【シゴトを知ろう】メンタルケア心理士 ~番外編~
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横浜でメンタルカウンセリングサロン「Eterno(エテルノ)」を開設している久遠ナオミさん。もともと法律関係の仕事をする中で心理学に興味を持ち、メンタルケア心理士の勉強を始めたと言います。当時身につけた法律の知識は、現在カウンセリングをする上でも大いに役立っているそう。その他にも、お仕事にプラスになっている経験などはあるのでしょうか。
この記事をまとめると
- 服装はスーツが基本。相談者の心理状態に配慮し身だしなみには気を配る
- 企業や行政、教育機関など、メンタルケア心理士の活躍の場はさまざま
- 部屋の模様替えや料理で気分転換。疲れた時には自然を見に行く
これまで勉強してきた多くの資格がカウンセリングに生きている
――仕事以外の経験で、仕事にもプラスにつながっていることはありますか?
私は興味があることは何でもやってみるタイプ。これまで心のケアに関する資格の他にも、ファイナンシャルプランナーやハーブコーディネーター、アロマアドバイザー、整理収納アドバイザーなど、さまざまな資格を取得してきました。「リラックスしたい」「寝付きが悪い」という方へのアドバイスにはハーブやアロマの知識を生かすことができますし、整理整頓が苦手なADHD(注意欠陥・多動性障害)の方に片付けのコツを分かりやすく伝えることもできます。「面白そう」と勉強してきたことが、全てカウンセリングに役立っていると感じます。
――お仕事をする上で、服装などで気をつけていることは?
カウンセリングの時は常に身だしなみを整えるよう心がけ、服装は基本的にはスーツです。心の不調を抱えている方は、「着替えるのも面倒」「外に出たくない」という気持ちになることが多いものです。でも、そのような方にきちんとした格好で相対することで、「私もきれいにメイクをしたい」などと言ってもらえることがあるんです。朝スーツを着ると私も身が引き締まり、「今日も一日頑張ろう」と思えます。
知識だけでなく「人の話を聞く」という経験が必要
――メンタルケア心理士にはどのような活躍の場があるのでしょうか
最近では、ストレスチェック制度など職場でのメンタルヘルス対策も強化されつつあり、活躍の場は広がっていくのではないでしょうか。私もこれまで社会保険労務士や税理士の方々と協力して、企業向けのセミナーなどを実施してきました。企業や行政、教育機関でのスクールカウンセラーなど、ニーズはたくさんあると思います。
――このお仕事を目指す上で経験しておいた方がいいことはありますか?
勉強をして資格を取得しても、実際に現場で経験しないと分からないことはたくさんあります。私もカウンセリングをしていると、クライエント(相談者)様から学ばせてもらうことが非常に多いです。この仕事を目指すなら、「人の話を聞く」という機会を積極的に持つようにしてください。例えば被災地や高齢者福祉施設でいろいろな人の話を聞く傾聴ボランティアなどは、とてもいい経験になると思います。
カウンセリングをもっと身近なものに
――不安やストレスを感じた時の解消法は?
毎日いろいろな悩みをお聞きしていると、時々自分の気持ちも落ち込みそうになることがあります。そんな時は部屋の模様替えをしたり、手間のかかる料理を作ったりして、気分を切り替えています。「本当に疲れて何もしたくない」という時は、海や山など自然を見に出掛けます。温泉が好きなので、あまり人の来ない穴場的な温泉に行ってのんびり過ごすこともあります。
また私には、カウンセラーとして歩む道を支えてくれる、とても大切なメンター(*)がいます。アメリカにいるメンターに年に1度会って心を休めることが、私にとって非常に大きな励みになっています。
*メンター:「良き指導者」「良き助言者」「恩師」などの意味
――業界の現状について思うことはありますか?
欧米ではカウンセリングはスポーツジムと同じくらい身近なものですが、日本ではまだまだそうではないのが現状。悩みを持つ方が気軽にカウンセリングを受けられる場所が、もっと増えてほしいと思っています。ゆくゆくはカウンセリングも健康保険適用の対象になるといいですね。医療機関である心療内科や精神科では、じっくりと時間をかけてお話を傾聴・共感するカウンセリングは難しいと思います。カウンセリングに健康保険が適用されれば、カウンセリングサロンにもっと気軽に足を運べるようになるのではないでしょうか。
久遠さんのサロンには、中学生から80代の方まで幅広い世代・立場の方が訪れています。カウンセリングの内容も多岐にわたるため、久遠さんは今も大学で講義を受けるなど学びを深めているそう。「興味があることは何でもやってみる」という向上心が、仕事に生かされているのですね。
【profile】Eterno(エテルノ) 代表 久遠ナオミ
http://www.eternel-salon.com
この記事のテーマ
「医療・歯科・看護・リハビリ」を解説
医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。
この記事で取り上げた
「メンタルケア心理士」
はこんな仕事です
心の健康を維持・回復するために相談を受けて援助する仕事。疾病などに苦しむ人の相談を受けて、心と身体との関係についての専門的な知識を用いて心のサインを特定し、これを解消するための方法を見つける。早い段階でこうした心のサインに気付くことは、疾病を未然に防ぐために重要となる。年齢、性別にかかわらず幅広い対象者の相談を受けて業務にあたり、医療機関だけでなく、企業や学校、行政機関、刑務所など活躍の場も幅広い。メンタルケア学術学会が認定する「メンタルケア心理士(R)」の資格を取得して就業する。
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