【シゴトを知ろう】盆栽職人 編

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【シゴトを知ろう】盆栽職人 編

2017.06.12

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】盆栽職人 編

盆栽は「Bonsai」として海外でも親しまれる国際的伝統芸術です。日本では最近は盆栽をインテリアとして楽しむトレンドもあり、改めてその良さが見直されています。世界的盆栽作家、小林國雄親方が率いる日本最大級の盆栽園「春花園BONSAI美術館」に勤務して6年目の神康文さんに、盆栽職人のお仕事について伺いました。

この記事をまとめると

  • 日々の雑用が名盆栽を創る
  • コンプレックスが原動力になることも
  • 弟子入りする際に必要なものは「根性」

盆栽の値段は300円から数億円まで

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください

仕事は美術館業務と盆栽家業務の2つです。美術館では四季折々の盆栽に合わせて展示を取り替え、盆栽家としては春は植替えと芽摘み剪定(せんてい)、夏は水掛けと庭園整備、秋は落葉樹の手入れ、冬は展示会の準備を行います。年々、国内外から美術館を訪問されるお客様が増えており、メディアの取材も多くなってきています。
現在弟子は6人。日本人と外国人が半々で、全員内弟子として盆栽園の隣にある寮に住んでいます。一緒に生活しているので、お互いに打ち解けるのは早いですね。盆栽業界の修行は6年間の年季奉行*で道のりは長いですから、一日の雑用をいかに努めるかが名盆栽を創るための一歩になります。

<一日のタイムスケジュール>
7:00 掃除、メールチェック
7:30 朝食
8:00 盆栽の手入れ、外国人観光客のご案内等
12:00 昼食
13:00 水掛け、盆栽作りの体験レクチャー
19:00 自主学習

*年季奉公……雇用される年季をあらかじめ定めた雇用契約の制度


Q2. どんなときに仕事の楽しさ・やりがいを感じますか?

自分の盆栽が嫁入りする時です。ボサボサで暴れん坊だった素材が時間をかけて美人になっていき、やがてお客様に引き取っていただく瞬間、寂しさとうれしさで胸がいっぱいになります。盆栽の価格は300円から1億円までと幅広いですが、どんな盆栽でも創作する時間はとても充実しています。

Q3. 仕事の大変さを感じるのはどんなところですか?

間合いの取り方に大変さを感じます。親方・お客様・兄弟弟子との付き合いの間(ま)も大事ですし、盆栽という自然が相手ですから天災と虫や病気の付き合いの間にも気を使います。なにより商談の交渉で通訳するときはお互いの意見の間をどう取り持つかが今後の課題だと感じます。

数え切れない失敗をしてきたから教えられることがある

Q4. どのようなきっかけでこのお仕事に就きましたか?

大学4年の就職活動中、30社から“お祈りメール”(不採用通知)をいただいていた頃、ある企業合同説明会で盆栽職人の弟子入りをテーマにしたテレビのドキュメンタリー番組の撮影企画に声をかけられたのがきっかけです。
「面白そうだな」と直感した反面、不安定な仕事なんだろうなと思い、すぐには決められなかったんです。一度就職してそれでもまだ盆栽をやりたければ、と思い、魚の干物を作る会社に就職しました。散々悩んだのですが、半年働いたところでやはり盆栽への思いが勝ってしまったんですね。そして弟子入りしたのですが、やはり思っていた何万倍も不安定でした(笑)。

植物や自然に触れることは子供の頃から好きだったので手入れするのは楽しいです。盆栽は自然であり、芸術であり、商売であり、国際交流の土台でもあり、多くの表情を持っているので今後いろいろなきっかけでみなさんが盆栽と出会うチャンスは増えて行くのではないかと思います。


Q5. 大学ではどのようなことを学びましたか?

文学部でアジア関係の勉強をしていました。といっても、実際は体育科目でひたすら身体を動かし、学科の授業では後部座席で居眠りをする不良学生でした。少しでも社会勉強ができたらと思い映画を100本以上観ましたが、社会に出たら仕事は実践が第一だということにすぐに気が付きました(笑)。
とはいえ、どんなことでも楽しめたのが大学時代の一番の収穫のように思いますね。まさか、あんなにサボっていた中国語が今、美術館の案内業務でこんなに必要になるとは(笑)。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢や経験したことが、現在のお仕事につながっていると感じることはありますか?

高校の頃野球部だった僕は、いわば「野球のできない星飛雄馬」。小中高8年間ストイックにレギュラーを目指しましたが鳴かず飛ばずでした。小学生の頃は成長が早く、身体能力が高かったのですが、中学で周りに追いつかれ、高校では群を抜いて最下位。引退のときは田んぼの真ん中でヒザをついて大泣きしました。
春花園に弟子入りした頃は誤って鉢を割ったり、盆栽の枝を折ったり、うっかりミスの連続でした。しかし、その度に親方から愛のムチをいただき、どうすれば良くできるかを考えていくことができました。それもこれも8年間の野球コンプレックスが僕に「なにくそ!」の根性を授けてくれたのだと思います。

ライバルは海外にもいる

Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?

一つのことにクレイジーになれる人です。親方には「盆栽界の鬼才」という肩書がありますが、僕に言わせればまさに「鬼」そのもの。
みなさんは盆栽というと「サザエさん」の波平さんが穏やかな表情で剪定をしているところを想像するのではないでしょうか? かつて僕もその一人でした。しかし現実はチェーンソー、ハンマー、スコップ、重量金属棒が飛び交う仕事場です。一に体力、二にガッツ、それがあっての「盆栽造形のセンス」です。
大木が目に見えない地中深くへと根を張るように、美しい芸術作品を創るには、泥にまみれで地にはいつくばるような下準備が必要です。小林國雄親方の背中を見て学べば、それは難しいことではありません。盆栽職人は地味も美味もなんでも食べてしまうハングリー精神を持った人に向いている仕事ですね。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

みなさんの大部分が希望する就職先企業ランキングを見ると、名の知れた大企業が上位を占めています。家庭と仕事の両立、安定、そういった理想がよく現れていると思います。確かに自然相手の盆栽業は安定とは真逆の職です。それでも不安定な日常に慣れると、人間は環境に適応し、楽しくなってきます。

人生100年と言いますが、盆栽の樹齢は1000年を有に超えます。あなたも10世紀以上の歴史を持つインターナショナルな伝統芸術に情熱を燃やしてみませんか?



盆栽職人としてのキャリア戦略に関しても冷静な考えを持つ神さん。でも根底にあるのは自然を愛する気持ちです。自然や植物が好きで、自分でなにかを創造したい人にはぴったりなお仕事かもしれません。もちろん体力的にハードな面はありますが、やりかた次第で大きな夢がありそうですね。


【profile】春花園 神康文
http://kunio-kobayashi.com

この記事のテーマ
動物・植物」を解説

ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。

「動物・植物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「盆栽職人」
はこんな仕事です

技術と時間をじっくりかけて、自然の風景を木・土・コケ・鉢を使って再現し、その美しさを鑑賞するのが盆栽である。盆栽職人は、針金を用いて枝の伸び方を調節したり、枝や葉を切って葉の付け具合を加減したりするなどの細やかな技術を駆使して盆栽を育てるのが仕事である。通常の植木のように、その植物自体の美しさを引き出すのとは異なる。たとえば、斜幹(しゃかん)という形の盆栽は、強い風で斜め方向に幹を伸ばした木の姿を表現している。盆栽職人になるには、盆栽職人を長くやっている人の下で働き、技術を磨くことが多い。

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