【シゴトを知ろう】ガラス工芸家 〜番外編〜

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【シゴトを知ろう】ガラス工芸家 〜番外編〜

2017.06.20

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】ガラス工芸家 〜番外編〜

「本当に履けるガラスの靴emmaエマ」が話題となっている他、たくさんの人に喜ばれる美しい作品をつくり続けている「なかむら硝子工房株式会社」の中村昌央さん。「【シゴトを知ろう】ガラス工芸家 編」に続く番外編となる今回は、中村さんの今までの作品制作やお仕事でこだわっていることなど、さまざまなお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • お客さんに喜んでもらえるように、まず自分がきれいだと思える作品を
  • 現在も日々研究しながら制作する「本当に履けるガラスの靴」
  • 優れたガラス工芸家とは、周囲に耳を傾けながら技術を最大限に発揮できる人

一つひとつ心を込めて、今までにないきれいなものを

――作品制作の際、中村さんが特にこだわっているのはどんなことですか?

「今までにない、きれいなものをつくりたい」ということをコンセプトに作品作りをしています。とはいっても、自分が表現したいものを作るというよりは、お客さんに必要としてもらえる・喜んでもらえる範囲で、ということです。

海外の著名なガラス工芸家の作品を見てみると、一見何を表しているのか分からないような観賞用のオブジェに、何十万・何百万もの値段がついたりということもあります。それはそれで芸術の形なのだと思いますが、私の目指しているのはそういうところとは少し違いますね。

また、工場勤務時代から大事にしているのは、一つひとつ心を込めてつくるということですね。工場で行っていた大量生産の場面において、商品というのは何百個とつくっているうちの一つです。しかし、お客様はその一つを選んで購入してくださるということを考えると、工場の流れ作業であっても心を込めて作品を作ろう、と感じました。手づくりでのオーダーでご注文をいただくようになってからは、より一層それを意識するようになりました。完成したものを見て心からご満足いただけるように、まず自分がきれいだと思える作品の制作を心掛けています。

試行錯誤を重ねて形になった「本当に履けるガラスの靴」

大学の教授の退職お祝いとして依頼があり制作した顕微鏡のオブジェ

大学の教授の退職お祝いとして依頼があり制作した顕微鏡のオブジェ

――現在制作の中心とされている「本当に履けるガラスの靴emmaエマ」も、そのようなこだわりから生まれたものなのでしょうか?

10年ほど前に、初めて「ガラスの靴をつくってほしい」というご依頼がありました。そのときには履ける靴ということではなく、大きさも10センチ程度の小さいものをつくりました。するとその後、今度は別のお客様から「履ける靴はつくれませんか?」というご依頼がありましたが、当時は難しいと思ったので断ってしまいました。そこから「いつか履けるガラスの靴をつくりたい」という思いが生まれました。

それでも日々の注文や教室での指導に追われる中で、なかなか研究の時間がとれずにいましたが、そろそろ本格的に取り組んでみようと思い始めた矢先、お笑い芸人FUJIWARAの藤本敏史さんが来店されたんです。「ガラスの靴を作ってほしい」という依頼を受け、そのとき制作したのが当時としてはベストを尽くした18センチほどのガラスの靴でした(あとでプロポーズに使っていただいたことが分かりました)。 まだ履くことはできない靴だったのですが、そのことで一層、近いうちに履けるものをつくろうという思いが強まりました。試行錯誤を重ねて、ようやく商品化できたのは2015年の5月です。そして今も日々研究しながら制作を続けています。

ガラスの靴の場合、ご注文下さる方には藤本さんのようにプロポーズやサプライズで大切な人にお渡ししたい、という男性の方が多いので、渡す瞬間の緊張や相手の反応への期待感などを私も想像しながら、気持ちが届くようにと願いながらつくっています。


――ガラスの靴一つひとつには、たくさんの思いが詰まっているのですね。それ以外にも、中村さんの工房にはすてきな作品がいろいろと展示されていますが、思い入れのある作品はありますか?

それぞれに思い入れはあるのですが……例えばこちらの顕微鏡のオブジェは、大学の教授の退職お祝いにプレゼントしたいと、教授の部下の方々からのご依頼があって制作したものです。長年顕微鏡を使った研究に携わっていた教授ということで、頂いた顕微鏡の写真をもとに制作しましたが、この形をつくるまでにはかなり時間がかかりました。何度も試作品を制作し、最終的に形が決定した後も、3人掛かりで完成させました。完成品はとても喜んでいただけ、その後も何度か注文いただくことができた、思い出深い作品ですね。

こだわりと柔軟さを大事に、目の前にあることに最大限の力で取り組んで

――最後に、中村さんが考える優れたガラス工芸家とはどんな人かを教えてください。

周囲の意見に耳を傾けながらも、自分の技術を最大限に発揮できる人ですね。
ガラス工芸家に限らず、多くの仕事や勉強もそうだと思いますが、力を注ぎ込めば注ぎ込んだ分、よい反応が返ってきます。

時代とともに求められるものは変わっていきますが、自分のこだわりと柔軟さを両方大事にしながら、今目の前にあることに最大限の力で取り組むことができれば、それは人に喜んでもらえることにもつながるはずです。



今回の取材時、「本当に履けるガラスの靴emma エマ」も顕微鏡のオブジェも実物を見せていただきましたが、美しく繊細なガラス作品の中に不思議と温もりも感じ、依頼主の顔を思い浮かべながら一つひとつ心を込めて制作する中村さんの思いが伝わってきました。今回のお話でガラス工芸に興味を持った人は、ガラス製品がどのように作られているのか、詳しく調べてみてはいかがでしょうか。


【profile】なかむら硝子工房株式会社 中村昌央
なかむら硝子工房株式会社のHPはこちら

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「ガラス工芸家」
はこんな仕事です

ガラスを使って食器や芸術品など、さまざまな作品をつくる仕事。高温の柔らかい状態からガラスを形成するホットワークと、固体化したガラスに装飾を施すコールドワークがある。前者は宙吹きや型吹き鋳造、異種素材を焼成して成形技法を用いる。後者はホットワーク職人がつくり上げた作品にカット、彫刻、サンドブラストなどで装飾する。繊細さや感性に加え、力仕事でもあるため体力が必要。専門学校や美術系大学で学んだ後、長い年月をかけて技法を習得することが一般的。地域に根付く伝統工芸として励んでいる人もいる。

「ガラス工芸家」について詳しく見る