【シゴトを知ろう】和紙職人 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】和紙職人 ~番外編~

2017.05.10

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】和紙職人 ~番外編~

会社員時代に和紙の美しさに引きこまれ、和紙職人へと転向。現在は国内外での和紙づくりの指導にも力を入れている谷野裕子さん。和紙職人としてのこだわりや、今後の目標など、番外編としていろいろなお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 人と自然に寄り添うことを心掛けてつくられた和紙は、長持ちする
  • 「紙すき」は 冬の季語・夏は和紙の原料が傷みやすい
  • 市場に流通することが大切・形を変えても良い技術を残せるように

畑作業から紙すきまで5年で会得する研修を、内職やアルバイトをしながら続けた

――谷野さんは、和紙職人を志されてから県の「後継者育成事業」 で研修生として学ばれたとのことですが、どのような取り組みだったのでしょうか?

埼玉県と和紙の産地小川町が中心になって「和紙の継承者育成事業 」5カ年計画を企画し、15名ほどの研修生を募集し、畑作業から紙すきまで全てを5年で会得するという内容です。当時100人以上の応募があった中、無事に研修生として学ばせていただくことができました。当初は土日のみの研修でしたが、作業の性質上毎日出かけることになりました。受講料はほとんど不要でしたが、手当てが出るわけではないので、合間に内職やアルバイトをして続けました。

和紙づくりは農業ともつながっており、自然や地球の環境を考えつつ仕事をすることが大切

――谷野さんが、和紙職人としてお仕事でこだわっていることは何でしょうか?

作っているものが自然相手で環境に影響するものなので、なるベく環境を壊すことなく、人と自然に寄り添った和紙づくりを心掛けています。そのようにして作られた和紙は、本当に長持ちするんですよ。
「和紙づくり」を通して見えてきたことは、この仕事を追求すると、林業や農業にもつながるということです。私たちの仕事も農業の延長線上にあるので、山や畑が元気でないと紙の原料が取れなくなります。自然や地球の環境を考えつつ、仕事をすることが大切だと思います。具体的には、薬品はなるべく使わないようにすることで、作り手にも使い手にも自然にも優しいモノづくりを目指しています。

昨年から抱負にしているのは「21世紀の紙づくりを考える」ということです。今残っている和紙で良いと言われるのは100年以上前のものが多く、高度成長期に作られた紙は残念ながら、良い状態で残っているものが少ないんです。
薬品もなく道具も手作りのもので作られたもののほうが長持している……それは職人が、その時あるもの・ある環境の中で手技の力で精一杯作ったからではないかと思い至りました。


――谷野さんがお仕事のやりがいとして挙げられていた「自然が相手であり、きちんと取り組んだらそれに応えてくれる」ということの意味も、今のお話でよく分かりました。普段は農作業が多く、「紙すき」の作業は冬が主とのことですが、紙すきに冬が向いているのはなぜでしょうか。

夏は和紙の原料が傷むためです。また粘材に使う「トロロアオイ」も温度が高いと使えません。「紙すき」は和歌の世界でも、冬の季語として使われています。

後継者の育成・伝統の継承への努力をしながら、和紙職人をカッコいい職業に成長させたい

バリでの和紙づくりの講習のようす

バリでの和紙づくりの講習のようす

――谷野さんの今後の目標や夢についてお聞かせください。

今までも他産地に和紙づくりの技術指導に行ったりしているのですが、今はインドネシアのバリでの指導に力を入れています。「日本の手すき和紙技術」がユネスコの無形文化遺産に記載登録されたので、より一層後継者の育成に努め、伝統工芸が廃れないようにしたいです。

バリ支援のきっかけは大学の先生の要請からスタートしました。その先生はバリの山村の支援を10年ほど前から続けており、村を農業と林業で活性化し村民の生活を豊かにできればと考えていました。その支援の一環として「紙づくり」ができないかと相談にいらっしゃったんです。先生の考えに賛同して、その後バリに出かけたり、今年は私の工房にバリから2人研修生を呼んだりしています。和紙の技術が国内はもとより海外でも役に立つなら、私はどこへでも応援に行きます。バリに関しては良い紙が作れるようになってきたので、今度はちゃんと販売できるように応援してあげたいと考えています。

日本でも海外でも技術は商品などになって売れないと残っていかないので、市場に流通することが大切です。売れないからという理由で失われた素晴らしい技術も多々ありますので、形を変えても良い技術を残せるよう現場は努力するべきだと考えています。
身近な目標としては、「和紙職人になりたい」と多くの人が思ってくれるようなカッコいい職業に成長させたいです!

人と自然に寄り添った和紙づくりの技術を、海外にも積極的に伝えている谷野さん。「後継者の育成に努め、伝統工芸が廃れないよう努力をしたい」「和紙職人をカッコいい職業に成長させたい」という言葉からは、和紙そのものへの思いが伝わりますね。
和紙職人に興味を持った人は、自分でも和紙について調べてみることで、伝統工芸の素晴らしさをあらためて感じられるかもしれません。谷野さんのWebサイトでも、和紙づくりについてさらに詳しく知ることができますよ。


【profile】和紙職人 谷野裕子
谷野さんのWebサイトはこちら

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「和紙職人」
はこんな仕事です

2014年、ユネスコ無形文化遺産に登録され、世界から注目を集める和紙。和紙職人は、日本古来の技法にのっとって和紙づくりを行う。楮(こうぞ)、三椏(みつまた)などの植物を原料とし、一枚ずつ伝統的な手漉きの技法でつくり出している。優美さと強靭さを備えた紙質は吸湿性にも優れており、障子や襖、書家用紙、封筒やランプシェードなど、幅広い用途に用いられている。この仕事に就くには、島根の「石州和紙」、岐阜の「美濃和紙」、ほかに全国各地に分布している産地で活動する職人に弟子入りし、技術を学ぶのが一般的だ。

「和紙職人」について詳しく見る