懲役14万1,078年!? 実際に判決された世界の刑期

犯罪を裁くための懲役刑の長さは、その国ごとの法律に準じて決定されます。日本では考えられませんが、海外ではとんでもなく長い懲役刑が言い渡されることもしばしば。一体、どのぐらい長い刑期が言い渡された犯罪者がいるのでしょうか。
この記事をまとめると
- 海外では懲役刑がとんでもなく長いことがある
- 刑期が長くなるのは複数の犯罪も一つずつカウントしているから
- 日本は「有期刑」が定められている
ギネス記録に載っている、「最も長い懲役刑」とは?
1981年、アメリカで妻や妻の母親を射殺した男性が逮捕されました。このとき言い渡されたのが、「懲役1万年」。これは当時のギネスブックに「最長の懲役刑」として登録されました。
2004年、スペインで列車を爆破するテロが起こりました。2,000人以上が負傷、191人が亡くなる惨事となり、主犯格の男らには「懲役4万年」の有罪判決が言い渡されました。
そして現在の「世界でもっとも長い懲役刑」は「14万1,078年」。1989年、約1万6,000人から計2億400万ドルを騙し取ったタイの男性に言い渡された判決です。
なぜ外国の刑期はこんなに長くなるのか?
外国の法律では刑の長さを決める場合、「一つひとつの罪を加算していく」という方法を取ります。ここが日本の法律と違う点ですね。どういうことかというと、1人の被害者やあるいは複数人に対して、行った犯罪が一つではないケースが存在します。その場合、犯した罪を一つずつ積み重ねてカウントして刑期が判決されるわけです。
例えば、1972年にスペインで「約4万通の手紙を配達しなかった」ことから郵便配達員の男性が逮捕された事件がありました。このとき、「手紙1通につき刑期を9年」としてカウントされ、求刑はなんと「38万4,912年」。最終的には7,109年の懲役刑となったようですが、いずれにせよ、長いことには変わりないですよね。
日本の「有期懲役」は最大で30年以下
では、日本で非常に長い期間の懲役刑が科せられないのはなぜなのでしょうか? これには、日本で施行されている刑法で「有期懲役は最大で30年以下(法定加重した場合)」と定められているからです。ですから、普段目にする国内のニュースでは30年以下の判決を見たことがないはずです。
ちなみに「無期懲役」とは、「有期懲役」より重いもので、「受刑者の刑期に終わりがない(一生の間、刑が続く)」ことを意味します。
こうした法律があるので、日本の裁判官は諸外国のように途方もない期間の有期懲役の判決を下すことはできないのでした。
法律一つとっても、国によって大きく変わるもの。法律関係の仕事を志していたら、日本だけではなくいろいろな国々の法律を調べてみると勉強になりそうですね。
参考文献:日本博学倶楽部『雑学大学(愛蔵版)』(PHP研究所)
この記事のテーマ
「法律・政治」を解説
国家は通常、多数の国民によって構成されています。それぞれ考え方が異なる国民をひとつの国家としてまとめようと考えれば、法律によって義務や権利を定め、政治(行政)によってそれらをきちんと運用していくことが必要になります。歴史上、多くの国家がこうしたことを目指し、あるものは成功してあるものは失敗してきました。どのようなときにあっても、道しるべとなるべき法曹家や政治家や評論家などの専門職は不可欠です。
この記事で取り上げた
「法学」
はこんな学問です
法学の研究領域は広い。憲法、民法、刑法に刑事・民事の両訴訟法と商法(大部分は会社法に移行)を合わせて六法と呼ぶが、これらは重要な法律のごく一部にすぎない。法学では、限りなく追加されていく法律を覚えるのではなく、それらの法律が生み出される原理と法律を活用して社会問題を解決するための思考法を学ぶ。また、法律は時代や社会制度とも密接に関係しており、社会問題についての最新情報も常にアップデートしておく必要がある。
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