【シゴトを知ろう】移植コーディネーター ~番外編~

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【シゴトを知ろう】移植コーディネーター ~番外編~

2017.06.08

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】移植コーディネーター ~番外編~

臓器移植は日本では腎臓移植を希望する人工透析患者さんが多いそうですが、その他にも心臓・肺・肝臓・膵臓・小腸・角膜などさまざまな臓器の移植が行われます。主に脳死状態となった患者さんのご家族や担当医とお話をして、臓器提供が決まった際は手術に向けてのさまざまな調整を行うのが移植コーディネーターの仕事です。チーフコーディネーターとして活躍する佐々木友子さんに、日本での臓器移植の実態や意思表示の方法などについて伺いました。

この記事をまとめると

  • 日本では脳死判定プロセスや医師の報告義務化はまだ議論がなされている段階
  • コーディネーターは臓器摘出や移植の手術にも立ち会う
  • 臓器提供の意思表示はインターネットからでもできる

コーディネーターは1人ではなくチームで動く

――移植手術というと、子どもの心臓移植のためアメリカに渡る家族のニュースをよく見ることがありますが、日本では圧倒的にドナー(提供者)数が足りないのでしょうか

2015年の数字を見ると臓器移植を待つ約14,000人のうち、実際に移植できたのは300名程度。移植のチャンスを求めてドナー数の多いアメリカに渡る人もいます。
アメリカでは脳死と診断されたら、その時点で死亡が確定します。それ以降は保険が効かなくなり、延命を希望する場合は高額な治療費を自費負担することになります。日本では、脳死での臓器提供を希望した場合には、「法的脳死判定」という検査を2回行い、脳の機能が失われているということを慎重に確かめてから死亡宣告が行われます。このプロセスの違いがドナー数の違いの一つと考えられます。
また、韓国では患者さんが脳死となった場合、我々のようなネットワークに報告することが医師に義務づけられており、このルールが制定されてから臓器移植の件数が増えました。日本では脳死を人の死とするかという問題も非常に長い間議論されてきており、現在もいろいろな意見が交わされている段階です。


――1人の移植コーディネーターが1カ月あたり担当する件数はどれくらいですか?

全国で臓器提供は月に5~6件程度行われており、1件につき3日間ほど病院にかかりきりになります。私たちは常にチームで動いています。1件あたり約10名のコーディネーターが関わり、病院へ行きご家族への説明をする人や手術に立ち会う人と、事務所で移植を受ける方を選ぶ手続きを行う人などに分かれて対応します。


――手術にも立ち会うのですか?

臓器移植は一刻を争うものなので、予定された時間通りに手術を進めなければなりません。手術室に入って開始時間や摘出時間などの詳細を記録するのも私たちの仕事です。血を見るのが苦手な方だと厳しいかもしれませんね。

臓器提供の意思を表明することが大切

――臓器を提供するご家族の心労というのは大きいものなのでしょうか

急な不幸に遭われた中で、考えなければいけないことが増えるのは大変なことです。本人の意思が分からなくてもご家族の了解があれば臓器提供できるのですが、決断をした後も「本当に良かったのだろうか」という葛藤が残ることがあります。本人のための治療でないのに体に傷をつけなければいけないというつらさもあると思います。私たちは臓器提供を勧める立場にはありませんので、ご家族の方の気持ちに寄り添いながらも臓器提供について正しい説明をすることが求められます。

――臓器提供をしたご家族と移植を受けた方は直接やり取りはしないのでしょうか

直接やり取りをすることはありませんが、ご希望に応じて、臓器移植コーディネーターを介してお手紙を交換する方々もいらっしゃいます。「どこかで生きていてほしい」という思いで臓器提供を決断するご家族もいらっしゃいますので、そうした交流が心のケアになることもあります。
 

――移植コーディネーターは臓器移植を勧める立場ではないというお話がありましたが、それでもやはり移植が成立することを願って活動されているのでしょうか

もちろん私たちは臓器移植によって一つでも多くの命が助かることを願っています。ただ、ご本人やご家族の意思があってのことですから、私たちは中立的な立場で職務に当たります。対外的な啓発活動も行っていますが、その際も臓器提供をお願いするのではなく、臓器提供について正しい情報をお伝えし、意思表示をすることの大切さを伝えています。


――臓器提供の意思を表明するにはどんな方法があるのでしょうか

当ネットワークのWebサイトから登録して意思を表明することもできますし、健康保険証・運転免許証・マイナンバーカードなどに臓器提供意思の欄があればそこで意思表示をすることもできます。都道府県市区村長役場の窓口などで配布されている臓器提供意思表示カードもご活用いただけます。

新しい環境に飛び込んでいける明るい人が多い

――移植コーディネーターにはどんな性格の方が多いですか?

話し好きの人は多いかもしれません。毎日違う現場に行く仕事なので、気も遣いますし疲れることもありますが、新しい環境に飛び込んでいける明るい人が多いように思います。あとはどこでも寝られる人ですね(笑)。疲れた顔をご家族の方には見せられませんから。急な出張もありますので、家族の理解やサポートが得られる方だとより働きやすいと思います。


――移植を受ける人を選ぶ作業も行うそうですが、どのようなことをするのですか?

臓器提供者の血液型・身長・体重・白血球の型などのデータをシステムに入力すると、相性の合う方が選ばれます。優先順位の高い方から順に移植を受ける意思があるかどうか、その方の担当医に電話で確認をしていきます。


――移植コーディネーターはどのようにキャリアを積み上げていくのでしょうか

まずチームの一員として現場での経験を積みます。そのうちチームを統括するチーフコーディネーターとなり、さらに昇格すると、現場だけでなく事務所で働くコーディネーター全てを統括する立場になります。


――看護師経験のある方も多いと聞きましたが、新卒で移植コーディネーターになる方もいらっしゃるのでしょうか

もちろん新卒の方でもなれます。医療系の学校を出た方だけでなく、学生時代に自分なりに臓器移植について学んで入ってきた方もいます。医療経験がある方と新卒の方ではスタート時点ではやはり差がありますが、経験や勉強を重ねていけば差はなくなりますよ。



臓器提供に関する考えは医療の仕事をしている方の間でもさまざまで、どちらが正しいという問題ではありません。ただ、自分に何かあったときに家族や周りの人がスムーズに判断できるよう、臓器提供の意思表示をすることは大切なようです。考えが変わったときは書き換えることもできます。これを機に家族や周りの人と話し合ってみるのも良いかもしれませんね。


【profile】日本臓器移植ネットワーク チーフコーディネーター 佐々木友子
https://www.jotnw.or.jp

この記事のテーマ
医療・歯科・看護・リハビリ」を解説

医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。

「医療・歯科・看護・リハビリ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「移植コーディネーター」
はこんな仕事です

臓器などの移植に際して、提供者と患者との橋渡しをする仕事。提供者(ドナー)情報が入った際に、提供元の病院で調整や家族への説明などを行う「ドナーコーディネーション」と、患者(レシピエント)に最適な臓器・組織を医師とともに選び運搬する「レシピエントコーディネーション」の2つに大別される。1件の移植について約10名のチームを組んで、病院内・病院外での業務を区分して担当し、最適な臓器・組織を患者に届ける。国家資格はなく、(社)日本臓器移植ネットワーク所属または委嘱にて業務にあたる。

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