【シゴトを知ろう】植木職人 編

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【シゴトを知ろう】植木職人 編

2017.06.27

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】植木職人 編

造園の歴史は飛鳥時代にまでさかのぼります。古来より日本人は、庭や身近な自然の景観を整えて独自の世界観をつくりあげ、それを愛でて暮らしてきました。その担い手である植木職人という職業は、個人の庭からランドスケープデザインまでを包括的に引き受ける、幅の広い知識と技術がギュッと詰まったお仕事。植木職人として公共の施設やマンションの緑化管理の仕事から、個人の庭の手入れまでを行っている鳥海さんに、そのお仕事の内容について伺いました。

この記事をまとめると

  • 植木だけでなく、土木や外構工事も総合的に請け負っている
  • 同じことをしても熟練職人の手にかかると仕上がりが全く違う
  • 50年、100年単位で生きる樹木たちの将来を育てる仕事

個人宅のみならず、公園や街路樹などの緑化の仕事も幅広く手掛ける

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください

“植木屋”と聞くと、日本庭園の木々を大きなハサミでチョキチョキ整えて、縁側でご隠居とお茶をすすっているようなイメージがあると思いますが(笑)、今はそんな仕事もかなり件数が減ってきましたね。そのような個人の庭の手入れだと、草木の剪定(せんてい)や刈り込み、草刈り、除草、害虫駆除、肥料やりなどが主な仕事。数十年単位で長くお付き合いしていく中で、持ち主の好みに合わせて四季折々の庭造りをする楽しさがあります。

今一番多いのが街路樹や公園などの緑化管理の仕事で、これは都道府県や市町村の公共事業で、入札で仕事を獲得する形です。例えば大きな道路の街路樹などを植えたり管理する時は、市民生活に支障がないような制約が非常に細かく決まっています。落ち葉が少ない樹木を選んだり、木の根元部分も車いすや歩行者の邪魔にならないようなデザインにしたり、人が傘をさしても通れる歩道側の高さ(2m50cm)とトラックが通れる道路側の高さ(4m)を確保することも必要です。また公園などの場合は、子どもが登っても折れないような堅くて丈夫な木や、手がかからない木を選んで提案することもあります。こういった公共事業の仕事の場合は、樹木の剪定、落ち葉の清掃、除草、害虫駆除、雪や台風などで倒れた木々の処理などに加えて、日常的に見て回って手入れもします。

この他、マンションや団地などの敷地内の緑化管理を依頼されることもあります。生垣や樹木の選定、時にはマンション内にビオトープ(生物生息空間)をつくったり、マンション建設のためのランドスケープデザインから土木工事の一切を行ったり……基本的に建築物以外の部分は全て行うのが私たちの仕事。こうお話していくと「植木職人」という範囲から大きく逸脱しているように聞こえるかもしれませんが、私のなかではこの一連の仕事こそが植木職人としての仕事の醍醐味です。

<一日のスケジュール>
7:30 出社、仕事の準備
8:30 現場へ出発
9:00 現場到着し次第作業開始
10:00 休憩
10:30 作業再開
12:00 昼食
13:00 午後の作業再開
15:00 休憩
15:30 作業再開
17:00 作業終了
18:00 帰社後、事務仕事
20:00 帰宅

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

手をかけてやり遂げた仕事の一つひとつが形になって残っていくので、非常にやりがいを感じます。また自分が作った庭や公園は、その後も自分たちで管理をするので、付き合いが長年続きます。そのせいか、自分が引き受けた庭や公園はまるで我が子を育てているような感覚になってきて愛着が湧きますね。

新しい緑化事業の時などは先方から出された図面に対して、新しく考えたアイデアを提案をさせてもらったり、コスト減になる案を再提出したり、より良いものをつくろうと社内だけでなく社外の人とも議論を交わし合って切磋琢磨(せっさたくま)します。そういった真剣勝負の場は本当に楽しく感じます。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

基本的には外での仕事なので、真夏や真冬は正直つらいことも多いですね。真夏は2リットルのペットボトルを2~3本飲んでも、全部汗で出てしまうせいか1度もトイレに行かないほど。以前アルバイトの男の子が熱中症で救急搬送されたことがありました。夏から仕事を始めると、気温になれないまま暑い場所での作業を行なうことになるので、植木屋さんでアルバイトするなら春から入って徐々に暑さに慣れていくのがおすすめです(笑)。

また台風や積雪の季節も、倒木処理の緊急出動がかかりそうな時は、いつでも出られるように待機することもあります。特に木が倒れて道路をふさいでしまうケースなどは、急いで道路を開通させなければいけないのでスピード勝負です。樹木に関する知識や経験があるからこそ呼ばれている現場も多いので、大変ですができる限り役に立ちたいと思っています。

熟練の職人たちの技にふれ、背中を追いかける日々

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?

もともと父が造園の仕事をしていて、小学校の時から「絶対に俺も植木屋になる」と決めていました。土日に学校が休みになると、現場に連れて行ってもらって掃除などの手伝いをさせてもらっていましたね。父が仕事人間で日曜でも仕事を休まないので、父と一緒にいるには仕事先に行くしかなかったというのもるのですが。

大学で土木系の勉強をしようかとも思いましたが、やりたいことが決まっていたので、高校卒業と同時にこの世界に飛び込みました。最初は父の働く造園会社ではなく、土木から外構(フェンスやブロック、壁などの建物の外側全般)工事、造園までを一手に引き受ける会社に就職。造園以前の基礎づくりの部分を叩きこんでもらいました。この会社が想像を絶するスパルタ式の教育で……何も分からない新人の頃から現場を丸投げされるんですよ。18~19歳のド新人が、何の知識もなく丸腰で現場に行くもんだから職人さんたちからは怒られ、馬鹿にされ、本当に大変でした。現場が終わればすぐ事務所に帰って、先輩や上司を捕まえて昼間分からなかったところを質問して次の日に備える、そんな毎日でしたね。でもその会社の社長さんが「失敗してもいいから自分でやってみろ」という人だったこと、「ここで挫折したら何者にもなれない」という思いで歯を食いしばりました。おかげで半年で現場責任者を任せられるまでになれたので、この会社には本当に感謝しています。ここで6年間お世話になった後、父の働く会社に入社しました。

植木のみならず、造園や造成・排水・擁壁・水道・下水・ライフラインなど建築以外のことならほとんどの知識も学びましたので、今では造園だけでなく総合的な仕事も受けられるようになったと自負しています。植木という目に見える部分だけでなく、その下地づくりから手掛けられるのは仕事としては何より面白いですよ。


Q5. 今の仕事に就くために学んだことはありますか?

先に話した通り、学校を卒業してすぐの会社で土木や外構、設備などの知識を学ばせてもらったことが、今の仕事の幅を広げられた理由だと思っています。

また私たちが身を置く現場は、まさに職人たちの世界で、仕事というよりも“技”なんですよね。例えば植木の手入れも土木工事の基礎づくりも、基本は同じでやることも同じなのに、熟練の職人さんが手を動かすと全く違った仕上がりになるという、ある意味理不尽な世界。やり方を聞いても特別なことをしている訳じゃないので、こちらは見て技を盗み、日々精進を重ねて少しでも追いつくしかないんです。でもそういう技を持つ職人の方々と仕事を一緒にできるのはラッキーなことですし、やはり熟練の職人さんはかっこよく、「自分もそうなりたい」と自然に思えるんです。

Q6. 高校生の時に抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

この仕事に就くのは小学校の頃からの長年の夢だったので、そのまま叶った形ですね。両親は「年頃になったら地下足袋なんてカッコ悪いと言い出すだろう」と話していたようですが、それも全然ありませんでした。自分の腕一本で仕事して食い扶持(ぶち)を稼ぐというのが当たり前だと思って育ちましたし、とにかく父が仕事に愛情を持っていたので、自然にこの仕事の魅力にとりつかれたのかもしれませんね。

後世に残すレガシー(遺産)を自分の手でつくる醍醐味

Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?

「外で働く」というイメージを持てる人、そして「生き物相手の仕事」だということを理解できる人でしょうか。植木は口もきかないし、自ら動きもしませんが生き物です。虫も多いし、自然の中に生きていますから、当然私たちの仕事は屋外での作業が中心になります。

今「植木は動かない」と言いましたが、移動はしませんが成長という動きはあります。ですから新しく植木を植える時、数年後、数十年後にこの木がどうなっているかを想像し計画を立てなければいけません。野放図ではなく、馬でいう調教師のように「どう育てていくか」「どう伸ばそうか」を考え、その植物にとって無理がないように、その場所や人間とうまく共存できるように育てていく。人間の一生は100年程度ですが、木はそれ以上生きることもあって私たちよりずっと長生きですからね。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

これから東京五輪に向けて開発が進み、道路や公園、街路樹なども整備されていくでしょう。東京都知事がレガシー(遺産)という言葉をくり返し使っているように、私たちも五輪後も胸を張って後世に残せるような環境や設備を整えたいと思っています。「造園」や「植木職人」と聞くと、重労働で大変な仕事というイメージだけが先行するかもしれませんが、自分が手がけた仕事がずっと形に残り、そのメンテナンスも管理も自分に任せてもらえるという継続的で責任のある仕事です。新しく入ってくる新人さんたちは、「ここを乗り越えれば、これから仕事が面白くなる!」というタイミングで辞めて行ってしまう人もいるのですが、本当にもったいないですね。モノづくりに興味がある人、手に職をつけたい人にはぜひこの世界に飛び込んで来てほしいです。そして技術がある程度身につくまでは、ちょっと我慢して頑張ってほしいと思います。



技術を身につけ、腕一本で稼ぐ醍醐味を味わえる植木職人というお仕事。この道20年の鳥海さんでも「熟練の職人さんの技にはまだまだかなわない」とうなるほど、職人の技術力が尊敬され大切にされる世界でもあります。人間よりずっと長生きする木々たちを、その環境で生きられるよう、人と共存できるように「育てる」ことが重要だと話す鳥海さん。そんな風に来るべき未来を想像するお仕事は、とてもロマンがありますね。


【profile】株式会社笹山植木 植木職人 鳥海順一

この記事のテーマ
動物・植物」を解説

ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。

「動物・植物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「植木職人」
はこんな仕事です

会社や公共団体などが管理運営している庭園の樹木や、個人の家の庭木などを手入れして、その美しさを維持する仕事である。一つひとつの木の葉や枝のバランスも大事だが、庭園や庭の全体的な統一感も求められる。また、季節の移り変わりや天候の変化によって、庭の状態は大きく変わるのに加えて、依頼者のニーズも一人ひとり異なるため、全体を見回すことができる程度に熟練するには相当の時間と体力と根気が必要である。植木職人になるには、造園業を営む個人農家や会社組織で働いて経験を積むのが一般的である。

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