【シゴトを知ろう】美術デザイナー ~番外編~

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【シゴトを知ろう】美術デザイナー ~番外編~

2017.06.01

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】美術デザイナー ~番外編~

子どもの頃から絵を描いたり、ものを作ることが好きだった美術デザイナーの門馬雄太郎さん。今の仕事は「毎日が文化祭のようなもの」だそうです。仕事は現場で覚えたそうですが、この仕事を目指す人が知っておいたほうがいいことについて教えてもらいました。また、お休みの日の過ごし方やリフレッシュの方法などについても伺いました。

この記事をまとめると

  • CADデザインのソフト(Vectorworks)や尺貫法を覚えておくと便利
  • 作業場や倉庫として使えるスペースの確保も必要
  • 見たもの全てが知識としてストックされてヒントになる

ターミネーターや仮面ライダーを自作していた子ども時代

――門馬さんは子どもの頃からものづくりが好きだったのでしょうか

子どもの頃に映画の『ターミネーター2』を観て、銃で打たれて中の金属が溶け出したターミネーターの顔をアルミホイルで作ったことがあります。「ないなら作っちゃえ」という考えはその頃から持っていましたね。仮面ライダーに憧れ、自転車を仮面ライダーのバイク風に改造して走らせていたこともありました。実家は味噌屋だったのでダンボールやガムテープはいくらでもあったんです。親も無駄使いを止めずに好きなようにやらせてくれました。


――今は舞台セットを作るときはどんな材料を使っているのでしょうか

主に木材です。木は軽くて丈夫で曲げられますから。鉄だと重く、値段も高く廃棄の費用も高くつきます。布は必要なときは使いますが、音を吸収してしまうので多用は気をつけます。

――作りかけのセットを置いておく場所も必要なのでしょうか?

今は同業者と一緒に借りている倉庫を使っていて、そこで作業しています。木材は長いもので4メートルになるので、天井高が4メートル以上ある場所がベストなのですが、今の場所はギリギリですね。でもここに至るまで場所探しには苦労しました。当初借りてた運送会社のスペースが閉鎖されたときは知人が自宅のガレージを貸してくれたのですが、家族に見つかり追い出されて途方に暮れたことも……。その急場を救ってくれたのも別の知人でした。人とのつながりは大事ですね。

リフレッシュも「作ること」

――舞台セットを作る技術をプライベートでも生かすことはありますか?

ベッドや、高さを天井高にぴったり合わせた棚は自分で作りました。たまに粘土で造形を楽しんだり、プラモデルを作ることもあります。仕事では大きなものばかり作っているので、テーブルの上でできる作業が楽しいですね。僕の場合はリフレッシュも結局「作ること」です。


――お休みはやはり不規則ですか?

本当は週2日くらい定期的に休みを取りたいのですが、現実は20日間以上通しで働くこともあります。そうすると仕事がない時は1週間くらいぐったりしてしまいます。1日8時間労働も週休2日制も理にかなっているなと思います。人間は休まないとダメですね。体は動かせても、集中力が切れてはいいものは作れません。だから休める隙は常に作るようにしています。休みの日は何も考えたくありませんね。仮死状態のように一日眠ることもあります。基本的に仕事をしていないと僕はダメ人間です(笑)。


――高校卒業後に当てもなく上京したというのはすごい行動力ですね。最初は大変だったのではないでしょうか

最初は東京にいる友人のお父さんの家に三日間泊めてもらって、仕事がないと部屋も借りられないということで、上京1日目に求人情報を見て1件ずつ電話をかけ、当日に面接できる居酒屋を受けました。アルバイトのつもりだったのですが、全日入れると言ったら正社員として採用されてしまいました(笑)。1年間働いて社会経験を積んだのですが、夢に近づいていないことに焦りを感じ始めて大道具の会社に転職しました。

居酒屋を辞めて大道具の会社に入るまで2週間ほど空白期間があったのですが、そのときは精神的にキツかったですね。公園で座っていると、周りはみんな動いているのに自分だけが止まっているように思えて「来月の家賃、払えるのかな」「今倒れても誰にも気づかれないのかな」とすごく不安になったことを覚えています。ニートをやるにも精神力が必要なのだな……と感じた経験でした。

毎日が文化祭のような仕事

――美術デザイナーさん特有の職業病のようなものはありますか?

この仕事をする前からでしたが、お店に入ると「あの配管かっこいいな」とか、ひたすら内装を見てしまいます。何となく見ているものが知識のストックになっていきますし、演出家と打ち合わせするときにも「○○みたいな」と共通言語で話せたほうがお互い楽なんです。仕事を始めた頃は、デザインに行き詰まったら街をぶらついていました。非常階段の手すりを見て、格子のかっこよさを再認識してアイデアを思いついたこともありました。見たものが全く別の何かにつながることもあるので、いろんな視点で見ることを意識しています。
あとは素材が気になって何でも触ってしまう癖があります。工事現場で建物ができあがっていく過程を眺めるのも好きです。


――美術デザイナーにはどうやったらなれるのでしょうか

僕の先輩は、大学時代に所属していた劇団の人脈で舞台の仕事を得ていました。僕は大道具の会社で出会ったその先輩のツテで仕事が増えていきました。取っ掛かりは何でもいいのですが、結局は人との交流から生まれるのかなと思います。
最近は、この仕事を目指す人にも安定志向な人が増えたような気がします。もっと積極的に人に話を聞きに行ったり、なりふり構わず突っ走るロックな人が増えてほしいなと個人的には思います。

尺とメートルが併記されたメジャーは仕事の必需品

尺とメートルが併記されたメジャーは仕事の必需品

――美術デザイナーになるために学んでおいたほうがいいことはありますか?

Vectorworksのソフトは使えると自分も楽だし共同作業をする相手のためにもなります。でも手書きもできておいたほうがいいと思います。日曜大工もそうですが、電動ドライバーを使いこなすには、自分の手でドライバーを回してネジを閉める感覚を知っておいた方がいいんです。

尺貫法も覚えておくと便利ですよ。尺貫法というのは人の体をものさしにした単位で、舞台で人がどう動くか考えるときにわかりやすいんです。例えば舞台で人が通るには「最低でも2尺」「自然に行くなら3尺」という風に使います。1尺は約30.3cmで手から肘の長さくらいです。公的に使うことは禁止された尺貫法ですが、今でも根強く残っているのはそれだけ便利だからだなのだと思います。


――美術デザイナーとしてのキャリアアップは必ずしも規模の大きな舞台を手がけることではないのでしょうか

誰もがより規模の大きな商業舞台を目指すというわけではないと思います。大きな舞台は年間にこなせる数が限られたり、プロデューサーや原作者など関わる人も増え、精神的につらいこともあるでしょう。プレゼンをするにもラフ絵ではなく模型を作り込む必要があります。そうなると弟子を取って監督に徹することになるかもしれません。そちらのほうが向いている人もいるでしょうが、僕は小劇場の舞台美術の仕事が好きです。基本的に“自分で作りたい”という気持ちが強いんでしょうね。今の仕事は毎日が文化祭のようなものですから。

――出来上がったものを役者さんに喜んでもらえるのが一番うれしいということでしたが、お客さんからも反応はあったりするのでしょうか

お客さんはその劇や役者さんを観に来ているので、舞台セットに注目する人は極少数だと思ってます。でもたまにアンケートや役者さんづてに「あれは何だったの?」と質問されると、「そんなに気にしちゃう?」とうれしくなります(笑)。「気持ち悪い」という感想も僕には褒め言葉です。意図はあったりなかったりですが、匂わせるようなことはよくします。


――今後チャレンジしたいことはありますか?

実物大のティラノサウルスを作ってみたいです。趣味で作ると完成まで至らないので、できれば仕事で作りたいですね(笑)。舞台の歴史は映像より長いので、もう誰も作ったことがないようなデザインのセットは、ないんじゃないかと思うんです。だから舞台には普通出てこないものを作れると面白そうだなと思っています。



門馬さんは主に舞台の美術を手がけていらっしゃいますが、美術デザイナーには舞台以外にもコンサートやテレビ番組、イベントなどさまざまな活動の場があるようです。仕事の進め方や手がける範囲も人それぞれで、幅の広い仕事のようです。入り口もさまざまだと思いますが、ピンと来た人は舞台などの現場へ足を運んでみることから始めてみると良いかもしれませんね。小劇場ならスタッフの方に声をかけるチャンスもあるかもしれませんよ。


【profile】舞台美術 門馬雄太郎

この記事のテーマ
音楽・イベント」を解説

エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。

「音楽・イベント」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「美術デザイナー」
はこんな仕事です

芝居の脚本、アーティストや曲のイメージ、歌詞の世界観、イベントなどの演出プランを生かす舞台装置全般(大道具・小道具)を創造する仕事。演劇、舞踏、コンサート、テレビ番組、ミュージックビデオ、スポーツイベントや展示会と、カバーする範囲は広い。デザイン力はもちろん安全性・耐久性、衣装とのバランスや照明効果、予算への配慮が求められる。舞台装飾科やインテリアデザイン科を卒業後、舞台制作会社に就職するケースが多く、とくに資格は無いが、コンピュータで3D(CADデザイン)図を描けると有利。

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