【シゴトを知ろう】ビリヤードプレーヤー 編
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みなさんはビリヤードをしたことがありますか? ビリヤードとは、長方形の「ビリヤードテーブル」の上にある球を、キューと呼ばれる撞(つ)き棒で撞き、その精度を競うスポーツです。ビリヤードは世界中で普及しており、特に盛んな地域はアメリカ・中東・東南アジアなど。日本国内の競技人口は、およそ400万人程度だと言われています。今回は、日本プロポケットビリヤード連盟所属で、同連盟の2017年全日本ランキング1位の土方隼斗選手に、その活動内容についてお伺いしました。
この記事をまとめると
- 大会出場がメイン、空いた時間にレッスンやイベントもこなす
- 実家の環境もあり、小学生でビリヤードの世界に入った
- じっくり考える頭脳プレー。メンタルコントロールも重要
大会での優勝は何度経験しても快感
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください
16才でプロになり、今年でプロ生活12年目です。年間を通じて大会に出場しています。国内の主な大会が年間15試合程度、それに加えてビリヤードの盛んな国の大会に出場するため、海外遠征もします。海外試合の出場数は年間5〜6試合程度でしょうか。アメリカ・中国・台湾・カタール・クウェート・ドバイ・フィリピンなどに行きます。
他には、スポンサーの運営するビリヤード場で週に1、2回程度レッスンのお仕事をしたり、ビリヤード普及活動の一環として、日本ビリヤードクラブのイベントに参加したりもしています。
<ある一日のスケジュール>
10時 大会スタート
ビリヤードの試合は2人対決、トーナメント制
1日を通して断続的に試合が続く
集中力を保つために、試合の日は朝食のみで昼食はとらないことも多い
18時〜22時 大会終了 (大会によって終了時間はさまざま)
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
大会が好きです。優勝したときの快感は何度経験してもいいものです。応援してくれる人もすごく喜んでくれるので、それを含めて気持ちいいです。
そのためにも練習するし、仕事もするというスタンスで取り組んでいますね。
ゲーム開始時に、ボールを散らすための最初のショットを「ブレイク」というのですが、打った時のボールの配置がもう何百万通りもあるというか、ひとつとして同じ配置になることはありません。それを自分なりに考えて、思い通りになるように組み立ることが面白いです。考えることがすごく好きなので、やっていて飽きることがありません。
また、大会やレッスンでいろんな方と知り合うことができるのは面白いです。大会は全国でありますし、海外もいろんな場所で大会があるのも魅力です。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
ビリヤードは運の要素が強いスポーツなので、その運を引き寄せられなかった時はつらいです。自分に向かない展開の試合が続くことがあると嫌ですね。
ビリヤードでは、相手が撞(つ)き続けていると自分の番が回ってこないということがあるので、時にはほとんどプレーできないで終わってしまうこともあるんです。そういう展開になると、世界チャンピオンでも勝てなかったりするんですね。
ですから結構波乱が多いです。始めた頃はそこが面白さでもありました。自分もアマチュア時代に世界チャンピオンに勝ったことが何度もあります。
逆に自分がトップに立つと、それが怖い面でもあるということです。
10才でビリヤードをはじめ16才の若さでプロに
Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
両親が東京・立川でビリヤード場を経営していました。10才の頃にビリヤードを始め、15才で学生日本一になりました。そして翌年プロテストを受け、プロになりました。
中学生の頃はとにかく試合に出まくって、実戦を積むことで腕を上げていきました。大会に出ると上手なプレイヤーもいるので、練習の際にはそういうプレイヤーの技術を参考にしたりもしました。
Q5. この仕事に就くために専門的な教育などを受けましたか?
僕自身もレッスンのクラスを持っていますし、誰かに教わったという方は多いと思うのですが、僕個人は誰かから指導を受けたことはほとんどなく、実戦での経験を積むことを中心に、ほぼ独学でここまでやってきました。
Q6. 幼いころからの夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
実家がビリヤード場という環境もあって、ビリヤードは幼い頃からとても身近なものでした。最初は遊びの範囲で楽しむ程度でしたが徐々に面白くなり、中学時代は、放課後から夜の7時、8時まで練習する日々でした。
その頃からプロビリヤードプレーヤーになるという思いに迷いを持ったことはありませんでしたね。
ビリヤードは頭脳とメンタルのスポーツ
Q7. ビリヤードプレーヤーに向いているのはどんな人ですか? ビリヤードプレーヤーに必要とされる適性についてお聞かせください
ビリヤードは頭脳プラスメンタル力で戦うスポーツです。
他のスポーツと違って、自分のタイミングでじっくり考えてからプレーするので、プレッシャーをしっかりと受け止め、自分の考えを頭の中で整理してメンタルをコントロールする力が必要です。
その上で、大事なところで良いシュートができる勝負強さが大事かなと思います。
また、ビリヤードは自分がどの程度うまくなっているかが自覚しづらいスポーツなので、根気を持ってやり続けられる人が向いていると思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
ビリヤードは、最初はとても難しいイメージですが、少しできるようになるとかなり奥が深く楽しくなってくると思います。
いろんな方とのコミュニケーションツールともなるので、ぜひやってみてもらいたいです。
10才で頭角をあらわし、16才の若さで史上最年少プロとなって以来、国内外の大会で第一線で活躍を続けている土方選手。頭脳とメンタル、そして運も大きく左右するビリヤードの魅力を分かりやすく語っていただきました。興味を持った人は、まずはビリヤード場やビリヤードの試合・イベントに足を運んでみてはいかがでしょうか。
【profile】プロビリヤードプレーヤー 土方隼斗
土方隼斗オフィシャルウェブサイト http://www.hayato-hijikata.com/
日本プロポケットビリヤード連盟ホームページ http://jpba.ne.jp/wp/
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「ビリヤードプレーヤー」
はこんな仕事です
ビリヤードの賞金などで収入を得る競技者。複数のゲーム方法があるが、主に手玉をワンショットで2つ以上の的球に当てるキャロムと、定められたルールのもとテーブルの6つのポケットに落としていくポケットの2種類。どちらも日本人プロによる団体が活動中で、近年は日本プロポケットビリヤード連盟がレッスンプロの募集を行っている。アマチュアも参加可能な大会が開催されており、賞金が設けられることもある。ビリヤード場で日頃から練習し、関係者から上達法や大会に関するさまざまな情報を得ることも重要だ。