登山家の人ってどうやってお金を稼いでるの?

この記事をまとめると
- 8000m級の山に登るには、大金が必要
- 登山家は、山を下りれば「営業マン」
- 挑戦を応援することが、企業のイメージアップに
世界一の山の前にそびえる“大きな山”
「地球上で一番宇宙に近づける場所」――そう言われているのが、世界で一番高い山・エベレストです。高度8000m超えの頂上、その一面真っ白の山脈やモクモクとした雲海が眼下に広がる神秘的な絶景は、まるで宇宙にいるかのようです。同時にそこは、酸素や気圧が平地のわずか3分の1、気温マイナス30度以下という場所。もはや人間が生きられる環境ではありません。
そんな山に魅せられて、命の危険と隣り合わせで挑戦するのが登山家たちです。過酷な環境を歩き通すためにトレーニングや装備を十分にして挑みますが、高い山になればなるほど立ちはだかるのは、ばく大な費用。山に登る前に越えなければならない大きな山が、費用の問題なのです。
世界最高峰、登山費用は宇宙旅行並み!?
世界最高峰エベレストに登るには、まずネパール政府に入山料を支払わなければなりません。その額なんと、1人約120万円! そのほか現地までの交通費、食費、装備費、さらにはシェルパと呼ばれる案内人などサポートスタッフの人件費が必要です。これらを必要最低限に抑えても、数百万円はかかると言われています。出発前のトレーニング費用などを含めると1千万円を超えることも!
登山家には、講演活動やアウトドアメーカーのアドバイザーなどの仕事を持つ人も多いですが、とても個人でポンっと出せる額ではありません。
「挑戦」を応援する企業たち
こうした登山家を支えているのが、スポンサー。お金やウエア、装備などを提供して登山家の活動をサポートする企業のことです。登山家の三浦雄一郎さんは、2013年に世界最高齢の80歳でエベレスト登頂を果たしましたが、登頂成功には「億単位」という宇宙旅行並みの費用が必要でした。そのため、自ら企業に足を運んでスポンサーを集めたそうです。
また20代で6大陸の最高峰に登頂し、エベレストへの挑戦を続けている登山家の栗城史多さんは、自らの登山を「冒険の共有」と銘打ち、登山の様子をインターネットで生中継して、世界に発信しています。ただ、中継にかかる通信費は1回の登山だけで億単位もの資金が必要といわれています。栗城さんも、企業に企画書を持って営業して回り、共感し応援してくれるスポンサーを得るために奔走したとか。
こうした登山家の姿は、まさに「営業マン」そのもの。彼らは、登山計画を企画書のように作成して企業をまわり、応援してくれるスポンサーを自ら探して売り込んでいるのです。企業にとっては、登山家たちの挑戦や冒険を応援することは、イメージアップにつながります。多くの人に夢を届ける姿は、「この人が使っているものなら良さそう!」というプラスのイメージを消費者に伝えることができるので、積極的に支援をする企業も少なくありません。
登山家としてやっていくには、登山の知識やトレーニングに加えて、自分を売り込む力も必要なんですね。まずは有名な登山家にどんなスポンサーがついているのか、注目してみるといいかもしれません。
この記事のテーマ
「環境・自然・バイオ」を解説
エネルギーや環境問題の解決など、自然や環境の調査・研究を通じて、人の未来や暮らしをサポートする仕事です。また自然ガイドなど、海や山の素晴らしさを多くの人に伝える仕事もあります。高い専門性を必要とする仕事なので、職業に応じて専門知識や技術を学び、資格取得や検定合格をめざす必要があります。
この記事で取り上げた
「登山家」
はこんな仕事です
山に登ることを仕事とする人のこと。特に高度な技術を必要とする登山をする人を指すが、登山することのみで収入を得られることは少なく、関連する活動や仕事を並行して行うことで収入を得ているケースが多い。例えば「山岳インストラクター」として一般登山者への指導を行ったり、書籍を出版したり、関連する製品の広告塔としてスポンサー収入を得るなどが例として挙げられる。数千メートルの高さの山に登ることも多く、早くから山岳部などに所属して経験を積み、体力と精神力を養っておかなければいけない仕事である。