【シゴトを知ろう】南極観測隊員 編

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【シゴトを知ろう】南極観測隊員 編

2017.05.29

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】南極観測隊員 編

南極の東オングル島にある昭和基地を拠点として、地球環境と宇宙の観測をする南極地域観測隊員。一日中太陽が昇らない冬(日本の夏の時期)を含めて1年間活動する隊員を「越冬隊」と呼び、毎年およそ30名が任務にあたっています。
その越冬隊として活動した医師の森川博久さんは、南極地域観測隊員に応募した時、千葉県館山市にある病院で家庭医療の専門医を目指して働いていました。みなさんが日常送っている生活とはかけはなれた環境で仕事をする南極地域観測隊員の仕事について、お話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 隊員のけがの処置や治療、健康管理の他、除雪作業や生物調査にも関わる
  • 高校卒業後働きながら進学を目指し、2つの夢をかなえた
  • 南極地域観測隊員は専門家の集団。仲間と語り合うことで好奇心が刺激される

極限の地で30人の健康を支えた一年間

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください

2015年12月に日本を出発し、2016年2月から2017年2月まで南極に滞在した第57次南極地域観測隊越冬隊(30名)で、設営・医療隊員として活動していました。
厳しい健康診断を通って観測隊員になった人たちばかりなので、医師としての出番はあまりありませんでしたが、屋外での作業が多い人には擦り傷や切り傷が発生したり、重いものを持つ作業で腰や膝、肩を痛める人がいましたね。
冬の間は、南極大陸周辺の海が厚い氷で覆われるため、昭和基地には船や飛行機は近づけません。完全に孤立して越冬隊員だけの生活が続くので、極夜(太陽が一日中沈んでいる時期)や仕事のストレスで眠れなくなる人へのケアが必要な場合もあります。

<ある一日のスケジュール>
07:00 起床、朝食
08:00 ミーティングでその日の予定確認、全体作業の役割分担、作業
12:00 昼食
13:00 作業
17:00 作業終了
18:00 夕食
18:45 ミーティング(人員確認も兼ねて全員出席)
20:00 自由時間

<健康診断の日のスケジュール>
05:30 起床、医務室の準備
06:00 健康診断開始
    2名の医師が役割を分担して採血と診察を行う
    問診や体温・血圧・体重測定は医師以外の隊員が補助
08:00 健康診断終了
    血液を処置して結果を評価
    尿や唾液などの検体検査・冷凍保存処理
13:00 診断結果のレポート作成
    検査値に異常が見られた人には、別の日に生活指導を行う


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
私は医師ですから、健康面の相談に対応できたときはやりがいを感じますね。けがをして不安そうな顔をしていた隊員が私の顔を見て安心して笑顔になるのを見ると、「頼られているな」と実感できます。また、皆で除雪などの重労働をした後は、やりきった感じで充実した気分になります。

南極ならではの仕事をした時も楽しいですよ。生物学の先生の依頼でペンギンの調査に出かけた時は、通常はペンギンから5m以上離れなければならないのですが、調査ということで2mのところまで近づいて、ペンギンを見ることができました。

 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
昭和基地では対応できない病気やけがが発生するとつらいと思いますが、私が所属した越冬隊では幸いそういうことはありませんでした。でも、除雪しても除雪してもブリザード(暴風雪)で元通りになってしまった時は、体力的な問題で大変でしたね。
また、我々の隊では、基地がある島の周りの海氷が10年ぶりに割れて海面が露出したため、海氷の上を雪上車で移動することができなくなってしまったんです。安定した海氷になるまで待ってから、予定していた観測を一気に進めなければならなかったので、忙しかったです。

南極に憧れたのは小学生の時。医師になって10年目で夢が現実になった

観測隊員の健康診断は3カ月に1度。医療隊員が本業で一番忙しい日

観測隊員の健康診断は3カ月に1度。医療隊員が本業で一番忙しい日

Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
 
最初に南極に行きたいと考えたのは、小学生の時、映画『南極物語』(1983年/日本)を観て感動したことがきっかけです。
その後、北海道の大学の医学部に進学したところ、南極での越冬隊員を経験した人がたくさんいて、大学1年生の時の授業で南極についての話を聞くことができました。そこで、南極に行きたいという気持ちが一気に大きくなりましたね。

大学5年生の時の実習で、かつて南極地域観測隊員だった医師のお話を聞きに稚内まで行ったのですが、そこで聞いた南極でのワクワクするような話が忘れられませんでした。「まずは医師として一人前になること、そして南極への夢を持ち続けること、そうすればおのずと道は開かれる」とおっしゃっていたので、その言葉を大切にして勉強や仕事を続け、医師となって10年目の区切りに南極地域観測隊の医師に応募しました。

応募する際、実習で話を聞いた稚内の先生から推薦状をいただいたのですが、学生時代の私をよく覚えてくださっていて、「時が来たか」と、東京で行われた南極地域観測隊員OBによる壮行会にわざわざ稚内から駆けつけてくださいました。職場の上司には、南極地域観測隊で初めての家庭医として推薦してもらい、南極行きが決まった時は非常に喜んでくれましたね。


Q5. 大学では何を学びましたか?
 
祖母の闘病を家族で支えた経験から、認知症を専門とする医師になりたいと思い、医学部に進学しました。超高齢社会(*)に向けて需要が増えると思ったからです。
しかし、医学について学ぶうちに、小児科をはじめ他の専門科にも興味が出てきて、いろいろな方の病気を診察できる総合診療医や家庭医の道を選びました。今は、希望していた診療が全部できてとても満足しています。

総合診療医や家庭医は、へき地でこそ力を発揮できます。結婚した時、将来は妻の出身地である奄美大島で医師になろうと思ったのですが、その一方で、究極のへき地として頭に浮かんだのは、南極の昭和基地でしたね。

*超高齢社会:総人口に対して、65歳以上の人が占める割合が21%を超えた社会のこと。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
小学生の時に持っていた南極への漠然とした憧れは、「医師の仕事に就けば南極に行けるかも」と、進路を決める上で頭の片隅にありました。
医師を目指した最大の理由は祖母の闘病でしたが、同時に、都会よりも田舎での生活の方が自分には合っていると思ったからでもあります。へき地でもできる仕事として、私の人生を地域医療に捧げようと考えていました。へき地では自分1人で何でもこなせる技術が必要なので、時間をかけてさまざまな分野で研さんを積みました。

私は高校卒業後、働きながら勉強をして25歳で医学部に進学したのですが、合格するまで諦めなくてよかったです。南極へ行く以前に医学部に進学することが壁になっていましたが、そこで諦めていたら、小学生の時の憧れは憧れのままで人生を終えていただろうと思います。

特殊な環境で働くため、協調性が欠かせない

生物学の専門家の依頼で、ペンギンの調査にも出向きます

生物学の専門家の依頼で、ペンギンの調査にも出向きます

Q7. どういう人が南極観測隊員に向いていると思いますか?
 
越冬隊だと30人ほどの集団生活が1年以上続くので、協調性が大切です。わがままな人や人の話を聞けない人だと他の隊員に迷惑がかかりますが、人付き合いが好きな人なら、めいっぱい楽しめる環境ですよ。

また、いろいろな事に興味を持てる人や好奇心旺盛な人がいいですね。南極観測隊はさまざまな専門家の集団ですから、自分の仕事以外のこともたくさん学ぶことができます。オーロラはなぜ光るのか、オゾンホールがどのようにできるのか、なぜ南極では息が白くならないのかなど、研究途中の話も含めてそれぞれの専門家からじかに話を聞くことができます。他にも、雪上車の運転方法や発電の仕組み、水を浄化する方法、食料の保存方法なども、仕事をしながら教えてもらいました。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
やりたいことがあるなら、そのために何が必要か逆算してみると、今できることが見えてきます。そして、一度や二度の失敗で諦めないでください。目標を分かち合う仲間も大切なので、恥ずかしがらず夢を語り合ってみましょう。
一つのことに集中するのもいいですが、学生のうちに多くの世界を見ることで視野が広がります。海外旅行や部活動、アルバイトや恋愛など、いろいろな事にチャレンジしてください。


へき地での地域医療に貢献したいという想いを持って、日々、忙しく働いていた森川さん。小学生の頃に抱いた南極への憧れを忘れることなく、南極地域観測隊員の夢を実現させました。「一度や二度の失敗で諦めないで」という森川さんの言葉は、失敗も将来への大事な通過点であることを教えてくれます。
共に語り合う仲間が大切だという森川さんの言葉にならって、みなさんも親しい友達に目標や夢を語ってみませんか? それが将来へつながる大きな1歩になるかもしれませんよ。


【profile】第57次日本南極地域観測隊越冬隊 医師(家庭医) 森川博久

国立極地研究所 南極観測のホームページ http://www.nipr.ac.jp/jare/index.html
昭和基地NOW!! http://www.nipr.ac.jp/jare/now/index.html

写真提供:森川博久さん

この記事のテーマ
環境・自然・バイオ」を解説

エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。

「環境・自然・バイオ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「南極観測隊員」
はこんな仕事です

南極大陸に一定期間駐在して気象・地質などを観測する仕事。国立極地研究所を中心的な機関として、気象庁、海上保安庁、国土地理院など複数の機関から選抜された隊員で構成される組織で、1年間駐在する越冬隊と夏季のみ駐在する夏隊がある。隊員は、基地の工事や隊員の現地での暮らしを支える「設営部門」と、観測と研究にあたる「観測部門」の2つに区分され、それぞれの役割を専門的に果たす。なお、隊員には公募もあり、観測、設営に活用できる技術や知識があれば、担当機関以外からも参加することもできる。

「南極観測隊員」について詳しく見る