【シゴトを知ろう】火山学者 編

  • ようこそ、ゲストさん
  • ログイン
  • メンバー登録(無料)
  • エリア設定
  • 保護者・先生の方へ
MENU
閉じる
  • ようこそ、ゲスト さん

    メンバー登録(無料)

  • 適学・適職診断無料!

    診断を受ける

  • エリア設定

現在4校がカートに入っています。

一度に最大30校までまとめて資料請求することができます。

閉じる

「マイナビ進学」サイトが別タブでが開きます。

【シゴトを知ろう】火山学者 編

2017.05.30

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】火山学者 編

日本で一番高い山、富士山が火山であることを知っていますか? 九州の桜島や阿蘇山、長野・群馬県境の浅間山など、日本は狭い国土に100以上の活火山(*1)を抱えています。日本人は昔から噴火による被害に苦しむ一方で、火山活動によって生まれた温泉や景観、作物の栽培に適した土壌など、恩恵も受けてきました。
噴火による災害を軽減するため、火山の観測や研究を進めているのが火山学者の方たち。大学で学生を指導する傍ら、火山の研究に取り組んでいる長谷川健(たけし)さんにお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 研究成果を発表することで社会に貢献できるのが、研究者としてのやりがい
  • 大自然に憧れて北海道の大学へ。親友に誘われて足を運んだ研究室で火山と出合った
  • 2014年の御嶽山噴火災害などを受けて、火山人材の育成を目指したプロジェクトがスタート

研究だけではなく学生への指導、講演や出前授業など、知識普及に努める

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください
 
火山地質学と火山岩石学を専門分野としていて、火山の研究や大学での講義、学生の研究指導の他、一般の方向けの講演や高校への出前授業などを行っています。

<ある一日のスケジュール>
08:30 大学へ出勤、講義の準備など
10:00 研究室の勉強会
12:00 昼休み
13:00 会議
15:00 実験・講義
18:00 研究(分析や論文執筆など)
19:30 帰宅

*1 活火山:おおむね過去1万年以内に噴火した火山と現在活発な噴気活動のある火山のこと。日本には110の活火山があるとされている。
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/katsukazan_toha/katsukazan_toha.html


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

研究者としては、学術雑誌に投稿した火山研究の論文が受理されたときですね。投稿した論文は、「査読(さどく)」といって、その分野の複数の専門家から内容をチェックされます。リジェクト(却下)されたり、大幅な修正を要求されたりすることもありますが、最後にOK(受理)が出たときは、なんともいえないうれしい気持ちになります。新たな研究成果を論文として公表した時、そこに掲載された情報は半永久的に人の役に立つはずです。

また、大学教員としては、指導する学生の成長を感じたときです。卒業論文の最終発表会が毎年年度末に行われますが、その舞台で立派に発表する姿や期待以上の成果を見せてくれたときは感動しますね。大学を卒業した彼ら・彼女らは立派に働いていて、時々連絡を取ると、ますます成長していて、さらにうれしくなります。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
大変さやつらさを感じたことはありませんが、どうしても教員としての雑務が立て込んでしまう時期があり、そのために自分の研究が進まないとフラストレーションがたまります。
しかし、今(2016年4月~2017年の4月)は勤務先の大学を離れて、ニュージーランドのタウポ火山帯の調査のため現地の大学に身を置いています。10年前の大学院博士課程の時、この大学に滞在して学生用研修コースを受けたことがあり、いつかここで研究したいと思っていた場所です。1年間自由に研究できるという大変ありがたい身分なので、非常に有意義な時間を過ごせています。

未解明なことが多い火山にひかれて研究の道へ

博物館でお麩を使った噴火実験をする長谷川さん。子どもたちにも火山に興味を持ってもらいます

博物館でお麩を使った噴火実験をする長谷川さん。子どもたちにも火山に興味を持ってもらいます

Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
 
親友が火山学の研究室にいたんです。研究室配属の年に、「うちの研究室は魅力的だ!」と誘われたのでそこに決めました。そこでは先生や先輩たちが活発に研究をしており、その姿に憧れを持ちました。
火山にはいまだに解明されていない部分が多く、実際の噴火現象を観測・調査することで理解が大きく進む傾向があります。噴火は怖いものですが新たな発見が得られますし、まだたくさんやるべきことが残っている学問であることにもひかれました。山登りが好きだったこともありますね。
大学時代研究室で学んだ後、もっと研究を続けたいと思ったので大学院に進学し、研究者の道に入りました。

 
Q5. 大学では何を学びましたか?
 
理学部に進学し2年生になって地球惑星科学科を選び、4年生の時に火山学の研究室に入りました。研究室では、火山学の基礎や野外調査の方法、高度な機器を用いた分析の方法、論文の書き方などを学びました。野外調査では、私有地や国有林へ立ち入ることができたり、長期の宿泊を通していろいろな方にお世話になり、人々の厚意のありがたさや地域交流の大切さや楽しさを実感しましたね。
また、学生寮で生活していたので、人との付き合い方やお酒の飲み方、義務と権利の関係、料理(当番制だったので)などを学びました。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
高校生の時に夢を抱いて何かに取り組んでいた記憶はなく、目の前にある部活と勉強を一所懸命やっていました。
強いて言えば、北海道の大学に入りたいという気持ちが強かったです。私は宮城県出身なのですが、父が北海道出身、高校の地学の先生は北海道の大学の卒業生で、二人ともよく雄大な北海道の話や大学の話や歌を聞かせてくれたので、北海道の大自然に対してなんとなく憧れを抱いていました。
北海道の大学へ進学して火山学と出合ったので、そういう意味では高校生の時の思いが今につながっているといえるかもしれません。

火山大国日本、防災・減災へ向けて専門家育成プロジェクト始動

Q7. どういう人が火山学者に向いていると思いますか?
 
一番は火山が好きな人、火山に興味がある人ですね。自然が好き、山登りが好きな人で、自然現象でまだ解明されていないことについて「なぜだろう?」と疑問を抱ける人も向いていると思います。当然ながら、理系科目(数学、物理、化学)が得意な方がいいですね。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
火山の研究で地層を観察すると、1回の噴火で10kmx10kmx10kmのマグマが噴出するような「超大規模噴火(super eruption)」が地球上で起きていたことが分かります。放出エネルギーは東日本大震災時の地震の100倍以上になると考えられていて、こうした噴火が今後再び地球上で起きないという保証はありません。

実は日本は火山大国にも関わらず、火山学者が少なくて困っています。国の政策として火山研究者を育成するプロジェクト「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」(*2)が2016年にスタートしていて、私も関わっています。
火山に登るのは大変ですし、活火山は確かに怖いです。それでも火山が気になる、火山学者になりたいという想いがある人がいたら、ぜひ一緒に研究に励み、学問を発展させて社会に貢献していきましょう。

*2 次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト
http://www.kazan-pj.jp/


モクモクと噴煙を上げる火山の姿や噴出物がたてる音、大地の振動には誰しも恐怖を感じてしまうものですが、火山学者の方たちはそこに何らかの魅力を感じながら、火山のメカニズムを解明することや火山災害を防ぐことを目指して研究を進めています。
2014年9月、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が噴火し、大きな被害が出ました。日本には活火山が多いにも関わらず火山学者が少ないとのことで、この被害をきっかけに火山の専門知識を持つ人材を育てる動きが出ています。
火山学者に興味のある人は、火山について詳しく知ることができるジオパークやジオミュージアムに足を運んでみてはいかがでしょうか。


【profile】理学部地球環境科学コース 准教授 長谷川健(はせがわ たけし)

写真提供:長谷川健さん
1枚目の写真は桜島(2013年7月撮影・鹿児島)

この記事のテーマ
環境・自然・バイオ」を解説

エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。

「環境・自然・バイオ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「火山学者」
はこんな仕事です

火山の噴火による災害を減らすために、あらかじめ予測できるよう調査研究する仕事。大学や観測所、研究センターなどに勤務して日々観測と予測に取り組む。研究には火山地質学・火山地形学・火山岩石学などさまざまな分野があり、それぞれ専門的なアプローチで研究を行う。基本的には過去の噴火を調査し、発生メカニズムを解明しようと試みる。実際に現地に足を運んで岩石などを採取することもあり、活火山の調査には危険を伴う場合がある。災害を防ぎたいという強い信念と責任感を要する仕事といえる。

「火山学者」について詳しく見る