【シゴトを知ろう】ランドスケープアーキテクト 編

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【シゴトを知ろう】ランドスケープアーキテクト 編

2017.08.17

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】ランドスケープアーキテクト 編

建物を設計する建築家に対し、ランドスケープアーキテクトは建物の外の景観を含めて設計する職業です。物事をより広く考えることが好きな人にはとても楽しい仕事なのだとか。与えられた空間で人がいかに心地よく過ごせるか。そう考えることは、人間への興味や理解にも生きてきます。アメリカでランドスケープについて学び、現在日本を拠点に世界各国のランドスケープの案件を手がけている都田乙(みやこだ きのと)さんに、その仕事の魅力について伺いました。

この記事をまとめると

  • 公園の設計からまちづくりまで手がける幅の広い仕事
  • 自分が納得してできたことなら、やりがいはどんなことでも感じられる
  • 海外のスケールの大きなランドスケープ(景観)に触れる経験も大切

「人がその空間をどのように使うか」を考える

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。

ランドスケープアーキテクトの仕事は幅が広いです。案件の種類だけでも公園、駅前の広場、複合商業施設の外構や屋上庭園、レストランの庭、個人宅の庭の設計などさまざまです。設計だけでなく“まちづくり”の仕事もあります。
例えば駅前に公園を中心に新しく開発するエリアがあったとしたら、ワークショップを開いて住民の意見を吸い上げたり、どのような人々がどのようにその公園や施設を利用するのかを分析したりして基本設計をまとめます。「健康にいい街」というテーマであれば、シニア層のために公園に運動できる場所を作ったり、子どもたちのためにプレーパーク(自由に遊べる公園)を作ったり、自転車道の整備やマラソン大会などのイベントも含めて企画提案をします。実際に設計する段階になると図面を引いたり工費を計算したり、施工を管理するところまで引き受けます。
僕は設計もしますが、取締役として人事・教育・会社のシステムづくりも担当しているので、どの案件を取りに行くか、どのようにスケジュールを回すかということも常に考えています。

スケジュールは日によって異なります。月曜の朝は社内ミーティングで全体スケジュールを共有・調整し、火曜日以降はお客様と打ち合わせをしたり、新しい案件の敷地を下見に行ったり、企画書や設計図を書いたりしています。主に私は企画の骨子を考えたり必要な作業を洗い出し、情報集めや図面化などの作業はスタッフに割り振ります。若いスタッフにはなるべく考えるところから取り組んでもらうようにしています。その方が早く勉強できるし、やりがいも持てますからね。納期前は忙しくなることもありますが、アメリカで仕事をしていた頃に時間内で終わらせることの大切さを学んだので、夜は19時頃には切り上げるようにしています。そのためにもうまく仕事を分担することが大切だと感じています。

[実績]ほたるみ橋公園(南アルプス市):棚田の風景を生かした持続可能な景観を設計。手すりの代わりに御影石の石柱を使ったシンボリックなデザインが高い評価を受け、全米ランドスケープアーキテクト協会より全米優秀賞を受賞。

[実績]ほたるみ橋公園(南アルプス市):棚田の風景を生かした持続可能な景観を設計。手すりの代わりに御影石の石柱を使ったシンボリックなデザインが高い評価を受け、全米ランドスケープアーキテクト協会より全米優秀賞を受賞。

Q2. どんなときに仕事の楽しさ・やりがいを感じますか?

設計したものが出来上がり、実際に人が使っているのを見たときですね。アメリカでランドスケープアーキテクトとして働いていた頃に、築40年くらいの古い病院の中庭を設計したことがありました。煙突や排気管がむき出しの無機的な空間を色彩豊かなヒーリングガーデンに変えたのですが、完成後に車椅子の患者さんが庭に出て自然の中でくつろいでいるのを見たときはうれしかったですね。それまでには見られなかった光景でした。
一方で普段の仕事を一つひとつ処理していくこともやりがいの一つなのかなと思います。提案書でもデザインでも、ある程度自信が持てるものができたときはうれしいですし、雑用ですら「きっちりやったぞ」と思える時はやりがいを実感します。

[実績]グリーンヒルズ津山

[実績]グリーンヒルズ津山

Q3. 仕事の大変さを感じるのはどんなところですか?

予算が少なかったり、意思疎通の難しい取引先だったり、いろいろな案件がありますから、全てが思うようにいかない大変さはあります。そんな時は、できることに対して、誠意を持って真剣にコツコツ取り組むようにしています。それに好きなことだけしていればいいという仕事はありませんからね。そんな仕事があるなら見てみたいですが(笑)。
僕らの仕事もバラ色の世界と思われることがあるのですが、それは一面でしかありません。高校生の皆さんに伝えたいのは、“やりがい”を表面的な部分だけで判断しない方がいいということです。先ほども言いましたが、やりがいは自分が納得してできたことであれば、いろいろな場面で感じられるものです。仕事はいいことばかりではありません。うまくいかないこともありますが、それをどう克服してプロフェッショナルとして成長するかが大切で、乗り越えることが次のステップへの大きな経験(糧)になります。できる・できないは別として、チャレンジすることが実につながっていくのだと思います。

守られている環境を飛び出せるかどうかがポイント

海外の優良企業選考アワード(表彰式)でも数々の賞を獲得(写真はローマでのESQR Award授賞式)

海外の優良企業選考アワード(表彰式)でも数々の賞を獲得(写真はローマでのESQR Award授賞式)

Q4. どのようなきっかけでこのお仕事に就きましたか?

父もこの仕事をしていて小さい頃からいろいろな現場を見せてもらっていたので、自然な流れでこの世界に入りました。他の可能性に対して向き合ってこなかったという気もしますが。父の時代は、日本でランドスケープアーキテクトという職業の認知度は低く、僕が大学で建築を学んでいた頃も日本でランドスケープデザインを学べる学校は少なかったため、アメリカの大学院に進学しました。

大学院を卒業後は、ヒューストンにある、アメリカ南部では最大規模のランドスケープ会社で6年働いて帰国し、父の経営する会社に入社しました。アメリカの会社の東京支社としての役割も担っています。


Q5. 大学ではどのようなことを学びましたか?

大学では建築学部で一般的な建築設計について学びました。もともとランドスケープの仕事を志望していたので、ランドスケープの授業を選択したり、設計課題でも「ランドスケープ」や「まちづくり」などをテーマに取り組んでいました。
アメリカの大学院ではフィールドトリップという授業が印象的でした。実際に野外にランドスケープを見に行く授業なのですが、東海岸ならニューヨーク・ボストン・フィラデルフィア、西海岸ならサンフランシスコ・ロサンゼルスなど、いろいろな街を訪れました。グランドキャニオンやヨセミテ国立公園、レイクタホなどの大自然も見に行きました。メキシコに3週間滞在して、ランドスケープ・建築・美術・彫刻・インテリアデザインなどの学部を超えた学生チームでデザインの課題に取り組む授業もありました。日本の自然も良いものですが、海外のスケールの大きな自然に触れることで、それまでの固定概念を払い除けて物事を考えることができるようになりました。


Q6. 高校生のときに抱いていた夢や経験したことが、現在のお仕事につながっていると感じることはありますか?

高校2年生から3年生にかけての1年間、東京都の奨学金を受けてインドネシアのジャカルタに留学しました。ニューヨークやパリなどの都市を選ぶこともできたのですが、「どこでもいい」と言ったらジャカルタになったんです(笑)。でも結果的に一番面白い経験ができたと思います。日本とは全く違う文化圏で、宗教も戒律が厳しいイスラム教。当時はまだ西洋化が進んでおらずカオス状態でしたから、そこで1年ホームステイして得られたものは大きかったです。

もちろん大変な思いもしました。日本のように分かりやすいシステムはなく、トラブルが起きた時に電話で説明して解決するだけでも大変でした。それも母国語でない言葉を使わないといけないわけですから。日本にいれば、手厚く守られた環境で生活できますが、それを抜け出してでも世界で生きていく力を身につけることは今後重要になってくるのではないかと思います。

簡単に結果が出る仕事ではない

海外からのインターン生も多く、社内では英語も飛び交う

海外からのインターン生も多く、社内では英語も飛び交う

Q7. どういう人がランドスケープアーキテクトに向いていると思いますか?

一般的によくいわれるのは「自然が好きな人」ですが、弊社では「簡単に結果を求め過ぎない人」とよく言っています。ランドスケープアーキテクトとは、結果が分かりにくい仕事です。コンペティション(設計競技)に参加しても全てに勝てるわけではないし、デザインの力は経験の積み重ねで身についていくものなので、長い目で着実にコツコツ取り組める人に向いていると思います。どの仕事でもそうだと思いますが、忍耐も大事です。
あとは絵を描いたり、「こんな風にしたい!」というアイデアを考えるのが好きな人。ただし、関係者や取引先の要望・意見にしっかり耳を傾け、自分だけでなく、数多くの人が納得し喜ぶ解決案にまで発展できる人。言われたことだけじゃなく自分で考えて実行・実現できる人。柔軟な人。気が利く人。結構たくさんありますね(笑)。
建築の仕事と違うのは、建物だけで完結せず、その場所のことだけでなく外とのつながりを考える仕事なので、広くいろいろなことを考えるのが好きな人には向いていると思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

今は物質的な豊かさよりも経験的な豊かさが重視される時代なので、環境が非常に大切になってきています。例えば公園でも、ただスペースがあればいい、座れればいいということでなく、そこがいかにいい環境・いい空間であるかが求められてくると思います。そこで人々がどんな体験・経験ができるか。そういったことを設計したいと考える人がいればランドスケープアーキテクトの勉強をしてみてほしいなと思いますし、国内にとどまらず外国に留学して勉強するのも良いことだと思いますよ。



スケールの大きな仕事を手がけている都田さんですが「雑用の中にもやりがいはある」というお話が印象的でした。自然や人やまちづくりに興味があるという人は、ランドスケープアーキテクトという仕事に魅力を感じたのではないでしょうか。
都田さんのお父様は日本におけるランドスケープアーキテクトの先駆者であり、著書『アメリカンランドスケープの思想―ランドスケープ・デザインを志す若人へのメッセージ』や翻訳を手掛けた『ランドスケープアーキテクチュア―環境計画とランドスケープデザイン』は、ランドスケープアーキテクトを学ぶ人にとってバイブルのような本だそうです。


【profile】株式会社景観設計・東京 都田乙(みやこだ きのと)
http://www.k3.dion.ne.jp/~keikan-t/

この記事のテーマ
動物・植物」を解説

ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。

「動物・植物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「ランドスケープアーキテクト」
はこんな仕事です

ランドスケープとは、景色や風景を意味する。ランドスケープアーキテクトとは、暮らしの中の安全、健康、福祉、環境などを考慮しつつ、美しい都市と地域を、デザイン的手法を用いて構築する建築の専門家を指す。環境の保全を目標に、緑・水・土などの自然要素と共生できるデザインや、快適さを指向するレクリエーション空間のデザイン、伝統を受け継ぐデザインなど、エコロジーや人間性尊重が重視されるなか、官民両分野で活躍の場は広い。実務経験者を対象に試験による登録制度もある。

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