攻撃しないで相手を倒す? 合気道って何?
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攻撃技が存在せず、「気」をもって相手の力を制する武道、「合気道」。ほかの武道とは大きく異なる、合気道の歴史や特徴についてご紹介します。
この記事をまとめると
- 攻撃技が存在しない武道「合気道」は、体と心の鍛錬を主な目的とした武道
- こちらからは攻撃しないが、「気を持って相手を制する」ことを目的としている
- 体を動かすことを通じて、心身を育てる方法を考える「体育学」
「攻撃をしない」武道があるって知ってる?
学校の部活で柔道や剣道、空手をやっている人は大勢いると思います。また、クラスで格闘技好きな男子生徒が集まれば、「一番強い格闘技はなんだ!?」なんて議論が起こったりしませんか?
しかし、格闘技や武道は数あれど、「攻撃しない」武道というものがあります。それが合気道です。でも、攻撃のない武道とは、どういったものなんでしょうか?
合気道の発祥は、大正末期から昭和前期に遡ります。武道家である植芝盛平が日本各地のさまざまな柔術・剣術などを研究し、独自の精神哲学をもとに創り上げたのが、合気道です。その一番の特徴は、古流武術から伝わる「気」。気をもって相手の力を制することが基本です。その目的は、戦うことや、強くなることではなく、心と体を鍛えることであり、強さを競って優劣をつけるための試合がないのが特徴です。
体格のいい若者が、老人に触れられることもなく投げられてしまうことも?
試合のない合気道の稽古では、受け身や「形(かた)」などの練習に時間をかけます。武道の形とは、決まった技や動作の動きを理解し、体に染み込ませていく反復練習の一つのことです。技の源とされている「呼吸力」や、相手の気を読み、合わせていく「合気」などを会得すること、同時に合理的な体の使い方を身に着けることにより、力で争うことなく、相手を無力化するのが合気道なのです。
でも攻撃をしないと相手に一方的にやられてしまうのでは? と思う人もいるかもしれません。しかし、その心配は無用です。実際に合気道の形では、体格のいい若者が老人に触れられることもなく1回転して制されているシーンを見ることができます。自らの気と相手の気を読みあい、攻撃してきた相手の力を利用し、捌き、技を返すことで、相手を投げ飛ばしたり抑え込むことができてしまうのです。
体を動かすことを通じて、人の心身を鍛えていく「体育学」
合気道の道場には男女問わず、さまざまな年齢の人々が集まり、互いに切磋琢磨しています。技の稽古で心身を鍛錬し、「気」を通して自分以外の巨大なものとつながっていくことで、精神面を鍛えていく武道なのです。
そうした体を使った運動を通じて、人間の教育を考える学問のことを体育学といいます。合気道に限らず、体を動かすことを通じて、心身を高めることを目的とする日本の武道を体育学の視点から研究することは、とても意義深いことではないでしょうか。
この記事のテーマ
「体育・健康・スポーツ」を解説
病気やけがの予防、治療後のケアを通して、人々が健やかに暮らせるようにするのが健康学の考え方です。食生活や運動、心理状態、検査やリハビリテーションなど、学ぶ内容は多岐にわたります。体育やスポーツは、健康維持の身近な方法を学ぶとともに、競技技術の向上、メンタルや栄養、指導者としてのスキルも学びます。
この記事で取り上げた
「スポーツ学」
はこんな学問です
スポーツが身体にもたらす影響を中心に、コーチング理論やスポーツを取り巻く環境まで科学的に考察、研究する学問。身体活動との関わりについては、医学、生理学、栄養学など、さまざまな観点から科学的に研究する。コーチングの理論や手法については、心理学など関連諸学も交えて学習。スポーツ環境については、施設経営などのマネジメントやマーケティング論も学ぶ。競技指導者の育成については専門のコースを設置している場合もある。
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