【シゴトを知ろう】美術鑑定士 〜番外編〜

  • ようこそ、ゲストさん
  • ログイン
  • メンバー登録(無料)
  • エリア設定
  • 保護者・先生の方へ
MENU
閉じる
  • ようこそ、ゲスト さん

    メンバー登録(無料)

  • 適学・適職診断無料!

    診断を受ける

  • エリア設定

現在4校がカートに入っています。

一度に最大30校までまとめて資料請求することができます。

閉じる

「マイナビ進学」サイトが別タブでが開きます。

【シゴトを知ろう】美術鑑定士 〜番外編〜

2017.04.26

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】美術鑑定士 〜番外編〜

骨董(こっとう)・古美術の鑑定、買取りを専門に行う「本郷美術骨董館」の代表を務め、掛け軸・絵画・陶磁器・刀剣・茶道具・置物など、たくさんの美術品の鑑定や買取りに携わっている染谷尚人さん。美術鑑定士の業界用語、審美眼はどのように鍛えられているのか、お仕事のやりがいを強く感じたときのエピソードなど、気になるお仕事の裏側を伺いました。

この記事をまとめると

  • ほとんどの依頼品は1点もの・経験を積めば本物か瞬時に見分けられる
  • 目利きに影響するので、体調管理には気を付けている
  • 業界内での鑑定士同士の情報交換は、貴重な情報元

良い美術品をたくさん見ることで、審美眼が鍛えられるのを実感

――染谷さんは今までたくさんの美術品を鑑定されてきたかと思いますが、鑑定される作品には1点ものの方が多いのでしょうか?

ほとんどの物が1点もので、初めて見る物ばかりです。しかし経験を積めば、瞬時に本物か偽物かが分かります。良い美術品をたくさん見ると美を的確に見極める能力である、審美眼が鍛えられていくことが実感できます。それが仕事の楽しさでもありますね。


――美術鑑定士の業界内での、一般人が知らない業界用語はありますか?

長年コレクターが所蔵していた物が市場に出てきたとき、その作品のことを「ウブい品」と呼んだりします。それから、鑑定の際に本物か否かを見分けることを「目利き」というのも業界用語でしょうか。また目利きに失敗し、偽物を買ってしまうことを「目がにぶる」と言ったり、オークションなどで思っていた以上に値段がつくことを「跳ねる」と言ったりします。


――その他に、一般の人が聞くと驚くような常識はありますか?

買取り・販売などの業界内での取引は全て現金取引で、振込もありません。数百万円、時には数千万円もの取引であっても、当日その場で現金での取引のみということを話すと、驚く方も多いです。

日ごろから美術館にはよく足を運び、同業者との情報交換の機会も多い

――業界内で働くにあたって、特に意識したり制限されたりすることはありますか?

体調管理には気をつけています。体調が悪いと目利きに失敗しやすくなり、依頼品を本来の価値よりも高く買ってしまったり、うっかり偽物を買ってしまうこともあるからです。


――美術鑑定士というお仕事をされている中で、日頃から気になってしまう職業病のようなことはありますか?

日ごろから美術館などによく行くのですが、展示されている美術品を見るたびに、「この品が市場に出たら、5,000〜7,000万円位かな」とすぐ値を付けてしまいます(笑)。これは職業病のようなものかもしれませんね。


――染谷さんは日ごろ、鑑定の業界内でつながりのある方とお話をされたりはするのでしょうか?

はい、同業者と話をする機会は大変多いです。業界内での情報交換は、鑑定士として貴重な情報元です。
例えば、最近中国で草間彌生(*1)作品の偽物が作られ世界中に出回っている、某美術館が横山大観の絵を探している……などといった情報を交換し合います。

*1 草間 彌生(くさま やよい):日本の芸術家。水玉模様などの同一のモチーフの反復によって絵画の画面や彫刻の表面を覆うことが作品の特徴の一つ。

鑑定で救い出した『国の宝』は、今も美術館に展示

――染谷さんは美術鑑定士としてお仕事をされる傍ら、BSフジにて若手アーティストを紹介する番組『ブレイク前夜』の制作もされているとのことですが、そちらはどのような思いで始められたことなのでしょうか?

日本の若手アーティストは世界的にもレベルが高いのですが、国内でそれを評価される機会がまだまだ足りません。優れた作家は海外に流出してしまいがちな現状を変えたい・日本人に国内アーティストたちの素晴らしさをもっと知ってもらいたい!という趣旨で始めました。この番組を通して、日本の若手アーティストに興味を持ってくれる人が増えればうれしいですね。


――最後に、染谷さんがお仕事のやりがいを感じるのは「美術品の運命を救った時」とのことですが、それに関するエピソードを伺えますか?

ある日、家に代々伝わってきたという「掛け軸」を持ってきたおばあちゃんがいました。ご依頼内容は、その掛け軸がどういう物なのか、おばあちゃんご自身も分からないけれど、価値がある場合は売却したいということでした。

そこで掛け軸を預かり調べたところ、それは昭和5年に国の重要美術品に指定された物だったということがわかりました。もしそのおばあちゃんが依頼に来なかったら、『国の宝』が、価値が現代の誰にも伝わることなく処分されていたかもしれません。その掛け軸は美術館に収まり、今も展示されています。

初めて見る1点物でも、審美眼によって瞬時に本物か分かるというのはプロならではですね。染谷さんのお話からは、お仕事を通じて本物の素晴らしい美術品を後世に残したいという思いも感じられました。
美術鑑定士のお仕事に興味を持った人は、まずは美術館などに足を運ぶことから始めてみてはいかがでしょうか。本郷美術骨董館のWebサイトや染谷さんの手掛けるテレビ番組でも、いろいろな美術品について知ることができますよ。


【profile】本郷美術骨董館代表 染谷尚人
本郷美術骨董館のHPはこちら

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「美術鑑定士」
はこんな仕事です

美術品、骨董品、絵画や掛け軸などが、本物であるかを見分ける。本物である場合も、市場での価格や価値基準を見極め、鑑定書を作成したりする。鑑定士という資格はないが、美術館や古物商に勤めるなどし、長年経験を積んで目利きになる必要がある。蚤の市やオークションなどで審美眼を養い、実績を積み重ねていく。自分の得意とするジャンルを確立することも重要。美術館の学芸員として長く働いた後、独立する人もいる。美術品や骨董品の深い知識もさることながら、骨董市場の変化などを把握しておくことが大切だ。

「美術鑑定士」について詳しく見る