【シゴトを知ろう】映画字幕翻訳 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】映画字幕翻訳 ~番外編~

2017.04.06

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】映画字幕翻訳 ~番外編~

フリーランスで映画やゲーム、Web動画などの字幕翻訳の仕事をされている中林ももさん。最近増えている日英翻訳の仕事の意外な裏話や中林さんの考える"いい翻訳"についてお話を伺いました。知っておきたい翻訳のルールもご紹介していますので、翻訳家を目指している人は必読です!

この記事をまとめると

  • 字幕翻訳の仕事が増えたのは、違法にアップロードされた○○がきっかけ
  • 目指すは「透明な訳」。映像とストーリーがきちんと伝わらなければいい翻訳とはいえない
  • 言葉だけではなく文化も翻訳! 作品の背景を的確に伝えることが求められる

翻訳チェックの仕事を依頼されたら一人前!?

――字幕翻訳の仕事は多いのでしょうか?

正直なところ、字幕翻訳だけで食べていくのは至難の業です。字幕翻訳の仕事が常にあるわけではないので、書籍やWebなどの翻訳の仕事もたくさんしています。

実は、字幕文化は海外では一般的ではありませんでした。英語の作品が多いため、英語圏の人には字幕が必要とされないのはある意味当然のことです。でも最近、日英翻訳の仕事が増えてきているんです。その背景には、違法アップロードされたアニメの存在があります。
日本のアニメに興味を持つ海外の人たちに向けて、勝手に映像に字幕をつけて違法にアップロードしているケースがあり、皮肉なことにそれによって日本のアニメが海外からより広く注目されるようになりました。でも、違法アップロードは著作権を侵害する行為ですので、そうではなく合法的に海外の人たちに作品を楽しんでもらうための動きが出てきています。そのため、英語字幕が求められるようになってきているのです。


――字幕翻訳は長く続けられる仕事でしょうか?

長く続けるためには、質の高い仕事を維持することが大切です。翻訳をしていると、自分の実力を客観的に評価できるようになるので、実力不足と感じた人は3年もしたら辞めてしまいますね。続けるためにはたくさんの努力が必要です。

私は翻訳家として8年ほど活動していますが、一人前になったと感じたのは5年くらいしてからです。翻訳は基本的に、誰かが翻訳したものを別の翻訳者がチェックして、さらにネイティブの人が確認するというステップを踏みますが、他の翻訳者の訳を直してくださいという仕事の依頼がきてようやく一人前になれたと思いました。

作品のエッセンスを伝える。いい翻訳はバランスが秀逸

「調べ物をするのは大変だけど、好きだから楽しめます」

「調べ物をするのは大変だけど、好きだから楽しめます」

――字幕翻訳の仕事を続けるためにどんな努力をされていますか?

映画をたくさん見ています。カナダの大学に留学していた時は、映画の料金が安いこともあって1年間に100本は見ていましたが、字幕翻訳の仕事をしている今はそれ以上見ていますね。
日本語の映画でも、何本も見ると次のシーンでどんなせりふが出てくるか何となく予想ができるようになると思いますが、それが英語で浮かぶようになるんです。邦画であれば日本語を聞きながら英語で考える、洋画なら英語を聞きながら日本語で考えるというように、常に頭の中では2カ国語がぐるぐる回っている状態ですね。原作があれば原作も読んで、作品を深く理解するようにしています。


――中林さんにとって、いい翻訳とはどんなものなのでしょうか?

訳が透明であることが一番です。映像作品の字幕においては、まずは映像とそのストーリーがきちんと見ている人に伝わることが大事です。「いい翻訳だったよ」と言われるのはうれしいことではあるのですが、実はそれって褒め言葉ではないんですよ(笑)。
「翻訳がよかった」というのは、翻訳した言葉が目立ってしまっていることの裏返しです。自然すぎて「いい翻訳だったかどうか気づかない」レベルまでもっていかないと、本当にいい翻訳とはいえないと思います。翻訳の感想ではなく、作品の感想を言ってもらえるのが一番ですね。


――ほかの人の翻訳は気になりますか?

気になります。私には思いつかないような翻訳を見ると「なるほど!」と思います。ただ、この訳は違うなと思うこともありますので、純粋に映画を楽しめないことが辛いところですね。これはもう職業病です(笑)。

うまい翻訳者さんは、ニュアンスを伝えればいい部分と、はっきり表現した方がいい部分の使い分けが上手なんです。伝えるためにはある程度かみ砕く必要がありますが、そしゃくし過ぎると見ている人の解釈に任せる部分が限定されてしまうため、作品のおもしろさを損ねてしまいます。字幕翻訳がうまい人はそのバランスが見事です。

辞書に載っていない言葉がたくさんある! 知っておきたい翻訳のルール

――字幕翻訳で難しいと感じるのはどんなところですか?

訳に困ることはしょっちゅうあります。例えば、中高生向けラブストーリー映画の日英翻訳で随所に「告白」という単語が出てきたのですが、実は英語には、「愛の告白」を意味する単語がないんです。「愛していることを伝える」という訳にしてもいいのですが、「告白」という単語そのものがキーワードになっている場合は、言葉の置き換えをすると逆効果になってしまいかねません。
また、「17時に退社」というのは欧米企業では特に違和感がないのですが、日本では残業が当たり前なので「早い!」と思われてしまいます。そうすると、本当に伝えたいところがずれてしまうため、「定時退社」に言葉を置き換えるといったテクニックがあります。


――翻訳業界に入って驚いたことはありますか?

辞書にはない言葉がたくさんあるということですね。俗語や造語だけではなく、難しい言葉も出てくるので、そういう言葉の訳語を探すのはとても大変です。
例えば、動植物の学名はラテン語なのですが、対応する和名がないこともあります。また、和名があってもなじみがないときは、文脈によってはより平易な言葉に置き換えたりもします。こうしたケースでは、SNSを利用して詳しい人から情報を集めたり、図鑑や論文などの文献を調べて適切な訳語を見つけています。

報酬が「1字当たり○円」ということにもびっくりしましたね。
また、知っておくべきルールがいろいろとあって、例えばミステリー作品だと、犯人を示す言葉は "they" と複数形にするのが一般的なんです。このようなルールは明文化されていないので、本をたくさん読んでそういうものだと知っておく必要があります。
あとは、聖書に関連する言葉が頻繁に出てくるので、字幕翻訳を目指す人は、とりあえず聖書は読んでおくといいと思います(笑)。


「透明な訳」というのは、実に分かりやすくておもしろい表現ですね。学校で教わることはできない、辞書を引いても分からない、そんな隠されたルールをたくさんの作品に触れることで吸収し、いかに自然な訳につなげるかを模索する、そんな日々の苦労が目に見えるようです。
映画が好きで字幕翻訳に興味のある人は、まずはいろいろな作品を観て、自分なりに字幕の翻訳をしてみてはいかがでしょうか。


【profile】翻訳者 中林もも

この記事のテーマ
語学・国際」を解説

外国語を自在に使い、コミュニケーションを図る表現力を実践的に学びます。国際情勢などの知識、情報を収集する好奇心、語学力向上の努力が常に求められます。資格取得を目指すカリキュラムもあります。将来の仕事としては、日本語と外国語を翻訳・通訳することで双方の意志疎通の手伝いをするなど、海外との橋渡しをする職業が考えられます。

「語学・国際」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「映画字幕翻訳」
はこんな仕事です

洋画の外国語のせりふを翻訳する職業。せりふの内容を正確に伝えるとともに、映画のテーマに沿って登場人物のキャラクターに合わせた翻訳内容にすることが重要。国内外で流行している俗語、くだけた言い回し、ジョークも訳さなければならない。数秒単位で転換する場面、限られた文字数、そのなかで端的に伝わる生きた表現力が求められる。画面表示される日本語字幕だけでなく吹替え版のシナリオをつくる仕事も。洋画専門の有名翻訳者もいるが、映像翻訳家として海外ドラマやアニメ、ドキュメンタリーなどを手掛ける人も多い。

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