【シゴトを知ろう】セールスエンジニア ~番外編~
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小売店や飲食店などで精算するときに使われているPOS(ポス)レジ。内部にはコンピュータが入っていて、何が・いつ・どれぐらい売れたなどの販売情報をデータで取得することができます。
番外編では、POS(ポス)レジのソフトウェアを開発する会社でセールスエンジニアをしている山田誠さんに、セールスエンジニアの「あるある話」などを伺いました。
この記事をまとめると
- レシートでレジの製造メーカーが分かる!? 記載されているのは商品名と金額だけじゃない
- 男性中心の職場だが、女性セールスエンジニアも増加しつつある
- あるときはライバル、あるときは仲間。他社との関わりも多い
買い物しながらレジをチェック。操作方法を教えたくなる
――セールスエンジニアならではの裏話はありますか?
買い物をしていると、お店にあるレジが気になってしまいますね。他社の製品でも目につきますが、自社の製品が置いてあるとちょっとうれしいです。
そんなときに、レジ担当の店員さんが操作にとまどっていると、つい使い方を教えたくなっちゃいます(笑)。ですが、仕事のとき以外はグッと我慢しています。
――業界の人しか知らないような常識や「あるある」話はありますか?
レジの機種によってレシートに表示される情報が違います。お店でレシートを受け取ったら、ぜひじっくり見てください。商品名と値段だけではなく、いろんな情報が印字されているんです。
業界にいると、買い物をした後のレシートを見るだけで、「このレジは古いな」「このレイアウトは○○社のレジだ」といったことが分かります。
商品についているバーコードを読み取って金額を計算する機能はもちろん、クーポンが発行できたり電子マネーを決済できたりと、今のレジは本当にいろいろな機能がついているんですよ。
一昨年は育休取得! 男女問わず活躍できる環境は整いつつある
――セールスエンジニアの職場環境について教えてください。
時間的にも体力的にもきついイメージがあるかもしれません。トラブルが発生すると、お客さまに合わせて時間に関係なく急いで対応しなければならないことも確かにあります。
でも、最近は労働時間がだいぶ改善されています。一昨年、2人目の子どもが生まれた時には、1カ月間育休を取得しました。
セールスエンジニアとして働く女性はまだ少ないですね。ただ、少ないながらも皆さん活躍していて、結婚や出産後もバリバリ仕事を続けている方が多いです。
お客さまに、POSレジにどんな機能が必要なのかヒアリングしたり、使い方を提案する男女差のない仕事内容ですから、これからはもっと女性が活躍してくれるといいなと思っています。
――業界内ではどんなキャリアパスがありますか?
会社によってキャリアパスは違うでしょうが、弊社に新卒で入社した場合は、まずはテスターやプログラマーとして経験を積んで、だんだん上流(*)工程に移っていきます。そこで、セールスエンジニアとしてお客さまのところに行ったり、あるいは社内でプロジェクトリーダーをしたりするようになります。
他社では、営業を担当してから技術を勉強してセールスエンジニアになる方もいるようです。
セールスエンジニアになった後は、専門性を高めてずっと現場で働く方もいますし、管理職になって複数のセールスエンジニアのマネジメントしたり、プロジェクト全体の責任者になったりします。
また、技術志向の強い方は、セールスエンジニアの経験を生かして、よりお客さまから必要とされるソフトウェアの開発をする場合もありますね。
*上流:要件定義や設計といったシステム開発における初期工程のこと。プログラミングやテストの工程は下流と呼ばれる。
コンピュータ業界はもちろん流通業界の情報も積極的に収集
――業界内で横のつながりはありますか?
会合などはありませんが、横のつながりは結構ありますよ。同じ業界にいれば、いろんなところで同じ人に会うこともあります。
特に弊社はPOSレジの本体は提供せず、POSレジ用のソフトウェアだけを提供しています。どのメーカーのPOSレジも内部にはWindowsが入っているので、弊社で提供するアプリケーションが使えるんです。
ですからPOSレジ本体を開発するメーカーの方とは、あるところではライバル関係だったのが、別のところでは「一緒に提案しましょう」とお互い仲良く手を組んで仕事をすることもあります。ライバル関係になったり、一緒に働いたり、そこにはビジネス上の駆け引きがあって面白いですね。
――働くにあたって、意識されていることはありますか?
デスクワークが多く運動不足になりがちなので、40代になってからは体調管理のために走っています。
情報収集の面でいえば、コンピュータ系だけではなく流通系の情報も、専門誌を読んだりインターネットで探して集めています。セールスエンジニアとしてお客さまに接する時に、相手の業界の商習慣や話題を知っている必要がありますので、新製品や話題になっている情報は追いかけるようにしています。
IT技術の専門家とそれを使う人とをつなぐセールスエンジニアは、営業(セールス)と技術者(エンジニア)、両方の顔を持っています。どちらかに偏ることなく、両方をバランス良く兼ね備えている人が向いている仕事だという印象を受けました。
企業活動においてだけではなく日常生活にもコンピュータが入り込んでいる現代、セールスエンジニアの活躍の場はさらに広がっています。コンピュータと人、どちらも好きという人は、将来の夢の候補の一つとして考えてみるといいかもしれませんね。
【profile】株式会社ヴィンクス リテールソリューション第3事業本部ストアシステム部 山田誠
株式会社ヴィンクス http://www.vinx.co.jp/
この記事のテーマ
「コンピュータ・Web・ゲーム」を解説
デジタル情報をつなぐシステム構築をはじめ、webやゲーム、アニメーション、映画など、メディアやコンテンツを創り出します。コンピュータの設計・開発などを学ぶ情報処理系と、アニメ・ゲームなどの制作を学ぶコンテンツ系があります。また、ビジネスの現場で広く使われているアプリケーションを使いこなすスキルを身につける授業もあります。
この記事で取り上げた
「セールスエンジニア」
はこんな仕事です
ソフトウエアやハードウエア、OA機器などのセールスを行う仕事で、エンジニアと営業、両方の役割を持つ。営業担当者と顧客の元へ出向き、システムの情報を提供しつつ製品の導入を促す。製品に関する専門知識が必要で、顧客からの相談や質問にも即座に対応しなければならない。また、相手に分かりやすく説明し、納得してもらうための対話能力も必要とされる。顧客の元に何度も足を運ぶなどハードな面もあるが、自分の提案が受け入れられたときの満足感は大きい。
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