【シゴトを知ろう】予告編制作 ~番外編~
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大人気アニメの予告編制作も担当された映画予告編制作者の高橋和余さん。毎日複数の映画の予告編を制作活躍している高橋さんから、映画業界にまつわるあるあるを多方面から伺いました。
この記事をまとめると
- 自分の経験がさらにより良い仕事につながる
- 心が動いたら その理由を考えるように意識している
- 将来は、ハリウッド作品の予告編制作を現地で手掛けたい
映画業界では、日々業界用語が飛び交っている
―― 一般人が知らない業界用語はありますか?
「初号」や「完パケ」など、映画に関係する業界専門用語はたくさん使います。初号は一番最初に完成した予告をチェックする試写です。完パケは完全なパッケージの略で劇場で上映する完成した映像素材のことです。
映画業界は確かに専門用語がとても多いです。就職するまで映画業界で働いたことはなかったので、私も最初は業界用語が全く分からなかったのですが、専門用語が飛び交う会話にもまれて少しずつ覚えていきました。
人の気持ちに寄り添い予告編を作るので、結婚も出産も全てプラス!
―― 高橋さんは小学生のお子さんがいらっしゃいますが、女性も働きやすい業界だと思いますか?
この会社で私が初めてのワーキングマザーだったので、子どもを出産してから家庭とのバランスのとり方は試行錯誤してきました。以前は男性が多い業界でしたが、今では弊社も約半数は女性ですし、業界全体でも女性の数は増えてきていると思います。
―― 仕事をする上で女性であることにメリットを感じることはありますか?
たくさんあります。ターゲット層が自分の年代に近い仕事を任せてもらえるときは、女性でよかったなと思います。その作品のターゲット層に共感してもらえる予告編を作ることが求められるので、主婦や母親だったりすると、その人たちの気持ちを理解している必要があるんです。
―― 同業者同士の横のつながりはありますか?
ありますよ。飲み会を開いたときは、映画が好きな人が多いので、みんなでおすすめの映画談義をしたり、作った予告編のアドバイスをお互いし合ったりします。自分が作ったものでなくても予告編をチェックしている人が多いので「自分だったら、このカットは使わなかった」など、熱いアドバイスをもらうこともあります。
心が動いた瞬間の分析を日々意識している
―― 良い予告編を作るために普段から意識していることはありますか?
自分が心動かされたものには、その理由を考えるようにしています。予告編は、短い時間でその映画に魅力を持ってもらえるように観客の方の心を動かす仕事です。自分がどの瞬間に心が動いたか、気付いたときに言語化して仕事で生かせるように意識しています。
―― 最後に高橋さんの予告編制作者としての夢や野望を教えてください。
ハリウッドで仕事をしてみたいです。データ漏洩の危険性があるので、未公開のハリウッド作品のほとんどは、各国の予告編制作者がハリウッドに集まって予告編を作るんです。弊社でも何人かハリウッドで仕事をした人がいて、刺激になったという話をよく聞きます。私もハリウッドならではの仕事法を吸収してみたいですね。
届けたい人の気持ちに寄り添うことが大切な予告編制作は、年齢を重ねることや少数派であることさえも、仕事の幅を広げることができるポジティブな意味を持つのだと思いました。自分の心が動いた、感動した瞬間を分析する、というのはこれから進路を考える皆さんに生かすことができるアドバイスかもしれませんね。
【profile】株式会社 ガル・エンタープライズ 予告編制作者 高橋和余
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
新しい感性やアイデアを常に発揮して、人を感動させたり驚かせたりする仕事です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種は多岐にわたります。声優やタレントをめざすには、在学しながら自分を磨きオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が大切です。
この記事で取り上げた
「予告編制作」
はこんな仕事です
映画の予告編を作る仕事。映画館で本編上映前に流れる2~3分のものから、テレビCMで流れる短いものまで、さまざまな長さの予告編を制作する。「これは見たい」と人々に思わせるように、映画の魅力を存分に伝えながらも、内容が分かりすぎないように情報をセーブするバランス感覚が腕の見せどころ。なお、映像素材は映画会社から提供されるが、ナレーションや音楽、文字情報などは自らアイデアを出す。かつては若手の助監督の仕事だったが、現在では予告編の制作を専門とする会社が作ることが大半になっている。
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