【シゴトを知ろう】芸者 編

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【シゴトを知ろう】芸者 編

2017.04.27

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】芸者 編

着物を粋に着こなし、お客さまに三味線や踊りなどの芸を見せて楽しませる芸者というお仕事。でも高校生にとっては「芸者さんってどんな仕事しているの?」「どうやってなれるの?」「普段はどんなことをしているの?」と疑問は尽きないでしょう。大井町花柳界の置屋(おきや)“一期や”に所属する小鶴さんに、そんな基本的な質問から芸者になるまでのいきさつまで、いろいろと伺いました。

この記事をまとめると

  • 芸者の仕事は、宴席を楽しく盛り上げる“おもてなしのプロフェッショナル”
  • 芸者としての身のこなしや所作などは、場に慣れながら身につけていくもの
  • 日本の古き良き文化を「芸者」という仕事を通じて後世に残していきたい

芸者とは、宴席の空気を楽しく和やかにする仕事

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
 
芸者というお仕事は、宴席などを楽しく盛り上げる、おもてなしのプロフェッショナルです。私は三味線が一番好きですが、芸者にはそれぞれ舞踊や太鼓、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおかわ)、笛などの鳴り物の得意分野があって、それをお客さまに披露して楽しんでいただきます。もちろんお酒を注いでお話をしたり、宴席の場の空気が和やかになるために心を配ったりと、宴席全体の流れを把握してさり気なく進行する役目も果たします。

私たち芸者は「置屋」と呼ばれる、芸能界でいう事務所のようなところに所属しています。宴席が行われる料亭から「見番(けんばん)」という置屋の取り仕切りをするところに連絡が入り、見番から各置屋に芸者の派遣依頼がきます。宴席の規模や目的などにより派遣される芸者が選ばれ、当日準備をしてお伺いするという流れです。この時にお馴染みさんから芸者の指名があれば、指名された宴席に優先的に行きますし、一つの置屋で芸者が足りない時は、別の置屋の芸者さんたちと一緒に座に赴くこともありますね。現在私が所属する大井町には置屋が3軒しかなく、見番自体がないので、料亭さんから、もしくはお客さまから直接置屋にご連絡が入り芸者派遣の依頼が来るようになっています。東京の六花街といわれる地域(東京では浅草や向島・神楽坂・新橋など)は由緒ある料亭や置屋、見番が今も健在です。

ご贔屓(ひいき)さんからのお声掛けで日本各地に赴くこともあります。私も金沢や尾道などに行ったことがありますし、人によっては海外に呼ばれることもあるみたいですね。日本文化への理解が進み、注目が集まっている昨今、海外出張などももっと増えるかもしれません。

芸者というと「決まった旦那に面倒を見てもらう」「身を売らなければいけないのでは……?」などと勘違いされることもありますが、これは大きな誤解。もともと芸者は「芸は売っても身は売らぬ」といってその心意気を買われている誇り高い職業です。私たちはこれからも懸命に磨いた芸を見ていただき、居心地のよい和やかな空間でお客さまに楽しんでいただくことに心を尽くしていきたいと思っています。

<一日のスケジュール>
10:00 長唄(*1)・義太夫(*2)・端唄・小唄・踊りなどのお稽古
12:00 髪結い
14:00 長唄・義太夫・端唄・小唄・踊りなどのお稽古 
17:00 お座敷の控室へ
18:00 お座敷 
20:30 お座敷がお開きになった後、お客さまと一緒に食事などに行くことも
22:00 帰宅後に三味線などのおさらい

*1 長唄(ながうた):三味線に合わせた唄・音曲
*2 義太夫(義太夫):浄瑠璃の一種で物語やセリフを三味線に合わせて語る音楽

「芸者は芸がなけりゃただの者」という亡き師匠の言葉を胸に

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

お客さまに「今日は本当に来てもらってよかった」と言ってもらえた時はやりがいを感じます。また、芸者になりたての頃から見守ってくださっているご贔屓さんに「三味線が上手になったね」などと褒められたりすると、続けていてよかったと心から思います。


Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?

私はあまり感じない方ですけど……やっぱり芸事のお稽古は好きじゃないと続かないと思います。芸者の華やかな部分だけに憧れて入って来てもお稽古が大変で挫折して辞めていく人も少なくないです。それと日本髪の鬘や季節ごとのお着物、お履き物、その他小物類など、先行投資が何かとかかりますので、その辺りも大変なところです。はじめは働いて返していくという感じです。

私に三味線のお稽古をつけて下さったのは、吉原最後の芸者 “四代目みな子姐さん”という方でした。そのお師匠さんがよく私に「芸者はね、芸を持たなきゃただの者だよ」と仰って、芸者は人にお見せできる芸を持ってこそ価値があるということを教えて下さいました。お稽古は厳しかったですけど、私は楽しくって仕方なかったですね。私がこの世界に入った時は三味線も素人だったので、撥(ばち)とお三味線の持ち方から全てを一から教えていただきました。みな子姐さんはもう天国のお座敷に行かれましたが、お姐さんにお稽古をつけてもらったことが、今でも私の自信につながっています。

友人の結婚式二次会で出会った芸者さんがきっかけに

Q4. どのようなきっかけ・経緯で芸者に就きましたか?

もともと歌や演技などを専門学校で学んでいましたが、20歳頃に津軽三味線を習ってみたいと思い、教えてくれる人を探していました。その頃、たまたま参加した友人の結婚式の二次会で今の置屋のお姐さんがいらして。「もし興味があるなら、一度遊びにいらっしゃい」とお声掛けいただき、そこからこの世界に飛び込みました。今考えてみますと、津軽三味線とお座敷で弾くお三味線は全然違いますし、「お着物が好き」「日本文化に興味がある」ということだけで入りましたので、なかなか度胸がありましたね(笑)。

「芸者には一体どんな人がなるんだろう……?」と疑問に思っている高校生の方もいると思いますが、昔と違い今は私のように普通の人でも芸事が好きで修行すれば芸者になれるんです。

Q5. 芸者に就くために学んだことはありますか?

芸者になるための言葉づかいや所作、芸事は、全てこの世界に入ってから学びました。まだ芸を見せられない修行中の半玉の時代も、お座敷の雰囲気を理解するために見習いとしてお座敷に出させてもらうこともあります。なので「学ぶ」というよりも、少しずつ場に慣れながら、お姐さんたちやお客さまに教えてもらいながら身につけていく世界です。


Q6. 高校生の時に抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

高校時代は海外に目が向いていました。外国のお友だちとの交流や海外に行って思い知らされたのは、自分の日本文化への不勉強さでした。旅先で日本の能や歌舞伎についていろいろと突っ込まれて質問されるのですが、全然答えられず恥ずかしい思いを何度もしました。その時に感じた日本の伝統文化の奥深さや、もっと自分も勉強をして残していかなければという思いが、この仕事につながっているのかもしれません。

「伝統文化」というと大袈裟かもしれませんが、私たち芸者衆が仕込まれた芸事はもちろんのこと、所作や心使いなど、お姐さんたちに口伝えで教えてもらった細々としたことは、確実に私の中に残っています。これは何事にも替えられない宝物、私の財産です。これをまた次の世代に伝えて残していかなければいけないと思っています。

相手の気持ちを察して、言われる前に提供する

Q7. どういう人が芸者に向いていると思いますか?

「想像力のある人」ですね。お客さまが望むことを、言われる前に提供するには察する力・想像する力が必要です。例えば、お客さまの「このところ飲み会が続いていて……」という言葉の中から「あまりお酒を注がない方がいいかな」とか、あまりお酒が進んでいないようならお水をお持ちしようかとか、何気ないことですが、相手に心地よく過ごしてもらうために、気持ちを推し量り臨機応変に対応する技量が求められる仕事です。ですからお客さまのことを一番に考えられる、やさしい人も向いていると思いますよ。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします

「一代きりの自分」という言葉が私は大好きで、自分という人間は自分一代だけ、だからこそ人生を大切に精一杯生きようと常日頃思っています。ですから高校生の皆さんには、諦めずに何にでも挑戦してほしいですね。失敗も「これがあったから今がある」と思える日が必ず来ますから。


お座敷が終わって家に帰った後も、三味線のおさらいは欠かさないという小鶴さん。そんな小鶴さんの胸にあるのは「芸がなけりゃただの者だ」という、芸者の心意気を示す三味線の師匠の言葉でした。華やかで煌びやかに思える芸者衆の仕事を支えているのは、見えないところで精進する厳しい芸事の稽古と、お客さまを思いやる細やかなやさしさ。なり手が減りつつあるという芸者のお仕事は、日本の文化継承の担い手としての大切な役割もありますね。


【profile】芸者 小鶴

この記事のテーマ
音楽・イベント」を解説

エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。

「音楽・イベント」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「舞妓・芸者」
はこんな仕事です

京都を中心とした花街の置屋(舞妓・芸者を育成・斡旋する店)に所属し、料亭や旅館などの宴席で舞踊やお囃子を披露する接客の仕事。舞妓とは、芸者(芸妓)になる前の見習い期間(中卒後から20歳前後)の呼称であり、関東では半玉(はんぎょく)という。伝統行事での大舞台もあり、華やかな衣装やたたずまいは国内外の観光客からも注目度が高い。近年は志願者が全国から集まる。修業期間にかかる諸費用は置屋が負担するため、舞妓時代の収入はご祝儀程度とされ、自由も限られることは知っておきたい。

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