【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]~番外編~

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【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]~番外編~

2017.08.22

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]~番外編~

2017年5月、映画『ちはやふる(上の句・下の句)』で第26回 日本映画批評家大賞の編集賞を受賞された映画エディターの穗垣順之助さん。映画編集という極めてプロフェッショナルな業界で数多くの監督たちから支持され、第一線で活躍し続ける秘訣、また日本映画界屈指の編集者である穗垣さんが仕事をする上で大切にされていることについて、お話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 編集者には技術だけでなく調整役としてのバランス感覚が求められる
  • 最近の映画の傾向は、観客の情報収集量に合わせてテンポが速い
  • 「編集」を感じさせない、心から楽しめる映画が優れている作品

編集者は技術はもちろん、バランサーとしての役割が求められる仕事

―― 第一線で活躍し続けている秘訣はなんだと思いますか?

編集という仕事は、素材があってはじめて成立する仕事ですから、監督との関わりは大切です。ありがたいことに、今まで多くの監督からお声がけをいただいていますが……なぜでしょうね (笑)?
おそらく監督の意図をくみつつも、客観的な視点で仕上がりのクオリティを保てることを評価していただいているのかと思っています。編集者は技術という職人的な面もありますが、それ以上に主観と客観のバランス感覚が必要な仕事です。いわば調整役なんです。監督や多くのスタッフに愛される「バランサー」という部分と、「最終的にアイツならうまくやってくれるだろう」という技術的な信頼感の両面が、評価をいただけているのではないかと思います。


―― キャリアの中で、きっかけとなった出来事はありますか。

僕の場合は、『電車男』という映画がまさにターニングポイントでした。この作品は、当時スケジュールがタイトだったことから、たまたま他の編集者が一人も手をあげなかったんです。そこですかさず、「僕、やります!」と申し出ました。
ちょうどフリーとなり駆け出し中だった僕にとって、メジャー作品に関わることは何よりの魅力でした。もちろん仕事はとんでもなく大変なものでしたが、そこで得た経験と信頼感は、間違いなく現在の仕事へとつながっています。
日々の仕事の中で、人にはそれぞれチャンスが回ってくる瞬間があると思うんです。だから常にアンテナを張っておくというか、そのタイミングをいかに逃さないかということが、重要なのだと思います。今でも当時の監督やプロデューサーとは、お付き合いが続いています。

全てのタイミングがそろった、映画『ちはやふる』の製作秘話

映画『ちはやふる(上の句・下の句)』。穗垣さんが2017年日本映画批評家大賞 編集賞に輝いた大ヒット作! 『ちはやふる -上の句-/-下の句-』  Blu-ray&DVD 好評発売中   発売・販売元:東宝   ⓒ2016映画「ちはやふる」製作委員会 ⓒ末次由紀/講談社

映画『ちはやふる(上の句・下の句)』。穗垣さんが2017年日本映画批評家大賞 編集賞に輝いた大ヒット作! 『ちはやふる -上の句-/-下の句-』  Blu-ray&DVD 好評発売中   発売・販売元:東宝   ⓒ2016映画「ちはやふる」製作委員会 ⓒ末次由紀/講談社

―― 映画『ちはやふる』での編集賞の受賞、おめでとうございます!

ありがとうございます。この作品は、役者・スタッフ・時期ともに「ちょうど全てがそろった」という奇跡的なタイミングが重なった作品でもあったんです。
例えば、広瀬すずさん、野村周平さん、真剣佑さんなど、主要キャストの透明感やフレッシュな演技は、年齢・キャリアともにあの時期でしか切り撮れないものでした。小泉徳宏監督も、自身で脚本を手がける方なので、編集を信頼してもらえてコミュニケーションが非常に取りやすかったです。

実は僕、原作のコミックにはまだ1冊も目を通したことはないんですよ (笑)。監督からは「先入観が入るから読まないで」と言われて……。これもあえての客観性です! ピュアな製作環境と透明感のある役者陣、さらに「競技かるた」という世界観や百人一首の奥深さが一様にそろってこそ、あれだけの仕上がりと評価につながったのだと考えています。


―― 苦労した製作秘話などをお聞かせください。

『ちはやふる』の場合、「上の句」のあとにすぐ「下の句」が控えていたので、「上の句でお客さまを引き寄せられなかったらどうしよう!?」というプレッシャーがすごくありました。結果として評価していただいたのでよかったんですが、その点、編集にもかなり気を使いましたね。
それから「競技かるたをどうやって見せるか」についても苦労しました。かるたを取るときの迫力は、何カットかは役者自身でも飛ばしているんですが、うまくいかないときはCGも利用しています。かるたを畳の裏から見せるシーンなどは、スタッフと見せ方を何度も話し合いました。事前にカメラテストや仮編集をして本番前に調整することは、製作する上で重要なプロセスだと思います。
『ちはやふる』については現在、次回作の製作が進行していますが、前作の評価が高かった分ハードルが上がりましたね。どうぞ、期待してください(笑)。

究極の理想は、見ている人に「編集」を感じさせないこと

―― 最近の映画や観客の傾向とはどんなものでしょうか?

最近の特徴としては、「テンポが速くなっている」ことがあげられます。海外の映画、ミュージックビデオや映像そのものを見慣れていて、テンポが速かったり細かいカットでも十分理解できることは多いです。だから編集で「ちょっと速すぎたかな」と思っても意外と大丈夫だったりします。
従来の典型的な邦画のカット数は600〜800カット。ハリウッドや海外映画になると、平均して2000〜3000カット。ちなみに『ちはやふる』では1000カット以上ですから、ずいぶん変わってきています。最近はお客さんが速いテンポや短いカットの中で圧倒的に情報収集できてしまうんだと思います。もちろん、物語としての緩急をつけるのは大前提で僕は長いカットを効果的に使うのは好きですし、長くないと伝わらないところはあると思いますが、それでもこの傾向は続くでしょうね。


―― 仕事上で理想としていることや大切にしていることは何ですか?

常に「お客さま目線」や「客観性」は失わないように心がけています。自分の関わった作品を、必ず映画館へ観客として見に行くんですが、やはりお客さまに「面白かった!」と手放しで楽しんでもらうことが原点です。僕自身も、子どもの頃『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような、ワクワクして楽しめるハリウッド娯楽作品が大好きでした。

反面、編集が主張している映画は嫌いなんですよ。そこに編集者の存在が見えるというか、意識させてしまうのは嫌なんです。究極の理想としては、「この映画編集してたっけ?」という感じ。作り手の意図を感じさせずに、お客様を物語の中に導きたい。編集は見えない方が優秀だと思うんです。
面白い映画を見ているときに、編集を意識するってことないですよね? 心から映画そのものを楽しめる、そんな編集が理想です。

それから、いい映画を見ると心底嫉妬しますね(笑)。たまたま知っている編集者だったりすると「面白かったよ、うらやましい!」と思わず電話で感動と本音を伝えてしまいます。
これからも、映画を見に来てくれるお客さまに、心から楽しんでいただけるよう頑張っていきます!



「日本映画批評家大賞」とは、映画を知り尽くした批評家たちから、その年の最高の結果を出した編集者に贈られる名誉ある編集賞。子どもの頃、自らが感動したように映画を心から愛し、監督や周りのスタッフからも愛されている、まっすぐな映画人、穗垣順之助さんの生き方を知れば知るほど、私たちも応援せずにはいられません。映画エディターだけでなく、将来は監督も見据えた、穗垣さんの今後のご活躍に期待しましょう!


【profile】株式会社 FILM(フィルム)映画エディター 穗垣順之助

広島県福山市生まれ
編集者:鈴木晄氏に師事。
伊丹十三監督作品の助手を務め『電車男』、『SP』、『ビリギャル』、『アンフェア』、『寄生獣』、『ちはやふる』などのヒット作を数多く手がける、日本屈指の映画編集者。
第26回 日本映画批評家大賞 編集賞 受賞『ちはやふる(上の句・下の句)』
(2017年5月16日)

穗垣順之助 Twitter:https://twitter.com/hogafet
ウェブサイト:http://www.film.co.jp/

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「映画エディター[編集]」
はこんな仕事です

撮影したフィルムやデータを場面ごとにつなぎ合わせて、1本の映画に仕上げる仕事。プロセスとしては、まず現場で撮影された膨大な量のデータを脚本に即して並び替え、1本のストーリーにまとめていく。この大枠ができた段階から監督が編集作業に参加。カットとカット間のつなぎ方、タイミングを微調整しながら仕上げていくことになる。以前はこうした作業は文字通りフィルムを切り貼りして行っていた。だが、近年はほとんどの作業がデジタル化している。まずは専門学校などで映像編集技術を学ぶことがスタートとなるだろう。

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