【シゴトを知ろう】通信技術者 ~番外編~

「KDDI株式会社(以下、「KDDI)」にて技術職を担う石川裕菜さんのお仕事内容は、「通信ネットワーク」や「サーバ」を守ること。トラブルが起きた際に対応するのはもちろんのこと、ネットワーク環境をよりよくするお手伝いもしてくれます。これらのサービスの主な対象は法人企業ですが、その中には海外に拠点や支社をおく企業も含まれるとのこと。今回の番外編では、海外で起きたトラブルにまつわるエピソードなどを伺いました。
この記事をまとめると
- ネットワークのトラブルの原因は、国内と海外で異なる
- 「情報通信」やパソコンなどについて学べる情報系の学部で学ぶと有利
- 豊富な知識と経験は、円滑なコミュニケーションのきっかけに
自然災害により、大規模なトラブルが起きることも
――海外の企業におけるネットワーク系のトラブルとは、どのようなことが原因で起きることが多いのでしょう?
もっとも多い原因は停電です。海外においては電力系統が整っていないため、日本と違って頻繁に停電が起きる地域が多々あるんです。停電が起きると、サーバがダウンするなどのトラブルが発生してしまいます。また、ネズミにかじられたことによって通信ケーブルが切断されてしまった、という報告を耳にすることも多いです。
――日本ではあまり考えられない原因ですね。
日本と違い、海外では地震や台風といった自然災害がネットワーク系のトラブル原因となることもよくあります。現在の仕事に就いてから、海外で起きた自然災害のニュースがより気になるようになりました。担当している国でハリケーンや大洪水が起きたというニュースを聞くと、「大きなネットワークトラブルが発生しているのではないか」と落ち着かない気分になることが多いです。
――もしも海外で大きなトラブルが発生して、電話などでのヒアリングだけでは原因が突き止められない場合、どのような対策をとられるのでしょう?
「KDDI」は海外のさまざまな地域に支社を置いています。トラブルが発生している現場から一番近い支社の社員を現場へ派遣し、現場の写真を撮ったり、詳しい状況を聞いたりといった調査を行っています。余談ですが、私たちの間ではこの現地調査のことを「サードサーフィ」と呼んでいます。
興味のあることをはじめ、幅広く学んでほしい
――「通信技術者」としてのお仕事を始める際、どのようなことを学びましたか?
「KDDI」に入社した後は、実務に深く関連する内容を研修で学びました。例えば、情報が通信される仕組み、つまりネットワークに関する基礎知識です。また、ルーターの設定をしたり実際にログインしたりといった、機器を使用しての実習も行いました。研修を終えた後も実務を通して学ぶことが多いので、日々自分自身の成長を実感しています。
――「将来、通信技術者になりたい」と考えている高校生は、今からどのようなことを学んでおくといいでしょう?
まずは大学や専門学校の情報系の学部で学ぶことをオススメします。ネットワークやパソコンなどに関する基礎的な知識が身につくため、「通信技術者」を目指すうえでかなり有利になると思います。
また、通信技術者の業務の中には、ヒアリングや報告を目的としてお客様を訪問する機会が多くあるため、今からコミュニケーション能力を磨いてほしいですね。
具体的な方法の一つとして、興味を持ったことをはじめ、さまざまなことを積極的に学んでみてはどうでしょう。興味や知識の幅が広いことは、誰とでもスムーズに会話ができるようになるきっかけを作ってくれると思います。実際にお客様の元を訪問した際、趣味の話などネットワーク以外の話をすることも多いのですが、そういった何気ない雑談を交わすことでより仲良くなれますし、お客様との信頼関係を深めるきっかけにもなると感じています。
トラブルが起きた際に適切な対処をしたり、ネットワーク環境をよりよくするためには、十分なヒアリングが必要なようです。通信技術者が接するビジネスマンは、立場もバックグラウンドもさまざま。誰とでも円滑にコミュニケーションが取れる、柔軟な人が求められるといえるでしょう。
【profile】KDDI株式会社 技術統括本部 主任 石川裕菜
この記事のテーマ
「機械・電気・化学」を解説
製品を効率よく大量に生産する機械の製造や操作、保守に関わったり、電気や石油、ガスなどのエネルギーを安定かつ安全に供給する設備を運営・管理したりする仕事です。この分野の仕事をめざすには、機械や電気、化学物質や危険物を取り扱う資格取得をめざせる学問を修得することが必要となります。
この記事で取り上げた
「通信技術者」
はこんな仕事です
パソコンや携帯電話のデータを通信する際に使われる通信ネットワークを、より快適に速くするための開発や研究などを行うのが通信技術者の仕事。その他にも有線の通信回線や無線の通信ネットワークなどの電気通信設備や、事業所内の社内ネットワークについての計画・設計・施設工事の要望に対し、希望通りのネットワークを作り上げる監督・維持管理、保守やトラブルが起きたときのサポートも担当する。現代のネットワーク通信の快適な環境は、この通信技術者の力にかかっている。