【シゴトを知ろう】版画家 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】版画家 ~番外編~

2017.05.26

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】版画家 ~番外編~

版画家として約30年活動を続ける傍ら、近年は大学教授として芸術学部の美術科版画コースで学生たちの指導もしている中村桂子さん(画像後列中央)。東京と山形で二重生活を送る忙しい毎日の中でも、満足できる作品を追い求めて制作活動に取り組んでいます。
番外編では、あまり知られてない版画家の一面などについてお話しいただきました。

この記事をまとめると

  • 版画制作は力仕事!? 腰痛持ちが多いので、マッサージ店の情報交換も
  • やめたいと思ったことは何度もある。でも、もっといいものを作りたい!
  • 作品には自分が映し出されている。自分と向き合ってこそ納得のいく作品が作れる

展覧会で交流を深める。制作技法を教えることも

――版画家同士での交流はありますか?

普段は個人で制作活動をしていますが、知り合いの版画家さんとはお互いに展覧会を行き来しています。展覧会では、「この刷りって、どうやるの?」「この紙、何を使ってるの?」なんて、技法を聞きあったりすることも珍しくありません。
言いたくないこともあるかもしれませんが、版画家さんは人柄がいい人が多いんです(笑)。お互いに情報交換していますね。


――版画家ならではの悩みはありますか?

版画は意外と体力勝負なんですよ。彫刻刀は力の繊細なコントロールが必要ですし、重たい版を持ち上げたり、中腰の姿勢で机の上に覆いかぶさるような感じで作業することが多いので、腰を痛めやすいんです。
版画家同士で、「あのマッサージ店の○○さんはゴッドハンドだったよ」と情報交換することもよくあります(笑)。

思い通りの作品に近づいたときの快感は中毒性がある

「京都版画トリエンナーレ2013 PAT in Kyoto」では、中村さんの作品も展示された

「京都版画トリエンナーレ2013 PAT in Kyoto」では、中村さんの作品も展示された

――版画をやめようと思ったことはありますか?

何度もありますよ。だけど、まだ版画家としてまっとうできていない自分がいるのでやめられないんです。心残りがありすぎて別れられないし、もっといいものを作りたいという欲が止まりません。
でも、作りたいと思うのに作れない日々が続き、もう無理だという気持ちが強くなってしまったら、そこでやめてしまうんでしょうね。


――何がそんなに中村さんの制作意欲をかき立てているんでしょうか?

うまくいかないなと思いながら試行錯誤を重ね、ある時「これだ!」と思えるようなものが完成したときの快感ですね。この快感は何にも代え難いものです。あれを一度味わうと、また味わいたいと思うんです。作ることって中毒性があるんですよ。


――版画家として成功するとはどんなことでしょうか?

これがあれば版画家として成功だといえるものはありません。作品で賞を取りたい、海外に進出したい、プロジェクトを成功させたい、教育者として名を上げたい、組織でトップに立ちたい。目標は人それぞれだと思いますが、「昨日よりいいものを作りたい」ということが、ものつくりすべての目標ではないでしょうか。

完全に満足できる作品ができるまではやめられない

――仕事をするにあたって大切にされていることはありますか?

人脈です。アーティストとしていくら才能があっても、人を大事にできないアーティストは一流になれないと思います。そういう私も、昔は自分が一番ならそれでいいと思っていました。でも、美術館の版画工房でスタッフをしていたころ、版画を習いにくる方たちと接していく中で人と関わることの大切さをたくさん学びました。
年上の人に対する接し方を教わる他にも、生徒さんたちが私の個展を見にきてくださったりしたんです。そのような経験が私の心を豊かにしてくれたと思っています。

あとは、失敗や無駄だと思われることを経験するのも大切です。それも人生を豊かにしてくれる糧となりますから。時には無謀なことや無茶なことをしてみるのも大事なんですよね。
短距離で正解を求める風潮がありますが、失敗を重ね痛みを感じて初めて、その人にとっての「本当」が分かるのではないでしょうか。


――作品作りをしていく上での目標を教えてください。

ものづくりには定年がないので、作品を作ることに決められた終わりはありません。完全に満足できる作品が出来上がったときが、私にとって版画家人生の終わりなのだと思っていますが、おそらく満足できることはないだろう、とも思っています。
作品には、その時々の自分自身の精神状態や思考など生き方が否応なく反映されます。だから、作品を作り続けることで、いい時も悪い時も自分に嘘のない記録を残しているんだと思うんです。私が年を取ってこれまでの作品を振り返った時に、「まぁまぁいい人生だったな」と思えるようになりたいですね。


中村さんは、「本気で版画家として生きていきたかったら、働きながらでもできます」と力強くおっしゃっていました。東京と山形を往復しながら、自分の制作活動にも学生たちへの指導にも力を注ぐことができるのは、夢中になってのめり込めるものがあるからなのだと感じました。
芸術分野の仕事では、それだけでは生計を立てるのが難しい場合があります。でも、本当にやりたいことだった場合、それを仕事にできない理由を探すのではなく、できる方法を考えることも必要なのではないでしょうか。


【profile】版画家 中村桂子

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「版画家」
はこんな仕事です

さまざまな版材に彫刻などの細工を施して製版し、インクや絵の具で紙・布に印刷した絵画を制作する仕事。材質によって木版画、石版画(リトグラフ)、銅版画(エッチング)、シルクスクリーンなどの技法がある。日本の浮世絵は、多色刷りの木版画として世界の美術愛好家に人気が高い。美大や専門学校で学んだ後に芸術家をめざす一方、絵本やイラストレーションの原画などの分野で、装丁家やイラストレーター、デザイナーと組んだ仕事を行う道もある。美大や専門学校の講師、絵画教室の運営などを、並行して行う人も多い。

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