【シゴトを知ろう】スクール講師 編

資格取得だけではなく、趣味や日常に役立つ知識から専門スキルまで、スクールで学べる内容はさまざま。「教養を身に付けたい」「スキルアップして転職したい」など、通う人の目標をかなえるために知識やスキルを教えるのがスクール講師の仕事です。
今回は、新卒でIT系のスクールに入社し、講師兼広報担当として活躍中の花井瑞穂さんに、スクール講師の魅力やこの仕事に就いたきっかけなどについてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 「人生が変わった!」という声も。スキルアップに取り組む生徒さんと共に成長できる仕事
- 大学ではマスコミ学を専攻。就職活動時、ITの持つ伝達力、影響力に可能性を感じた
- 理解しているからといって伝えられるわけではない。アウトプット力向上には練習あるのみ
生徒の方々の前向きな目標をサポート!
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください
WebやIT業界のお仕事を目指している方やスキルアップをしたいと考えている方向けのスクールで、講師や広報業務を行っています。
弊社では、講師はただ教えるだけの存在ではありません。スクールのWebサイトの運営やマーケティングの現場に携わりながら、そのノウハウを生徒の方々にそのまま還元していこうと考えているので、ほとんどの講師がスクールや会社の運営に関わる業務を兼務しているんです。
私は主に、Webデザイナーやプログラマー、マーケティング担当者などの職種の方々を育成する授業を担当していますが、スキルを教えるだけではなく、進路相談などの受講生サポート業務も行っています。
<一日のスケジュール>
09:30 勤務開始
10:00 授業
12:00 休憩
13:00 受講生サポート
14:00 広報業務
16:30 マンツーマン授業
17:30 後輩指導、マーケティング分析など
19:30 終業、退社
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
生徒の方にはそれぞれ目標があるので、そこにたどり着けたという報告をいただけた時には大きなやりがいを感じますね。一番多いのはスキルを身に付けて転職をかなえたいと願う方々なので、それがかない、人生が変わったといった声を聞くとうれしいですし、この仕事をやっていてよかったと感じます。
以前、60代後半の男性が趣味で通われていたのですが、勉強していくうちにおもしろくなってきて、仕事にしたいと就職活動をされたんです。その結果見事に就職が決まり、60代後半からWebデザイナーとして働き始めたということがありました。
それまではWebとは全く関係のないお仕事をされていた方だったので、人生は何歳からでも新しく始められるんだと改めて感じさせられた出来事でしたね。70歳を超えた今でも、その方は仕事を続けておられます。
就職・転職はその方の人生を左右する一つの大きな転機なので、勉強して目標をかなえたいという前向きな人生の流れに関われることが、この仕事の大きな魅力だと思います。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
日々新しい技術が生まれて、Webサイトの作り方やトレンドなどが変わっていくので、それに合わせて教える内容も変化していかなくてはなりません。今、自分が持っている知識で十分だということは決してないので毎日が勉強ですし、先を見て自分自身がレベルアップしていかなくてはならないことが、この仕事の大変さの一つだと思います。
レベルアップするためには、情報収集や勉強会への参加は欠かせません。特に分かりにくいことは、社内で勉強会を開いて講師同士で教え合ったりもしていますね。これは、教えるだけではなく伝える力も養える大切な時間です。
講師になりたてのころは、自分がおもしろい内容だと思っていてもそれを伝える能力が足りず、生徒の方々になかなか分かってもらえなくてたくさん悩みました。一生懸命に伝えているつもりでも、結局受け手に理解してもらえないと何の意味もないので、評価につながらないんです。
自分に知識があるのが大前提で、そこからいかに生徒の方々に興味を持たせられるか、おもしろく伝えられるかがスクール講師の力量の差になると思っています。
好きなこと、やりたいことを追求したらスクール講師にたどり着いた
Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
大学でマスコミュニケーション学(*)を学んでいたので、初めはその業界を中心に就職活動をしていました。でも、活動していく中で、インターネットからもすごく影響を受けてきたことに気づいたんです。
実は高校時代からインターネットにとても興味があって、まだあまり普及していない時期から、いろんな方たちとコミュニケーションを取っていました。その事を思い出して、ITの仕事もこれから多くの人に影響を与えられるような仕事になるかもしれないと思ったんです。
就職活動でたくさんの職種にふれる中で、これから先、世の中の発展にもつながるITのスキルを提供できて、さまざまな目標を持った方々の人生を変えるきっかけを作ることができるスクール講師の仕事って素敵だなと強く感じたのが、この仕事に就いた大きなきっかけですね。
*マスコミュニケーション学:テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなど不特定多数の人に情報を発信するマスメディアやマスメディアを使った情報伝達に関わる事柄について学ぶ学問のこと。
Q5. 大学では何を学びましたか?
マスコミュニケーション学を専攻していたので、テレビやラジオ、出版、インターネットなどあらゆるメディアから情報を発信するための知識やスキルを学びました。この時得た知識は、広報も担当している今、とても役立っています。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代は人に何かを伝えたり、自分が作ったもので誰かが影響を受けることってすごいなと思っていたので、マスコミやメディアに興味がありました。「伝える」「影響を与えられるものを自らつくる」という意味では、高校時代の想いが今の仕事につながっています。
自分が興味のあることを人に伝えてみよう!
Q7. どういう人がスクール講師に向いていると思いますか?
探究心が強い人ですね。物事の背景にまで興味を持って追求できる講師の方が、生徒の方々におもしろく伝えることができますし、授業に厚みが出ます。それから、教えるという立場上、人を高めるためには自分自身も高めていく必要があるので、自己研さんができる人も向いていると思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
スクール講師を目指すなら、まずは何事も興味を持って調べ(インプット)、それを人に伝える(アウトプット)ことをしてみてください。理解していることがたくさんあったとしても、それをきちんと人に伝えることはすぐにはできません。
どうしたら上手に伝えられるか、興味がない方に興味を持ってもらえるかなどを考えながら人とコミュニケーションを取ることによって、アウトプット力がついて仕事にもつながりやすくなると思います。
高校時代から日常的にインプットとアウトプットをどちらも行うことを心掛けていれば、スクール講師だけではなくさまざまな職種に生かせると思うので、ぜひおすすめしたいですね。
「人に伝えたい」「影響を与えたい」、高校時代から抱いていた強い想いをスクール講師という形で実現した花井さん。生徒の方々に寄り添い、前向きな人生のターニングポイントに立ち会えることが何よりうれしいと語る姿は、とてもキラキラしていました。
スクール講師に興味のある人は、まずは自分が好きなことや詳しく知っていることを身近な家族や友人に伝えることからスタートしてみてはいかがでしょうか。頭で思っていることをどのようにしたらうまく伝えられるのか、それを意識することが自分の中の新しい能力を引き出してくれるかもしれませんよ。
【profile】インターネット・アカデミー インストラクター兼広報 花井瑞穂
インターネット・アカデミー https://www.internetacademy.jp/
この記事のテーマ
「教育」を解説
教育機関や子ども向けの施設で、教育指導に関わる仕事を目指します。小・中学校や高等学校の教員を目指す場合、大学や短期大学の教職課程で学ぶ必要がありますが、専門学校の中にも、提携する大学や短期大学の通信教育を受けて、教員免許状を取得できる学校もあります。語学教師や臨床心理士など希望する職種により、必要な資格や免許が異なります。
この記事で取り上げた
「スクール講師」
はこんな仕事です
市民講座やカルチャースクール、子どもの稽古ごとの教室などで、指導を行う仕事。個人で開業し、自宅で教室を開くケースもある。講師としての免許は不要。資格取得対策やビジネス、語学、教養、パソコン、スポーツ、音楽、料理、手芸やクラフトなどの各種ホビー、さまざまな分野における専門知識や技術を生かし、受講者に指導する。専門能力の高さが求められる一方で、指導者としての人間性も問われる。話術に優れ、受講者の立場に立って親身に指導できる人は、人気講師として親しまれる。
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