【シゴトを知ろう】竹工芸家 〜番外編〜

  • ようこそ、ゲストさん
  • ログイン
  • メンバー登録(無料)
  • エリア設定
  • 保護者・先生の方へ
MENU
閉じる
  • ようこそ、ゲスト さん

    メンバー登録(無料)

  • 適学・適職診断無料!

    診断を受ける

  • エリア設定

現在4校がカートに入っています。

一度に最大30校までまとめて資料請求することができます。

閉じる

「マイナビ進学」サイトが別タブでが開きます。

【シゴトを知ろう】竹工芸家 〜番外編〜

2017.06.19

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】竹工芸家 〜番外編〜

大学時代に竹工芸の魅力を知り、2002年から「竹工家(竹工芸家)」としてお仕事をされている初田徹さん。今回は竹工芸で使われる竹やこれまでの制作された中で印象深い作品について・今のお仕事をしていて良かった瞬間のことなど、初田さんならではのお話を伺ってきました。

この記事をまとめると

  • 竹を育てて管理するプロが減っているため、良い竹を常に確保するのは大変
  • 過去につくってきたもの全体が今の自分の評価につながっている
  • 竹工芸をやりたいのであれば、今すぐにでも始めたほうがいい

良い竹を手にいれることから仕事がはじまる

――初田さんが作品づくりに用いている竹について聞かせてください。

よく「竹は自分で切ってくるんですか?」と聞かれるのですが、その道のプロから仕入れています。竹は見慣れた植物なだけに、竹林に行けば簡単に手に入る素材とお考えの方も少なくないようですが、良い竹というのはなかなか手に入らない貴重な素材です。というのも竹を育てて管理をし、材料として使える状態にできるプロの生産者が近年減っているからです。

そのため、常に良い竹を確保することも大切な仕事です。竹に限らず、ものづくりの仕事においては当たり前のことですが、材料を手に入れるのも実力のうちと言われます。

「過去の作品が次の仕事へとつながる」繰り返し自体が印象深いこと

ヴィクトリア国立美術館に収蔵される初田さんの作品「千筋盛器」

ヴィクトリア国立美術館に収蔵される初田さんの作品「千筋盛器」

――今までの初田さんの作品の中で、特に印象深いものはありますか?

2016年にオーストラリアのヴィクトリア国立美術館に展示され、2017年に同美術館に収蔵された「千筋盛器」という竹籃(たけかご)の作品です。私が竹工芸の道に進んでから15年間経ちますが、その前半の2008年につくった作品です。それが改めて評価されたことがうれしいです。

――どのような経緯で、その作品はヴィクトリア国立美術館に展示・収蔵されることになったのでしょうか?

作品完成後すぐに、お世話になっているギャラリーの方が購入・所蔵してくださり、6年後の2014年に同ギャラリーで個展を開いた際にこの作品も展示をし、はじめて多くの方の目に触れる機会となりました。作品はオーストラリア人のコレクターの方がご購入くださり、やがて海を渡りました。その方が日本で蒐集(しゅうしゅう)された30点ほどの竹工芸の作品がヴィクトリア国立美術館に寄贈されることとなり、その記念の展覧会が2016年から2017年にかけての半年間にわたって催され、同美術館のコレクションに加えられたという経緯です。

それまでに日本では東京の五島美術館で作品を展示していただく機会がありましたが、私にとって初めての美術館への作品収蔵は、海を渡ったオーストラリアでとなりました。美術館のあるメルボルンは、人や街並み、風土も素晴らしく、そのような場で自分の作品がこれから時間を重ねてゆくことには、大きな喜びを感じます。いずれは日本の美術館でも同様の機会が訪れることを願っています。


――日本の竹工芸への造詣が深いお客さんとの出会いから、作品が海を渡ったのですね。他にも思い出深い作品はありますか?

小さな一輪挿しですね。私は2002年に竹工家への道を志しましたが、2006年に友人から結婚式の引き出物について依頼を受けたのが初めての本格的な仕事で、その際に細長い一輪挿しをつくりました。その後も一輪挿しを好んで作るようになったきっかけです。

しばらく時間を経た2013年春の展示において、一点ものの作品として”Growing”というタイトルの一輪挿しを作ったのですが、ご購入くださった方がそこに毎日花を活けている様子をInstagramとブログにアップしてくださったのも思い出深い出来事です。また最近では、荻窪にある「Title」という書店からのご依頼で、シンプルな形の『空穂』と名付けた一輪挿しを制作しお納めしました。こうして、ひとつひとつの仕事が、それぞれ異なりつつも連続してゆくことに、やりがいを覚えます。

10年前の仕事が何年か後に次の仕事につながり、その仕事がまた次につながり……そのこと自体が印象深いですね。特定の一つの作品というよりは、過去につくってきたもの全体が今の自分の評価につながっていると感じます。

仕事を始めて15年経った今、毎日この仕事をしていて良かったと思える

――初田さんが竹工芸家のお仕事をしていて良かったと思う瞬間は、どんなときでしょうか?

最近2~3年は毎日、この仕事をしていて良かったと思えます。理由の一つは、お客様に喜んでいただく機会が増えていると感じること。そしてもう一つは、私の作品が社会的にも徐々に認められるようになって来たように感じることです。自分の作品が美術館に収蔵されたり、書籍や雑誌に掲載されること自体を目的にはしていませんが、私自身が実感する以上に友人や知人がそのことを喜んでくれるように私には感じられ、そのことが私にとってより大きな喜びにつながります。もっとも、いちばん身近な親はこの程度では評価してくれませんので、いまだ親孝行はできていませんね(笑)。

あとは最近、ようやく仕事の方向性・やり方などが、自分の理想とするところへ少なくとも近づいていると確信を持てるようになったことでしょうか。この道を志してから、この春で15年になりますが、最初の10年ほどは竹工芸を始めてよかったと思えることはあまりなく、10年以上経ってやっと道に立ったかなという形です。「長いスパンで物事を考えられる人が竹工芸家に向いている」と感じるのは、自分自身のこうした経験からです。

「年を取ってからのセカンドキャリアとして竹工芸をやりたい」という方もいらっしゃると思いますが、もし本当に竹工芸をやりたいのであれば、道は長いのでスタートは早いほうがよいのではないでしょうか。



約10年の時を経てオーストラリアの美術館に収蔵される作品、結婚式の引き出物から始まり、その応用を重ねた形で編まれ続ける一輪挿し。初田さんお話と最後のメッセージからは、ご自身の実体験と、時間を掛け真摯(しんし)に竹工芸に取り組んできたからこそのやりがいが伝わってきますね。


【profile】竹工家 初田徹
初田徹さんのHPはこちら

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「竹工芸家」
はこんな仕事です

竹を使って工芸品をつくる仕事。その歴史は古く、縄文時代の遺跡から竹工芸品が出土されている。竹工芸の主な技法には、細く割った竹ひごを編み組みしてつくる編組物(へんそもの)や、円筒形を用いた丸竹物(まるたけもの)などがある。籠やザルなどの日用品から、ランプシェードなどのインテリア用品まで、竹のしなやかな素材感を生かした芸術性の高い作品がつくられている。技術を習得するには、竹工芸家に弟子入りしたり、工芸教室などで学ぶなどの道がある。関連性の深い資格として「竹工芸技能士」がある。

「竹工芸家」について詳しく見る