【シゴトを知ろう】レストア技術者 〜番外編〜
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「【シゴトを知ろう】レストア技術者 編_では、「有限会社 ボディショップ イケノウエ」を経営するレストア技術者・池ノ上健児さんに、その仕事内容や魅力を教えてもらいました。とても根気がいるものの、車が好きな人にはやりがいを感じられる仕事だということが分かりました。
今回は番外編として、この仕事ならではの「あるある」など、レストア技術者の仕事をより詳しく掘り下げてみます。
この記事をまとめると
- 道で「旧車」を見かけたら、車のオーナーに話しかけることもある
- 部品の手配や、現在では製造していない部品の作成に時間がかかる
- ポルシェ、カウンタックなど、世界的な名車を扱うときはワクワクする
仕事じゃないときに「旧車」を見かけると、道路に止まっている車でも必ず事細かにチェック
――レストア技術者の仕事ならではの、仕事上の「あるある」なことがあれば、教えてください。
初めて扱う種類の車のことは、まず自分でとにかく事細かに調べます。この車ができた経緯や、誰がどうやって作ったのか。また、どこがどうなっていて、この年式だとどうなのか、新しい年式のものはどうなっているのか。古い車には、そういう「車ができた経緯」が必ずあり、その理由を理解していないとレストアができないので、念入りに調べます。
また、休日に旧車(数十年以上前に製造された自動車)を見かけると、道路に止まっている車でも必ず見ますし、細かくチェックします。車のオーナーさんがいるときには話しかけることもあり、車のことに関していろいろ聞きますね。
――レストア技術者にまつわることで、意外と知られていない、知られざる事実やトリビアがあれば教えてください。
レストアをする上で大事なのは、作業者または依頼者それぞれに価値観の違いがあるので、それをあらかじめ共有することです。車に対する依頼者なりのこだわりや、レストアに至る経緯なども知った上で作業にかからなければいけないと考えています。単なる修理ではないということです。
早いもので1年、今まで一番長いもので5年かかった
――旧車をレストアするのには、どれくらいの期間がかかるのでしょうか。また、時間がかかる理由を教えてください。
早いもので1年、今まで一番長いもので5年かかりました。それは車の状態や構造がすべて違うからです。また現在では部品の製造が無いものの製作や、あっても海外から取り寄せなければならない部品の手配に時間がかかります。
――仕事に取り組む上で、日ごろから心掛けている体調管理の方法や気を遣っていることがあれば教えてください。
車のレストアでは溶接を行うのですが、ほこりや有害物質(シンナー等)を扱う仕事なので、マスクや手袋を使用しています。そういった健康への影響を注意しないと、有害物質は長い年月で体に影響を与えてしまいますから、十分気を付けているところですね。
世界的な名車のレストアを扱うときはワクワクする
――最後に、お仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
どこに行っても断られ、誰も直せないといわれた車の復元を手掛けたこと、また世界的にも希少な車の依頼を受けたことですね。ポルシェ、カウンタック、ランボルギーニなど、世界的な名車の部類を扱うときはこちらもワクワクします。台数的に世界で数台しかないものも多いです。
現在、ボディショップ イケノウエには、新しいレストア待ちの予約がなんと7年先まで入っているそうです。確かなレストア技術を持っている証拠だといえるのではないでしょうか。
昔の車に興味があったり、車を復元する仕事に興味が湧いた人は、ぜひレストアの奥深い世界を覗き込んでみてくださいね。
【profile】レストア技術者 池ノ上健児さん
【取材協力】有限会社 ボディショップ イケノウエ
http://www.jaa-bt.jp/reco/mb05/
この記事のテーマ
「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説
陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。
この記事で取り上げた
「レストア技術者」
はこんな仕事です
クラシックカーや生産中止となった自動車を修復し、元の状態に戻す仕事。車体、エンジン、足回り、内装、板金、塗装と、作業領域は幅広い。部品が生産中止となっていることも多く、場合によっては自身でオリジナルの部品づくりをすることがある。故障した自動車や廃車に近い状態の自動車の修復を手掛けるため、高度な技術が必要である。必須資格は特にないが、「自動車整備士」の資格が仕事に役立つだろう。先輩などの助言を受け入れるとともに、自身で新たな技術を開発していこうとする向上心も大切だ。
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