日本の未来を支える医療のシゴト白書

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日本の未来を支える医療のシゴト白書

1. スペシャルインタビュー|臨床現場での学びを広く発信しがん患者の生活を支えたい。|国立がん研究センター東病院骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 言語聴覚士 飯野由恵

病気によって会話や食事ができなくなった人のリハビリを
サポートする言語聴覚士。最近は脳卒中患者だけでなく、
がん患者のケアでも大事な役割を果たすようになってきています。
国立がん研究センター東病院で働く飯野さんもそんな一人です。

がん患者に特化したリハビリを目指し
大学院で学び直し、再び現場へ。

私は言語聴覚士として、主に頭頸部がん、食道がんの患者さんの治療後に生じる飲み込みや話すことについて評価・リハビリを行っています。図解を使い飲み込みや話す際の下の使い方についての説明・飲み込み方や口や舌などの動かし方の指導・飲み込みの機能に合った食事の選択など、さまざまな方法でサポートします。
子どものころ、ぜん息で入院することが多かった私は、自然と「将来は医療関係の仕事に就きたい」と思うようになりました。そして高校時代に看護師の伯母から言語聴覚士という職業について教えてもらったことがきっかけで、この仕事を目指しました。
高校卒業後は大学の言語聴覚学科に進学しました。生理学(生物の器官の働きを研究する、生物学の一分野)・解剖学・心理学・失語症や嚥下(*1)障がいなどの専門分野について学び、4年生からは病院で臨床実習を行いました。授業はどれも楽しく、とても充実した4年間でした。
そして大学卒業後、茨城県にある急性期病院(*2)に就職し、食道がんの患者さんを受け持ったことが転機となります。大学のカリキュラムは脳卒中患者を対象にしたものが中心だったため、当時の私はがん患者に対するリハビリの知識をほとんど持っていませんでした。一般的なリハビリ指導は行ったものの、「もっとがん患者に特化したリハビリを組み立て、サポートすることができたのではないか」と思うようになったのです。
そこでがんという病気について深く学ぶため、ある大学のがんに特化した講習に通い始めました。そしてさらに治療のことを学んだ上で適切な介入方法を考えようと、大学院に入学。そこで頭頸部がん患者への化学放射線療法と嚥下障がい、音声障がいの関係について研究し、縁があって国立がん研究センター東病院で働かせていただくことになったのです。

(*1)嚥下(えんげ):食物を飲み下すこと
(*2)急性期病院:緊急・重症な患者を中心に、高度な医療を提供する病院のこと

術前から退院までチームで包括的にケア。
「食事ができた」の声に自分も元気になる。

現在私が働く国立がん研究センター東病院は、世界最高レベルのがん医療の提供を目指して設立された、国内でも有数のがん専門病院です。食道がんの手術ではより負担の少ない胸腔鏡下手術(*3)など患者さんのQOL(*4)を重視した治療を行い、手術前から退院後まで包括的にサポートするチームケアにも力を入れています。
私はこの病院のリハビリテーション科に所属して、頭頸部外科医や摂食嚥下看護認定看護師と共に口の動きや飲み込みなどについて検査し、その結果に基づいて一人ひとりに合ったリハビリを提供しています。また看護師、管理栄養士らと協力しながら、病棟内でのリハビリ・栄養状態の管理・食事形態の検討も行います。
私がこの仕事をしていて一番うれしいのは、患者さんが元気になって退院し、「食事ができた」「家族と話ができた」「職場に戻った」といった報告をもらったときです。そんな言葉をいただくと、こちらも元気が湧いてきます。
現在は手術後のケアが中心ですが、患者さんとより深い信頼関係を築くためにも、今後はなるべく手術前から介入していきたいと考えています。また、言語聴覚士によるがん患者へのケアはまだ手薄で、リハビリの質や知識量は地域や人によってばらつきがあります。この病院の臨床で得た知識をデータ化し、他の言語聴覚士と共有することも目標の一つです。また、頭頸部がんや食道がんの治療における嚥下機能の変化などについてもさらに研究を重ね、論文執筆や学会発表を通して情報発信していきたいですね。

(*3)胸腔鏡下手術(きょうくうきょうかしゅじゅつ):胸部に2cmほどの小さな傷をつけて行なう手術のこと。手術の傷が従来の方法と比較して小さいため、患者の負担が少ない。
(*4)QOL(クオリティ・オブ・ライフ)…個人の人生観や価値観を尊重した生活の質

飯野先生がリハビリにおいて心がけている5つのポイント

高校生へのメッセージ

いろいろな人と付き合い、本をたくさん読んで
コミュニケーション能力を磨いてほしい。

今、自分が望んでいる進路に進むのは難しいかもと思っている方もいると思います。勉強が大変な医療分野の仕事を考えている人だと、なおさら多いのではないでしょうか。でも、これから受験に挑戦する高校生の皆さんには、今現在の成績で簡単に夢を諦めず、思い切ってチャレンジしてみてほしいです。もし浪人することになっても、若いころの1年、2年は後からいくらでも取り戻せると思うので、まずはとことん突き詰めてみてください。
そして、アルバイトやボランティア、留学やホームステイなど、さまざまな経験を通して見聞を深めてほしいと思います。
特に医療職に就く人には、どんな人とも円滑にやり取りできる力が求められます。高校生のうちから幅広い世代の人々と交流し、コミュニケーション能力や聴く力を磨くことをお勧めします。また、医療の知識や技術を勉強するだけでなく、いろいろなジャンルの本をたくさん読んで幅広い知識を身に付けておきましょう。患者さんとの共通の話題につながったり、語彙力などもが増えるので、心に寄り添ったサポートを行う手助けになるはずです。

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