【シゴトを知ろう】香司 編

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【シゴトを知ろう】香司 編

2017.06.20

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】香司 編

お寺などで漂う香りを、なんとなく懐かしく思ったり、気分が落ち着くと感じることはありませんか? でも、それが何の香りなのかと聞かれると分からない……という人も多いかもしれませんね。そんな「和の香り」にプロとして携わるお仕事が「香司」です。今回お話を伺ったのは、お線香や匂い袋などを作り、作り方や香りについての講座も行なう谷美緖さん。一般には知られることの少ない香司のお仕事の内容や魅力について伺いました。

この記事をまとめると

  • 調合した香りを喜んでもらえること・香りを発見してもらえることがやりがい
  • 和の香りについて、言葉で説明するのは難しい
  • 香りが好きで、一歩離れたところから冷静に考えられる人が向いている仕事

感覚が研ぎ澄まされている朝から作業・自然と触れ合う時間も大切に

Q1. 最初にお仕事の概要と、一日のスケジュールを教えてください。

私は日本の伝統的なお香……お線香や贈答用の匂い袋・練香などを制作したり、カルチャーセンターや生涯学習センターでお香に関する知識・作り方を教えています。

一日のスケジュールは、お香を作る日と指導を行う日とで大きく異なりますが、ご依頼いただいたお香を作る日の場合は朝から作業を行ないます。朝方は感覚が研ぎ澄まされているためです。例えば結婚式の引き出物として匂い袋の制作をご依頼いただくことがあるのですが、そうした場合は100個程度の匂い袋を半日程度かけて作り、香りの調合と袋詰めの作業、それぞれを2時間ほどかけて行います。それが終わると、講座で教える際に作る香りのサンプルを調合したりします。

また自然と関わる仕事なので、一日の作業がひと通り終わったあとに散歩をして自然と触れ合う時間も大切にしていますね。指導の日の場合には、午前中から出掛けて一日3件ほどをまわって教える日もあります。


Q2. お仕事をされる中で、やりがいや楽しさを感じるのはどんなときですか?

大きなやりがいとしては、調合した香りを喜んでいただいたり「心が落ち着く香りですね」などと言っていただけることです。ほかにも、私がお香についてお話したり、作り方を指導する中で受講者の方が『名前は知らないけれど、なんとなく記憶の中にある香り』について「あの香りはこれだったんですね!」と発見してくださることはとてもうれしいです。香りに興味があるという方でも、アロマテラピー(西洋の香り)にはなじみがあっても、日本のお香は何でできているのかご存じない場合がほとんどですので。

そして、ご自身が好きだと思える香りを自分の手で作れる楽しさを知っていただけることも、香司として指導を行なう中でのやりがいです。


Q3. お仕事の中で大変さや苦労を感じるのはどんなときでしょうか?

私は以前アロマテラピーにも関わっていたのですが、それと比較すると、アロマテラピーの場合は調合の際のレシピなど全てがオープンになっています。一方お香は日本の伝統工芸であり、レシピは公開されていないので、自分で試行錯誤しながら研究をし続けなければいけないということは大変です。

それからアロマの場合、これはラベンダー・オレンジなどと頭でその香りの由来のものを思い浮かべることができますが、日本の香りの場合には白檀や龍脳などあまり身近ではない原料が多いため、 説明するときに言葉で伝えるのが難しいということですね。またできる限りお手頃な値段で良いお香を提供したいという思いがありますが、和の香りは原料自体が高級品なので、原価との兼ね合いも難しいところです。 

会社員時代を経て、西洋のアロマテラピーから和のお香の世界に

Q4. 香司を志すようになったきっかけを教えてください。

小さい頃から和の香りは好きでしたが、それについて学ぶ手段が長い間分かりませんでした。和の香りが学べないのなら西洋の方を学んでみようと、会社員として働きながらアロマテラピーを学び、その後インストラクターとして登録しました。自分の好きなことのためにもっと時間を使いたいという思いが強くなってきた頃に「生涯学習センターでアロマの指導をしてもらえませんか?」とご依頼があり、会社を辞めてアロマの教室での指導を仕事として行うようになったんです。

それからしばらく経ったとき、教室で教えていた生徒さんの紹介でお香について教えてくださる師匠と出会い、和の香りについて学ぶことができるようになりました。そしてアロマの教室を続けながらお香を学び続けていたある日、師匠が「西洋のアロマテラピーを仕事にしているのなら、和の香りに関わることも仕事としてもやってみたらどうですか」と提案してくださったことが、今の香司という仕事を始めた直接のきっかけです。


Q5.今のお仕事に就くために、どのようなことを学びましたか?

大学の学科では香りを学んだわけではなく、また当時は香りに関する仕事をしようとも思っていませんでした。その中でも、指導を受けた先生の言葉は今に生きていると感じます。戸川エマさんという随筆・評論家の方の指導を受けていたのですが、就職活動の際に「あなたたちが本当に好きなことは何なの? 本当に好きなことを仕事にしなさい」とおっしゃっていたんです。

当時はそれをあまり深く受け止めることができず、ほとんど興味のなかった分野の会社に就職してしまいましたが……会社を辞めて好きな香りに関わる仕事をしようと決めたとき、戸川先生のこの言葉を思い出しました。そして今の仕事を続けるにつれ、言葉の意味を実感しています。好きなことであれば長続きしますし、やりがいも大きく感じられますので。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

高校時代から、京都のお寺などは好きでしたが、考古学者に憧れたりもしていて、お香の仕事をしたいと思っていたわけではありません。ただ、西洋の遺跡などにしても、神殿などお香を焚くような場所・お香の香を思い起こすような場所に興味を持っていましたので、そういう意味では今の仕事にもつながっているかなと思います。

将来がすぐに思うようにいかなくても、いろいろな経験は必ず何かに生きる

Q7. どういう人が香司に向いていると思いますか?

趣味の範囲で香りに関わる分には、自分が良いと思う香りを追究すれば良いのですが、香司という仕事の場合は、自分の好みに合わせて提供するのではなく、古典も受け継ぎながら「一般的に良い香り」というのを作らなくてはなりません。嗅覚というのは原始的な感覚なので、どうしても自分の好みが影響しやすいものです。その中でも一歩距離を置いて、冷静に確認ができる人が向いていると思います。そして一番は香りそのものが好きで、普段歩いているときでも香りに気付くこができる人ですね。


Q8. 最後に、高校生に向けたメッセージをお願いします。

私は会社員時代、企画書制作などの仕事を好きだと思ったことはなく、仕事だからという理由で行なっていました。でもそういった経験が、香司として仕事を始めてから、イベントを企画する際などに役立っています。それ以外のことも全て、何かの形で今に生きていると感じます。

もし今の状況が自分にとって不本意であっても、本当に好きなもの・本当にやりたいことを心の中にしっかり持ち続けながら、目の前のことに一生懸命に取り組んでください。将来がすぐに思うようにいかなくても、いろいろな経験は必ず何かに生きてきます。



就職した後に本当に好きなことを仕事にする道を選び、現在の香司のお仕事には過去の全てが生きていると語ってくださった谷さん。谷さんのメッセージは、今後のいろいろな場面で参考になるのではないでしょうか。谷さんのお話から香司のお仕事・和の香りに興味を持った人は、『名前は知らないけれど、なんとなく記憶の中にある香り』について調べてみてはいかがでしょうか。


【profile】薫物屋香楽認定教授・香司  谷美緖
社団法人日本アロマ環境協会認定アロマテラピーインストラクター
シャデュリヤ・スピリチュアル・センター認定 スーフィースピリチュアルヒーラー、スピリチュアル・ガイド
http://www.kashaya.jp/

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「香司」
はこんな仕事です

すがすがしい和の香りを楽しむ「お香」をつくる職人。香料の選択、調合、仕上げと、お香づくりの全工程を担当する。お香のルーツは、インド発祥の仏教にあり、日本には飛鳥時代に伝えられたという。室町時代に日本独自の「香道」として確立し、近年は和の文化の一つとして、海外でも注目されている。線香もポピュラーなお香の一つだが、ほかにも匂袋や練香があり、コーン型やスティック型のインセンスなど多様な種類がある。就職先としては、京都に多く集まる老舗や日本を代表する産地である淡路島のメーカーも選択肢となろう。

「香司」について詳しく見る