【シゴトを知ろう】竹工芸家 編

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【シゴトを知ろう】竹工芸家 編

2017.06.19

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】竹工芸家 編

日本の伝統工芸の一つである「竹工芸」。竹は丈夫で乾湿にも強い素材であることから、縄文時代にはすでに素材として扱われていたと言われています。現在でも竹かごをはじめ、多くの工芸作品がつくられています。今回取材させていただいたのは、日用品から美術作品まで多岐に渡る竹工芸の作品を制作する「竹工家(竹工芸家)」の初田徹さん。お仕事の魅力や大変なこと、竹工芸の世界を目指したきっかけなど、さまざまなお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 作品を気に入ってもらえることがやりがい
  • 竹工芸家を目指すには、まず専門学校や教室に通うのが一般的
  • 竹工芸家に向いているのは、辛抱強く長いスパンで物事を考えられる人

日用品から美術作品までさまざまな制作を、自然光のもと時間を掛けて

Q1. 最初に、竹工芸家のお仕事についてと、一日のスケジュールを教えてください。

竹工芸家には、それぞれの得意なジャンルに絞って作品制作をされる方が比較的多いと思いますが、私の場合は茶の湯の道具、美術コレクターの方がお求めになるような竹工芸の作品、また日用の籠など、多岐にわたって作ります。

私自身は「竹工芸」という言葉が示すものについては、日用というより美術に近いイメージで捉えており、仕事の領域をその「竹工芸」だけに制限しない意味で「竹工芸家」ではなく「竹工家」と名乗っています。また一方で、戦前の竹工芸の作家には「竹工家」を名乗っていた方もいられるようですので、美術作家として名乗るにも不自然でなく、かつ現代では使われなくなった古い肩書きなので、自分の肩書きとして気に入って用いています。

もちろん、お客様が「竹工芸家」と呼んでくださることには抵抗はありません(笑)。


普段のスケジュールは、自然光の下で竹を見ながら作業したいといということもあり、なるべく日中の時間帯を中心に仕事をするようにしています。

<一日のスケジュール>
9:00 作業開始
12:00 休憩、昼食
18:00 作業終了
19:00 メールチェック、ブログやSNSの更新
20:30 終業
必要に応じて残業


Q2. お仕事をされる中で、やりがいや楽しさを感じるのはどんなときですか?

大きなやりがいは、作ったものをお客様に気に入っていただけることです。結婚式の引き出物や、お店などの贈答品のご依頼をいただくこともあるのですが、ご本人がご覧になり、またお使いになって良いと思ったものでないと人さまに贈りたいとは思われないはずなので、大切な贈り物として選んでいただけることをたいへんうれしく感じます。以前に作品を購入してくださった方が再び注文してくださったり、お客様のご紹介から制作のご相談をいただくのも、同様にうれしいことです。


Q3. お仕事の中で大変さや苦労を感じるのはどんなときでしょうか?

ほとんどの方が想像される以上に、日用品でも作品でも、構想やデザインから、実際に手を動かして完成に至るまでには多くの時間がかかります。また「つくる」こと以外にも、その前後に多くの細かな仕事が付随してきます。そのすべてを丁寧かつ段取り良く行いながら、購入してくださる方が現れる範囲の価格で、良質のものづくりを絶え間なく継続しつづけることが、ひとつのものをつくること以上に難しいところだと感じます。また、良質の竹を常に手元に確保することも年々難しくなってきています。

そして、最も大切なこととして、注文してくださる方、ご購入くださる方の期待に応えねばという責任が常にあります。

流しそうめんに使う竹探しから竹工芸家と出会い、弟子入りして今の仕事に

Q4.竹工芸家を志すようになったきっかけを教えてください。

大学時代に、友人と流しそうめんをやろうという話になり、竹を探していたんです。そのときにたまたま竹工芸家の方と出会い、そこで初めて竹工芸という仕事の存在を知り興味を持つようになりました。就職活動の時期になって将来を考えたとき、竹工芸を生涯の仕事にしたいと考え、その作家の方に教えを請おうとお願いに伺いました。

竹工芸の世界では、まず専門の学校を出てからでないと弟子になることも難しいのですが、師匠の後継者となる息子さんが私と同い年で、しかも同時期に修行をはじめるタイミングだったためか、たいへん運の良いことに私は素人の状態から教えていただくことができました。

アルバイトをしながら週末に竹工芸を教えていただき、平日の夜は自主的な修行時間にあてていました。5年ほど経った頃から少しずつ竹工芸家としての仕事をいただけるようになり、しばらくはアルバイトと並行していましたが、徐々に竹工芸の割合が増え現在は専業になりました。


Q5.今のお仕事のために、どのようなことを学びましたか?

先ほどお話した師匠のもとで、竹工芸に関することの多くを学びました。また背景となる日本文化についても、書物を読んだり、美術館へ通ったり、美術ギャラリーの方やお茶やお花の先生から教えていただくことで、二十代のうちに少しずつ学ぶよう心がけました。完成した自分の作品をどう販売していくか、営業に関する部分は自分でどうにかするしかなかったので、試行錯誤していった形ですね。

先ほども申し上げましたように、竹工芸の世界では専門の学校や教室といった場所を卒業してから弟子入り、という順が一般的ですので、そうした進路では別の方法があるのかもしれません。私のようなケースは例外だと思います。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

高校時代には、まだ日本の伝統工芸にはあまり興味がありませんでした。海外と関わりを持つ仕事に憧れていて、映画を観るのが好きな高校生でした。しかし、2016年に私の作品がオーストラリアのヴィクトリア国立美術館で展示され、また2017年には収蔵もされることになり、私自身もオーストラリアに行く機会を持てました。それを考えると、現在の仕事を通して高校時代の「海外と関わる仕事をしたい」という夢は叶ったといえますね。

狭い世界の出来事だけに身を委ねず、その外にあるものにも目を向けて

Q7. どういう人が竹工芸家に向いていると思いますか?

竹工芸は、まず仕事以前に基本の技術や周辺の文化・歴史を勉強するのに多くの時間を必要としますので、短期間で成果を出したい人は難しいと思います。5年〜10年かかっても竹工芸を仕事にしたいという辛抱強い人、そして長いスパンで物事を考えられる人が向いているのではないでしょうか。


Q8. 最後に、高校生に向けたメッセージをお願いします。

一つ伝えたいこととしては、周りに流されず、自分を囲む小さな世界の外にあるものにも目を向けてほしいということです。例えば、学校のクラス内で定められたルール・仲間内での決め事・今住んでいる地域の習慣などは、それにも価値はあると思いますが、狭い世界でのことです。狭い世界の出来事だけに身を委ねず、その外にあるものを考えてみてください。

私が今仕事としている竹工芸にしても、最初は自分の知らない世界で出会ったものでした。普段は興味のないものにこそあえて興味を持ってみると、将来へのヒントになるかもしれません。



偶然出合った竹工芸に魅力を感じ努力を重ねた末、現在は竹工芸を専業にしている初田さん。お仕事の中で高校時代の夢も叶えたという初田さんのメッセージは、まさにご自身の経験からのものですね。
日ごろ遠くより身近なものの方に目が向きやすいと思いますが、意識的に普段興味のない分野に触れる機会をつくったりしてみると、初田さんのおっしゃるように将来へのヒントとなったり、何か新しい発見にもつながることでしょう。


【profile】竹工家 初田徹
初田徹さんのHPはこちら

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「竹工芸家」
はこんな仕事です

竹を使って工芸品をつくる仕事。その歴史は古く、縄文時代の遺跡から竹工芸品が出土されている。竹工芸の主な技法には、細く割った竹ひごを編み組みしてつくる編組物(へんそもの)や、円筒形を用いた丸竹物(まるたけもの)などがある。籠やザルなどの日用品から、ランプシェードなどのインテリア用品まで、竹のしなやかな素材感を生かした芸術性の高い作品がつくられている。技術を習得するには、竹工芸家に弟子入りしたり、工芸教室などで学ぶなどの道がある。関連性の深い資格として「竹工芸技能士」がある。

「竹工芸家」について詳しく見る