。ここに金属ナノ粒子を生成させる技術を、九州大学大学院の研究室チームが考案。消臭効果のある金属イオンなどと組み合わせるなど、さまざまな機能を持つCNFを作ることが可能になったのです。

この2つの技術を利用して、日本製紙クレシア株式会社の大人用紙おむつの新ブランドが誕生しました。CNFシートの活用の場は広がる見込みで、紙おむつに留まらず、食料品や化粧品などを酸素から守るための包装フィルム、ホコリを吸収するエアコンのフィルターなどへの応用が期待されています。

CNFの製造技術を利用した、ハイブリッド製品にも注目が集まる

さらにこのCNFを他の素材と組み合わせて、新しい素材を生み出す研究も行われました。NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトでは、京都大学が中心となり、王子ホールディングス株式会社、日本製紙株式会社などの繊維業界の会社も参加して、CNFのようなナノ繊維とさまざまな樹脂を混合させた素材の製造プロセスを作り上げました。

従来の樹脂製品に、軽くて高強度なCNFをプラスした素材は、自動車や住宅用建材などに用いられることが期待されています。製紙の技術を応用したさまざまな素材が、日用品だけではなく、工業製品にまで幅広く使わるなんて驚きです。さらなる研究、そしてさまざまな分野での応用が続きそうですね。

生活のあらゆる場面で、また思いがけないところで人々の暮らしに貢献する「繊維・紙パルプ」業界。新しい繊維で私たちの生活をより快適にする製品を生み出すことはとてもやりがいがありそうです。興味の沸いた人は、将来繊維や紙、パルプなどの研究について調べてみてはいかがでしょうか。


【参考文献】
東京大学大学院
http://psl.fp.a.u-tokyo.ac.jp/research01_1.html

日本製紙グループ
http://www.nipponpapergroup.com/about/future/biorefinery/
http://www.nipponpapergroup.com/research/organize/cnf/
http://www.nipponpapergroup.com/news/year/2015/news150421003054.html

NEDO|高性能ナノ繊維で強化した樹脂複合材料と高効率製造プロセスを開発
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100536.html

環境省|報道発表資料
http://www.env.go.jp/press/102839.html

この記事のテーマ
メーカー」を解説

日用品から航空機に至るまで、製品として世に出るモノは必ずどこかのメーカーによりつくられています。工業技術を用いてモノを生産する企業がメーカーです。生産技術の基礎は、機械などは物理学、薬や洗剤などは化学、食品などは生物学などさまざまです。自動車会社のように機械、電気・電子、情報などの各工学によりつくられた部品を一つの製品に集約するメーカーもあります。

「メーカー」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「繊維・紙パルプ」
はこんな業界です

衣料や布団・カーペット、自動車の運転席などに使われる繊維を開発し、さまざまなメーカーに販売するのが繊維業界。機能性や美しさなどを考慮しながら最適な素材を提供するのが仕事だ。ヒートテックなどの保温繊維や、耐熱性の高いアラミド繊維なども生み出され、国際的に注目される分野も。また、紙パルプ業界は、新聞紙や雑誌などに使われる印刷紙や段ボール、トイレットペーパーなどの材料を販売する。近年では業界再編により海外進出に力を入れるメーカーも増えつつある。

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