【シゴトを知ろう】調剤薬局事務 ~番外編~
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調剤薬局事務の仕事は、患者さんと薬剤師をつなぐ仕事だとおっしゃる永井涼子さん。処方箋の情報などのデータ入力やレセプト(*1)作成といった事務能力だけではなく、受付や薬の調剤を待つ患者さんへの対応など、臨機応変なコミュニケーション力も必要とされる仕事です。
薬の飲み忘れを防げる「一包化」についてや、知っていれば税金が戻ってくるかもしれないお得情報について教えていただいたので、番外編としてご紹介します。
この記事をまとめると
- 民間資格はあるが、資格を持っていないとできない仕事ではない
- 税金が戻ってくる!? 薬局やドラッグストアのレシートは捨てる前に要チェック!
- 勤務する薬局によっては、より裁量の大きい仕事を任せてもらえることも
薬の名前で自分の病状が分かる!? 調剤薬局事務の職業病
――職業病のようなものはありますか?
普段から体調管理には気を使っているのですが、私も体調を崩して病院に行くことがあります。そういう時に処方された薬の名前を見て、「この薬は仕事でよく見かけるな」と思うことがありますね。
調剤薬局事務の仕事をしていると薬に関する知識が増えてくるので、病院で発行してもらった処方箋に書いてある薬の名前を見ただけで、「思ったほど悪化してなかったな」とある程度病状が分かってしまうのは、職業病かもしれませんね(笑)。
*1 レセプト:調剤報酬明細書。保険診療を受けた患者に請求する調剤報酬のうち、健康保険組合などに請求する分の詳細について記した明細書のこと。
――調剤薬局事務の仕事をするために必要な資格はあるのでしょうか?
調剤薬局で働いている薬剤師さんが持っているような国家資格はありません。民間で認定している資格があるようですが、私は取得しませんでした。
弊社では研修制度が充実していて、仕事に関連する法律が改正された時はすぐに社内で研修が行われます。勤務する上で必要な知識は仕事を通して身に付けることができますし、常に最新の情報にふれることができるので、民間資格を持っていないとできない仕事ではないと思います。
飲み間違いや飲み忘れを防げる「一包化」って何?
――一般の方があまり知らない業界の常識はありますか?
処方する医師の指示が必要ですが、薬の「一包化」が可能です。これは、処方された複数の薬のうち、朝・昼・夕など飲むタイミングが同じ薬をまとめて一つの包みに入れることです。「どの薬をいつ飲むんだっけ?」と飲む時に迷うことがありませんし、「この薬だけうっかり飲み忘れてしまった!」ということも防げます。
特に、長期的に複数の薬を服用されている方やご家族にお年寄りがいらっしゃる方は、知っておいて損はない調剤方法ですよ。
ただ、一包化できない薬もありますし、一包化する場合は別途費用と作業時間が必要ですので、その点も併せて知っておいていただければと思います。
あと、2017年の1月1日から、セルフメディケーション税制(*2)が始まっています。これは、かぜ薬や胃腸薬など内服する薬や腰痛・関節痛などの貼り薬などのうち、もともと医療用として使われていたものが市販されるようになったもの(スイッチOTC医薬品)を1年間で一定額以上購入している場合は、所得控除を受けることができる制度です。
高校生のみなさんにはまだピンとこない制度かもしれませんが、薬局やドラッグストアなどでスイッチOTC医薬品を購入すると、レシートにマークがついている場合があります。そのレシートを捨てずにご家族に渡すと、ご家族が所得控除を受けることができるかもしれませんよ。
*2 セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124853.html
栄養バランスの取れた食事が健康の基本。お昼ごはんは手作りで
――仕事をされる上で、私生活で制限されることはありますか?
薬局は、体調を崩された方がいらっしゃる場所ですので、自分自身も流行性の感染症などにならないように常に気を使っています。特にインフルエンザが流行する時期は、自宅でも加湿を欠かさないように意識して生活していますね。
体調を整えるという点においては、毎日しっかりと栄養バランスのよい食事を取るよう心掛けていて、お昼ご飯も自分で作ったお弁当を持参しています。
――事前のイメージとのギャップはどんな部分にありましたか?
想像していたよりも、いろいろと店舗について任せていただける部分があります。薬局で取り扱っている商品のディスプレイを考えたり、今月のおすすめ商品のPOPをパワーポイントやエクセルなどを使って作ることもあります。薬剤師に「この商品をぜひおすすめしてください」とお願いすることもあるんですよ。そういう意味では、「事務」の範囲は広いですね。
――業界内ではどのようなキャリアパスがあるのでしょうか?
規模の大きい調剤薬局であれば複数の調剤薬局事務スタッフが働いていますので、それらのスタッフをまとめる主任などの役職に就くこともあります。また、さらに大規模なチェーンの薬局であれば、特定エリアの調剤薬局事務スタッフを統括するポジションも考えられるキャリアですね。
資格を持っていなければ調剤薬局事務の仕事に就けないわけではありませんが、仕事をする上で医療保険や診療報酬などに関する専門知識が必要です。研修制度が充実している会社があったり、民間で認定している資格が複数あったりしますので、調剤薬局事務の仕事に興味のある人は調べてみるといいかもしれませんね。
【profile】日本調剤 市川南口薬局 永井涼子
日本調剤 https://www.nicho.co.jp/
この記事のテーマ
「医療・歯科・看護・リハビリ」を解説
医療の高度化に伴い、呼吸器や透析装置、放射線治療などを取り扱う医療・検査機器の技師がますます求められています。この分野の仕事は、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリスト。めざすには、基礎知識から医療現場での実践能力に至る段階的学びが必要となります。
この記事で取り上げた
「調剤薬局事務」
はこんな仕事です
調剤薬局事務は、調剤薬局に勤め、薬を受け取りに来る患者に対しての窓口業務全般を行う仕事。具体的には、処方箋(せん)を受け取り、健康保険証やアレルギーの有無などを確認。必要書類を作成して薬剤師に薬の調剤を依頼する。調剤薬局事務が薬の調剤を行うことはできないが、アシスタント的な役割を果たす。会計業務やコンピューター入力作業など事務的な仕事も多いが、メインは患者と直接関わる接客業務。薬局の顔として、笑顔と丁寧な心配りで患者と接することが大切な仕事である。
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