【シゴトを知ろう】イベントスタッフ ~番外編~
お客さまが満足するコンサートを開催するにはパフォーマンスをするアーティストだけではなく、たくさんの裏方の存在が必要です。中でも、列の整理やグッズの販売など、最もお客さまに近いところで働いているのがイベントスタッフです。
株式会社ライブパワーのイベントスタッフである望月隼也さんに、コンサート成功の裏側や、仕事中のエピソードについて教えていただきました。
この記事をまとめると
- コンサートの成功には、事前の準備と完成イメージが欠かせない
- プライベートでコンサートに行くときは、他社のスタッフを見て勉強する
- 関東圏と地方だと、イベントスタッフを取り巻く環境も変化する
アーティストと仲良くなることも! コンサートから広がる交流
――コンサートの成功のために、イベントスタッフとして心掛けていることがあれば教えてください。
主催者と事前に打ち合わせをして、きちんと準備をすることですね。資料の作成や読み込み、当日の流れのイメージをしっかりと行うようにしています。準備段階で念頭に置いているのは、「お客さまが求めていることは何か」「お客さまにとって大事なことは何か」という点です。安心・安全・楽しいイベントを目指して、たとえ主催者側に指示された内容でも、安全性に不安があったり、お客さまにとって不利益がでる可能性があったりした場合には必ず確認します。
突然のトラブルに対応できるかどうかがイベントの成功に関わるので、起こりうる問題は事前に洗い出し、対応を考えておくようにします。この仕事において、ノープランは一番怖い状態です。先回りして動くことが大切なのです。
――この仕事では他社のスタッフさんと協力する場面も多いと聞きました。スタッフさん同士の横のつながりがあれば教えてください。
一つのコンサートでも複数のイベントスタッフ会社が関わっている場合が多いので、違う会社の人とも顔なじみになります。一緒にお酒を飲みに行く間柄の人もいますし、音楽関係者同士で結婚したという話も度々耳にします。
また、アーティストと仲良くなるケースもあります。残念ながら私はまだ経験していませんが(笑)。一緒にコンサートを作り上げていく上で、自然と周囲との信頼関係が生まれていくのです。
お客さま目線になって気付いたことを仕事に生かす
――この仕事の影響で、プライベートでコンサートに行った際に見え方や感じ方が変わった点があれば教えてください。
プライベートでコンサートに行くと、スタッフの声かけの内容や、客席内で警備をしている時の動きがどうしても気になります。例えば、とびきりの笑顔で対応してくれるスタッフがいたり、会場の案内表記が分かりやすかったりすると、自分の仕事に生かそうと思います。逆に、お客さまに負担のかかるやり方を見ると反面教師にして、改めて気を引き締めるきっかけになります。
いつものイベントスタッフとしての立場ではなく、お客さまの目線だからこそ気付ける点がたくさんあるので、定期的に観客としてコンサートに参加することも大切だと感じます。
どんなコンサートでも、お客さまのためにという軸はブレない
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
昨年担当した、石川県で行われた音楽フェスでの話です。昔会社にいた先輩が運営に携わっており、ステージを仕切ってほしいという要望を受け、アルバイトのスタッフたちとともに4つのステージとグッズ販売の整理を担当しました。打ち合わせを終えてそのまま夜行バスで会場に移動し、すぐ準備に入った後2日間の本番……という過密なスケジュールでしたが、現地のイベントスタッフの方々と力を合わせてなんとか無事に乗り切ることができました。
関東圏のフェスと比べると集まるスタッフの人数が少なく、経験があまりない方もいて、地域による違いに気付きました。その土地それぞれのやり方やモチベーションがあるのだと知る機会になりました。大変でしたが、帰る時には石川県名物の海鮮もいただき、良い経験になりました。とはいえ、どんな場所でもどんな規模でも、自分がイベントスタッフとしてやるべきことは変わりません。これからもお客さまに楽しんでもらうために動くという軸を持って、素敵なコンサート作りを支えていきたいです。
望月さんのお話から、どんな状況でもお客さまがコンサートを楽しむために尽力するイベントスタッフの仕事について知ることができました。皆さんも、コンサートに行く機会があれば、いつもと少し目線を変えてイベントスタッフの方々の働きに注目してみてはいかがでしょうか。これまで気付かなかった、催し物における裏方の人々の工夫が見えてくるはずです。
【profile】株式会社ライブパワー 警備部 望月隼也
この記事のテーマ
「音楽・イベント」を解説
エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。
この記事で取り上げた
「イベントスタッフ」
はこんな仕事です
スポーツ、音楽、セミナー、ショー、展示会といった各種の催事において、主に現場で音響などの専門技術以外をカバーする仕事。開催趣旨や規模により仕事内容は大きく異なるが、施設責任者との打ち合わせから会場の設営、機材の搬入、入場者の誘導や警備、救護、グッズの販売支援、クローク、出演者のケアやケータリングの手配、およびこれらの実務に携わるアルバイトの管理まで、仕事内容は多岐にわたる。正社員として就く場合は、イベント系学科のある学校在学中にアルバイトで実績と人脈をつくっておくと有利。
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