【シゴトを知ろう】植木職人 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】植木職人 ~番外編~

2017.06.27

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】植木職人 ~番外編~

木々を植え、そのお世話をするのが仕事だと思われがちな植木職人という職業。しかし実際は樹木を植えるための土台をつくったり、屋上緑化を工夫して行ったりと、異業種の人たちと交流し意見を出し合いながら植物にとっての環境を整える、そんな包括的な業務も請け負うダイナミックな仕事です。父親の働く造園会社に入る前に、外構工事や基礎工事なども行う企業で修行を積んだ鳥海さんに、植木職人としてのお仕事の魅力を語ってもらいました。

この記事をまとめると

  • 木を刈り込むコツは最終形をイメージして近づけていくこと
  • 他業種の人たちとの仕事が増えたことで、新しい人脈も技術も知識も得られる
  • 樹木は自然のなかに生きているということを理解するといい仕事ができる

樹木の寿命を決めるのは植木職人の技術

――街や公園を歩いていると、やっぱり植木などが気になりますか?

とても気になりますよ。「もっとこう切ってあげたらカッコよくなるのになぁ」とか「もうこの木の寿命は短いな」とか、いろいろ気になって見てしまいます。桜も、もともとあまり強くない木で、剪定(せんてい)で切り過ぎるなど、うまくやらないとそこから腐ることもあります。よくキノコのようなものが生えてきている桜があるでしょう? あれは中に菌が入り込んでしまった証拠で、ああなるともう寿命は長くないんです。桜の寿命は70年程度と言われていますが、それを縮めてしまうのも、全うさせてあげるのも面倒を見る人の技術次第。木は生き物ですから、特徴も個性もよく見て手をかけてあげたいですね。


――植木をかっこよく見せるコツってあるんですか?

上に真っすぐ伸びていく性格の木、逆に横に広がっていく木、いろいろありますがその特性を生かして美しく自然に仕上げるのが一番の基本だと思っています。下に向かって伸びてしまっている「下がり枝」や、他の枝にからみつく「からみ枝」などを適度に剪定して、内側に入り込んでいかないようにすっきりと見せるのがコツでしょうか。切り過ぎないように、切っては少し離れて見て、切っては離れて見てをくり返し、「この木をどう育てていきたいのか」「最終的にどんな形にしたいのか」をイメージして、それに近づけていくように剪定しますね。

制約のある難しい仕事は新しいアイデアを生み出すきっかけになる

――植木以外の土木や外構なども幅広く修行されたそうですが、何か役に立ちましたか?

非常に役立っています。父の働く会社の仕事の幅も広くなって、造園だけでなくその基礎づくりである土木工事なども引き受けられるようになりました。私たちの仕事は「なんでも屋」で、造園とは読んで字のごとく“園”を造る仕事です。測量から“地”を造る造成、雨水や汚水を処理する排水設備、上水道、ライフラインや塗装に至るまでさまざまな業種にまたがっています。専門職のようでありながら、まんべんない知識も必要で、下地づくりから最後の化粧まで携ることができる造園の仕事は奥が深くて楽しいですね。
また仕事の幅が広がった分、さまざまな分野からの相談も増え、他業種の方々と一緒に仕事をさせてもらうチャンスも広がりました。他業種の人と仕事をすると、また別の新しい技を教えてもらえて知識も増やせるのでうれしいことばかりです。どんな仕事でも同じかもしれませんが、結局仕事は「人とのつながり」。新しい仕事も人が連れて来てくれるものなので、この広がりは本当に有難いですね。


――高い所での仕事って怖くないですか?

“怖くない”という訳ではありませんが、安全帯もつけますし危険なことはないので大丈夫ですね。高所恐怖症だと植木職人にはなれないのでは?と思う人もいるかもしれませんが、臆病なくらいの方がむちゃをしないし、基本に忠実に取り組むのでよい仕事ができるんですよ。

話は違いますが、よく樹齢数百年という大きな木を切る時は必ずおはらいをするでしょう? 人間よりもずっと長い時代を生きてきて、さまざまなものを見てきた木には魂が宿っているような気がしますね。ですからその木を切り倒す時などは木の命を絶つような切ない気持ちになって、恐れおののくような気分です。


――今までの仕事で一番面白かった仕事はなんですか?

選ぶのが難しいですが……東京ガスの支社の屋上緑化の仕事をしたことがありまして、200平方メートルほどある屋上だったので、重量的に際限なく土や植木を乗せるという訳にもいかず、いろいろと工夫を凝らしました。普通ならコンクリートを敷いてその上に土をたっぷり乗せますが、まずは軽量コンクリートで下地をつくって人工土壌の軽い土を入れて、木を植えない歩道の部分は発泡スチロールを使ったり、とにかく最新の技術を使って軽量化を試みました。また屋上で樹木が風を受けやすいので、木を安定させるのも必須でした。普通は土をたっぷり使って木を深く埋め込んだうえに、さらに支柱を使って固定するところを、鉄のメッシュのようなものを敷き詰めて根を固定しました。制約があると苦労も多いのですが、逆に創意工夫や新しいアイデアも生まれて楽しかった記憶があります。

「植木屋は地球の美容師」という言葉を胸に刻んで

雑木林のような山を切り開いてマンションの建設計画が立てられました。

雑木林のような山を切り開いてマンションの建設計画が立てられました。

――ランドスケープ(景観)などのデザインも考えることがありますか?

そうですね。以前請け負った横浜市の緑道整備の仕事で、基本骨格はあるものの自由にアレンジしていいという現場だったため、昔の里山を再現するようなデザインにしたことがあります。背景に山があってわき水が出ているような自然環境が素晴らしい場所だったので、私も気合いが入りました。わき水でできた小さな川が雑草に埋もれていたので除草をしてその川を主役に、あえて段差をつけて自然な水音がするようにしたり、川の真ん中に水分け石というものを置いて水が二手に分かれるようなデザインにしました。

除草後にはわき水から流れる小さな小川も姿を現したので、これを生かしたランドスケープを考えました。

除草後にはわき水から流れる小さな小川も姿を現したので、これを生かしたランドスケープを考えました。

小川の底には田んぼや河川敷などに使用される荒木田土(あらきだつち)を敷きつめ、水が浸透しないようにしました。また普通のコンクリートを使うとアルカリ性が強すぎて植物や虫たちに悪影響があるので、中和剤をかけて中和させ、その上に土をのせてなるべく自然素材を使用するようにして、なるべく自然に近い環境をつくりました。ホタルを放流して、もともとあった山の雰囲気を近隣の方々に味わってもらうことができました。

施工後はこのような景観に。もともとあった小川を生かし、マンション内に親水公園ができあがりました。

施工後はこのような景観に。もともとあった小川を生かし、マンション内に親水公園ができあがりました。

僕は「植木屋は地球の美容師だ」といつも話すのですが(笑)、樹木や花々は地球にダイレクトに根を生やしていて、人間よりもずっと環境に影響されやすい生き物です。それを相手にする仕事ですから、視野を広く持ち、自然環境などにも興味を持った方がいい仕事ができると思います。



「この木は私が生まれた時に祖父が植えてくれた記念樹の楠です」と、うれしそうに庭を案内してくれた鳥海さん。話をしながらも手は片時も止まらず、木の枝をチョキチョキと切り揃え、数十種類もある樹木たちを一本一本観察していました。「木の寿命を伸ばしてやれるのも植木職人の技量」と、常に知識と技術を身につけることを怠らないその姿勢には、職人の気概を感じました。東京五輪までの環境整備はもちろん、その後もずっと残る遺産のつくり手として、そのお仕事ぶりに今後も注目したいですね!


【profile】株式会社笹山植木 植木職人 鳥海順一さん

この記事のテーマ
動物・植物」を解説

ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。

「動物・植物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「植木職人」
はこんな仕事です

会社や公共団体などが管理運営している庭園の樹木や、個人の家の庭木などを手入れして、その美しさを維持する仕事である。一つひとつの木の葉や枝のバランスも大事だが、庭園や庭の全体的な統一感も求められる。また、季節の移り変わりや天候の変化によって、庭の状態は大きく変わるのに加えて、依頼者のニーズも一人ひとり異なるため、全体を見回すことができる程度に熟練するには相当の時間と体力と根気が必要である。植木職人になるには、造園業を営む個人農家や会社組織で働いて経験を積むのが一般的である。

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