【シゴトを知ろう】セールスエンジニア 編
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私たちの身の回りにはコンピュータを使ったさまざまな製品があります。セールスエンジニアは、ソフトウェアやハードウェア、OA機器などを取り扱う会社で、エンジニアと営業、両方の立場からお客さまに製品を薦めたり、使い方をサポートしたりする仕事です。
今回は、みなさんがお店でよく見かけるPOS(ポス)レジのセールスエンジニアをされている山田誠さんに、仕事内容やコンピュータ業界に入ったきっかけなどについてお話しを伺いました。
この記事をまとめると
- お客さまと直に接する仕事だからこそ、やりがいもあれば大変なこともある
- インターネットの可能性に引かれコンピュータ業界へ
- セールスエンジニアに必要なのは、プログラミングの知識よりもコミュニケーション力
お客さまに近い仕事だから、柔軟な対応が求められる
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください
スーパーなどで買い物をして会計する際、商品についているバーコードをかざすと「ピッ」と音がするレジがありますよね。そのようなレジをPOSレジと呼ぶのですが、そのPOSレジの内部のソフトウェアを開発したり、POSレジを使っているお店に開発したソフトウェアの導入を薦めたりする仕事をしています。なので、取り引きをするのは小売店や飲食店など店舗になります。
お客さまの都合に合わせて訪問や商談を行うので、勤務内容や時間は日によって違います。受注したお客さまだけではなく、これから受注しそうなお客さまのところに営業担当者と共に出向いて、技術的な部分を説明することもありますし、お客さまに合わせてソフトウェアの内容を作るなどプロジェクトの管理やソフトウェアの導入も担当しているので、仕事の内容は幅広いですね。外出しない日は社内でデスクワークをしています。
<ある一日のスケジュール>
09:00 出社
09:30 メールチェックや事務作業などのデスクワーク
12:00 昼食
13:00 取引先との打ち合わせ
18:00 帰宅、仕事の進行状況によっては残業することもある
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
システム開発の仕事は、自分が開発したシステムがどこで使われているのかが分からなかったり、大きなシステムの一部分の開発だけを担当するので、全体像がなかなかイメージできなかったりすることもあるんです。
でも、POSレジはお店にあるので、買い物をするときなど、実際に動いているところを見ることができます。自分が開発・導入したPOSレジを使っている方の姿を具体的にイメージできるところにやりがいを感じますね。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
この仕事の大変さは、実は楽しさと表裏一体です。セールスエンジニアはお客さまと直接接する仕事なので、トラブルが起こったときは、すぐに私にクレームが入ります。
また、お店のレジですから、トラブルが起こった場合の緊急度はかなり高いです。大抵のレジはネットワークにつながっているので、リモート(遠隔)操作でレジに接続して、プログラムの不具合などの原因を探って対応します。
POSレジを使うだけならコンピュータの知識は特に必要ないのですが、Windows上でアプリケーションが働く仕組みなので、動作がおかしくなると一般の人には解決できません。エンジニアが必要になりますね。
ヘルプデスク(*)に「レジが立ち上がりません」と電話が入って、現場に急行することも、たまにあります。
*ヘルプデスク:商品の操作方法や技術的な問題、サービスに関する問い合わせなどを受け、電話またはメールで対応する仕事や担当者のこと。
手に職をつけたいと思い、コンピュータ業界を選んだ
Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
私が就職活動をしていた当時は、Windows95が出てきて、「インターネットがこれから広がる」「これからパソコンでいろいろできるようになる」と言われ始めていた頃でした。
私はパソコンができたわけではないんですが、手に職をつけるつもりでこの業界を選びました。
セールスエンジニアの仕事に就いたのは、新卒で入社した会社で配属されたのがきっかけです。POSレジのセールスエンジニアがやりたいという強い思いがあったわけではなかったんですが、だんだん面白さを感じるようになりました。
10年ほど前に転職した際、他の業界で働くことも考えてはみましたが、引き続きPOSレジに関わりたいと思って現在働いている会社に入社しました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学では宇宙物理を学び、4年生の時に所属していた研究室では宇宙物質について研究しました。
小さい頃から星が好きで、アインシュタインとかホーキンス博士に憧れていたんですが、研究者になったとしても生活していくのは簡単ではないと思い、4年生の時に「このまま大学院に進んで物理学を研究するのではなく就職しよう」と決め、大学のあった茨城から東京に出てきて就職活動をしました。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代に星を見ながらアインシュタインやホーキンス博士に憧れていた気持ちが、今の仕事につながっていることはありません。
でも、理系科目は得意だったので、コンピュータやエンジニアの仕事に苦手意識はありませんでした。それが、セールスエンジニアの仕事につながっているのかもしれませんね。
貴重な高校生活、今やりたいことに打ち込もう!
Q7. どういう人がセールスエンジニアに向いていると思いますか?
コミュニケーション能力のある人ですね。お客さまと接する機会が多いですし、プロジェクトを組んでそのメンバーと一緒に仕事をしなければいけないので、人づきあいがかなり重要になってきます。
プログラミングについては、ある程度の知識が必要です。私も、入社した頃はプログラミングの仕事もしていました。でも、分業化が進んでいますし、仕組みが分かる程度で大丈夫ですよ。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
高校生活は3年間しかなく、本当にあっという間に終わってしまいますが、文化祭をはじめとするイベントや部活などに打ち込むのがいいと思います。それが将来役に立つかどうかは分かりませんが、何かに熱中した経験が有るのと無いのとでは、人生の楽しさが違ってきますよ。
今はまだどの道に進みたいのか分からない人が多いでしょうが、楽しみながら打ち込んだ中から、自分のやりたいことや将来の方向性が見えてくるんじゃないかなと思います。
高校、大学で学んだこととは全く関係のない仕事に就いた山田さんですが、高校時代に仲間たちと結束した経験はお客さまとのコミュニケーションや社内調整に、大学時代に研究に打ち込んだ経験は新しいシステムやソフトウェアについて学ぶ姿勢に、それぞれがしっかり生きているのではないかと感じました。
その時は関係ないように思えても、高校生活の中で体験したことが、将来、自分自身を輝かせることにつながります。皆さんも好きなことに思い切り打ち込んでみてはいかがでしょうか。
【profile】株式会社ヴィンクス リテールソリューション第3事業本部ストアシステム部 山田誠
株式会社ヴィンクス http://www.vinx.co.jp/
この記事のテーマ
「コンピュータ・Web・ゲーム」を解説
デジタル情報をつなぐシステム構築をはじめ、webやゲーム、アニメーション、映画など、メディアやコンテンツを創り出します。コンピュータの設計・開発などを学ぶ情報処理系と、アニメ・ゲームなどの制作を学ぶコンテンツ系があります。また、ビジネスの現場で広く使われているアプリケーションを使いこなすスキルを身につける授業もあります。
この記事で取り上げた
「セールスエンジニア」
はこんな仕事です
ソフトウエアやハードウエア、OA機器などのセールスを行う仕事で、エンジニアと営業、両方の役割を持つ。営業担当者と顧客の元へ出向き、システムの情報を提供しつつ製品の導入を促す。製品に関する専門知識が必要で、顧客からの相談や質問にも即座に対応しなければならない。また、相手に分かりやすく説明し、納得してもらうための対話能力も必要とされる。顧客の元に何度も足を運ぶなどハードな面もあるが、自分の提案が受け入れられたときの満足感は大きい。
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