【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]編

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【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]編

2017.08.22

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】映画エディター[編集]編

映画製作の現場において、監督でも脚本家でもなく、素材である映像・音声を編集することで1つの作品を生み出す「編集者=エディター」という仕事。
伊丹十三監督作品の助手をはじめ、『電車男』、『恋空』、『SP』、『ちはやふる』など、数々のヒット作を手がけてきた日本映画界屈指の編集者、株式会社FILMの穗垣順之助さんに映画エディターという仕事がどういうものか、またその魅力について伺いました。

この記事をまとめると

  • 映画エディターは、単なる切り貼りではなく映画をカタチにする仕事
  • きっかけは子どもの頃に見た『ゾンビ』
  • 人との調整能力と最終的な安心感が求められる仕事

映画エディターとは、監督の意図をくみ映画をカタチにする仕事

Q1.映画エディターの仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。

一言でいうと「映画をカタチにする仕事」です。一般的には、撮影した素材を単純につないだり切り貼りするように思われがちですが、実はそうではないのです。監督・スタッフ・俳優など、たくさんの人が関わる映画製作において、映画を一番最初に「カタチにする」のが映画エディターの仕事です。言い換えれば「一番最初のお客さま目線」で捉える存在、それが編集です。

通常、監督から「こういう順番でつないでほしい」という「カット割」というものが送られてきます。僕のスタイルは、あえてそれを見ないで編集を始めます。それは「撮ってきたものが全て」と考えているから。映っているものを見て、まず自分なりにカットの並びを構築し、ある程度形ができたら監督のカット割と答え合わせをする感じです。
お客さまに物語を感じとっていただくためには、編集も先入観のない本質からスタートするべきだと考えるのです。不思議なことに、監督のカット割とだいたい一致していることが多いです。監督がどうしてもという箇所は調整しますし、不要なカットだと思えば、客観的な意見を監督に提案することも編集として重要な役割です。

そういうこともあり、エディターは監督とマンツーマンの距離感で仕事をします。1日のスケジュールも監督がいるかいないか、監督のタイプが朝方か夜型かで大きく異なります。共通しているのは、朝10時に出勤して編集を行い、ランチ休憩を約1時間はさんで、午後からまた18時頃まで編集作業という風に、ただひたすら編集していること(笑)。かつては夜中までという時期もありましたが、最近はなるべくオン・オフを明確にして、集中するよう心がけています。

1本の映画製作には「編集ラッシュ」と呼ばれるスタッフや身内だけの試写が何回か組まれます。それに合わせて自分でノルマを決めて「今日はここまで」と順番通りに作業を進めていきます。基本、映画の頭から始めて、次はその途中からというふうに区切ります。編集ラッシュ(試写)の後には必ず大きな打ち合わせがあり、そこからは打ち合わせに基づいた改善を反映し、完成まで導きます。

ある程度大きなモニターでチェックしていますが、映画館のスクリーンで見せることが大前提ですので、正確なジャッジはやはり編集ラッシュの試写内で、共有して確認するようにしていますね。


Q2. 映画エディターの仕事のやりがいや楽しさは何だと思いますか?

映画に携わる人は皆そうだと思いますが、「人の感情をコントロールできる仕事」ってなかなかないと思うので、そこは楽しいです。僕は自分が関わった作品は必ずお金を払って映画館で見るようにしています。隣の席で高校生たちが泣いたり笑ったりしていると、とてもうれしくて。見終わった後「すごくよかったね」とか、時には「つまんなかったね」なんて聞いて落ち込みつつも、やはりうれしいですね。
編集という仕事は、物語においてある人を悪人にも善人にも見せてしまう、ある種「神」のような気分が味わえる醍醐味があります。その分、すごく責任も感じますが。
例えば速度。ずっとハイスピードで撮ってパッとノーマルに戻す瞬間や、スローモーションなど、緩急をつけるだけで時間までコントロールできるんです。お客さまに対して、感情だけでなく時間まで楽しんでもらえる仕事は、たぶんエディターだけだと思います。多くの方に一度に楽しんでもらえるのは、この仕事のやりがいといえます。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

一番つらいのは、監督とうまくいっていないときですね。もちろん、最終的には監督に従いますが、経験値から一生懸命提案しても分かってもらえないこともあります。
それからたまに、ああでもないこうでもないと悩みすぎて、深みにハマることがあります。いわゆる「正解が見えなくなる」状態です。苦労して考えたのに、完成したものが思い描いた効果を生み出していない時も落ち込みます。

素晴らしい師匠との出会いが、現在の自分へと導いてくれた

Q4. どのようなきっかけ・経緯で現在のお仕事に就きましたか?

小4の頃、映画『ゾンビ』を見たんです。その時、なぜか全く怖さを感じなかった。それ以上に「これ、どうやって作っているんだろう !?」という興味が湧いてしまって。おそらく幼心に「つくりものだ」と分かっていたんでしょうね。そこから特殊メイクに夢中になり、中学生になると自ら挑戦してみるわけですが……。絵も得意ではなかったし、あまりの手先の不器用さに「あ、これは無理だ」と才能のなさに気づくわけです(笑)。
それでもやはり映画が大好きだったので、自主映画みたいなものにも少しずつ手を出し始め、高校時代はずっと「映画監督になりたい」と言っていました。先生には「なれるわけないだろう」と馬鹿にされていましたが(笑)。少しでも早く働きたかったので、大学ではなく広島県の福山市から上京して、専門学校に入学したんです。


Q5. 専門学校ではどんなことを学びましたか?

通っていた専門学校は、現場感が漂う環境でした。ここで恩師として出会ったのが、後の僕の師匠でもある編集者、鈴木晄(あきら)さんです。鈴木さんは『太陽を盗んだ男』や伊丹十三監督作品などを手がける日本映画界を代表する編集者で、とにかく授業がとても面白かったです。それまで自分なりにいろいろ勉強してきたつもりだったのですが、「編集」の面白さや概念を根底から覆されました!
授業で印象的だったのが「顔のアップ・顔の引き・ツーショット・バックショット」という4枚の絵。これらをどう並び変えるかによって、物語が楽しく見えたりかわいそうに見えたり不安げに見えたり、どんどん変わっていくんです。これにはショックを受けました。その後は編集の魅力にハマり、鈴木さんに弟子入りしました。そこから伊丹監督の『スーパーの女』などの作品に関わっていきました。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

僕は高校生でやりたいことがかなり明確だったので幸せでした。やりたいことを見つけることが、実は一番大変だと思うので……。
地方に住んでいたし情報は少なかったけれど、それでも自分なりに映像を撮ったり、つたないなりにも必死にアクションは起こしていました。やはり自主的に動いてみることが大切だと思います。
それから僕は『スター・ウォーズ』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など、ハリウッドの娯楽映画が大好きでした。それらは夢の後押しになったと思うし、もちろん今でも「監督になりたい」という野望は健在です! お客さまを楽しませたり、ときには怖がらせたいですね。

エディターは究極のバランサー!?  求められる「技術と安心感」

Q7. どんな人が映画エディターに向いていると思いますか?

「自分の意見をちゃんと持っている人」。後輩を見ていて思うのは、素直に何でも「あ、いいですね」だけでは少しモノ足りない。技術はなくても、自分の考えを明確にいえる子は、続くかなと思いますね。
それから、何をするにも客観視できることが大切です。監督の中には作家性の強い主観的なタイプがたくさんいますから。エディターというのは意外に「バランサー」なんです。監督やプロデューサー、各部署から言いたい放題いわれる中で、作品を一番よく見せるためにはどうバランスを取るか、お客さまに伝わるように仕上げていくわけです。編集技術やセンスを持っているのは当然として、自分の考えを伝えつつ、コミュニケーション能力も保てるという、安心感や信頼感。「こいつに任せれば大丈夫」という感じでしょうか。
もちろん、映画好きであることはいうまでもありません。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

僕は高校時代、先生や周りの人に「そんなのは無理だ」と言われながらも「映画監督になりたい」と言い続けていました。だからこそいえるんですが、少しでも「こうなりたい」と興味を感じたら、自分でアクションを起こしてほしいと思います。「どうせ僕には無理だ」と決めつけずに動いてみないと、失敗も、後悔すらもできないですから。それに今はネットでも動画でも、情報収集ができますよね。皆さんの可能性はものすごく広がっているはずです。
映画製作に興味があるなら、迷わず親のカメラを借りて、まず何か撮ってみることをオススメします。
編集は一からものを作るというよりは、良質な素材を生かして料理する、シェフのようなもの。作るものの責任感やプレッシャーは大きいですが、やりがいや楽しさも人一倍大きい仕事です。僕のメッセージが少しでも皆さんに届けられたらうれしいです!



日本映画界期待の売れっ子映画エディターの穗垣さん。生き生きとしたまっすぐな瞳が、誰からも愛される人間力の高さを物語っています。柔らかい物腰の中にも冷静な強さがあり、技術力やセンスはもちろん、監督から引っ張りだこという懐の深さが垣間見えたような気がしました。これからもすばらしい娯楽映画を、私たちに届けてほしいですね。


【profile】株式会社 FILM(フィルム)映画エディター 穗垣順之助

広島県福山市生まれ
編集者:鈴木晄氏に師事。
伊丹十三監督作品の助手を務め『電車男』、『SP』、『ビリギャル』、『アンフェア』、『寄生獣』、『ちはやふる』などのヒット作を数多く手がける、日本屈指の映画編集者。
第26回 日本映画批評家大賞 編集賞 受賞『ちはやふる(上の句・下の句)』
(2017年5月16日)


穗垣順之助 Twitter:https://twitter.com/hogafet
ウェブサイト:http://www.film.co.jp/

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

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この記事で取り上げた
「映画エディター[編集]」
はこんな仕事です

撮影したフィルムやデータを場面ごとにつなぎ合わせて、1本の映画に仕上げる仕事。プロセスとしては、まず現場で撮影された膨大な量のデータを脚本に即して並び替え、1本のストーリーにまとめていく。この大枠ができた段階から監督が編集作業に参加。カットとカット間のつなぎ方、タイミングを微調整しながら仕上げていくことになる。以前はこうした作業は文字通りフィルムを切り貼りして行っていた。だが、近年はほとんどの作業がデジタル化している。まずは専門学校などで映像編集技術を学ぶことがスタートとなるだろう。

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