盲導犬、一体どんな訓練をしたらなれるの?

この記事をまとめると
- さまざまな分野で人間をサポートする犬、その代表的存在が盲導犬
- 一人前の盲導犬になるためには、厳しい訓練とテストが待ち受けている
- 犬好きでコミュ力と根気がある人は訓練士に向いているかも!
あなたは知ってる? 盲導犬と訓練士のトレーニング
みなさんは犬を飼っていますか? なかには、家に帰って愛犬の顔を見れば、その日あった嫌なことを忘れられるという人もいるかもしれません。
数ある動物の中でも、犬と人間の関わりは深く、一説によると、1万5000年も前から犬は人間と共に生活し、狩りなどをサポートしていたといわれます。
現代でも犬が人間を助けてくれるシーンは多々ありますが、盲動犬はその代表的な存在ともいえるでしょう。今回は、そんな盲導犬が一人前になるまでのトレーニング過程と、信頼と愛情をもって犬たちを育てる盲導犬訓練士についてご紹介します。
こんなに大変! 一人前の盲導犬になるまでの道のり
盲導犬への適性は多くが遺伝で決まります。候補として見込まれた子犬は、まず生後2か月でパピーウォーカー(盲導犬候補の子犬を預かるボランティア)の元に預けられます。子犬は彼らと共に生活しながら人間社会について学び、約10か月後に別れて、訓練士と共に本格的な訓練に入ります。
そこで最初に行われるのが「待て」、「伏せ」、「お座り」などの指示をスムーズに聞くための“基本訓練”。この訓練で重要なのは、犬にとっての「楽しさ」です。イヤイヤ覚えるのが身に付きづらいのは犬も人間も同じ。訓練士は楽しいトレーニングを通じて犬のやる気を引き出し、信頼関係を築きます。
次に行われるのが“誘導訓練”。目の不自由な人に段差や信号の存在を教える、障害物をよける、道の左側を歩くといった盲導犬としての基本動作を覚えます。この訓練は重要なので6〜8か月間みっちり行われます。これをクリアした犬は、訓練士と外に出て、実際に街中を誘導するテストを受けます。
誘導テストをパスした後は、目の不自由な人と4週間一緒に生活する“共同訓練”を行います。そして最後に待っているのが“歩行試験”。犬は誰の助けも借りずに、1匹で街中を歩き、目的地までたどり着かなければなりません。
そして、見事合格した犬だけが晴れて盲導犬としてデビュー。目の不自由な人のパートナーとなってサポートする生活を送り、10歳(人間で言うと60歳くらい)になると引退します。
盲導犬訓練士に向いている人ってどんな人?
こうした盲導犬の育成を支えるのが盲導犬訓練士の存在。訓練士は全国にある盲導犬育成団体に所属して仕事を行います。
盲導犬訓練士は、そこからさらに「盲導犬歩行指導員」になるために勉強と経験を積みます。盲導犬歩行指導員は、目が見えない方に盲導犬との歩き方を指導する先生のような存在。目の病気に対する知識や、目の不自由な人の心理など、医学的な知識も必要になります。盲導犬歩行指導員は犬と人、両方とうまくコミュニケーションをとらなければならないのです。
また、訓練士にはコツコツと地道に訓練を積み重ねる根気も必要です。犬は人間の言葉がわからないので、失敗しても次に成功するまで気長に付き合わなければなりません。そうして一つ一つ壁を乗り越え、育てた犬が一人前の盲導犬になったとき、やっと訓練士としてのやりがいと喜びを見つけられるのです。
犬が好きということに加えて、人とコミュニケーションをとるのが好き、根気があるという人は、盲導犬訓練士に向いているかもしれませんね。
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
生き物を取り扱う仕事には、動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野や、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。また盲導犬や警察犬などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。この仕事をめざすには、動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、希望する職種に必要な技術修得が必要です。
この記事で取り上げた
「盲導犬訓練士」
はこんな仕事です
犬を訓練して、目の不自由な人の歩行を助ける盲導犬を養成するのが盲導犬訓練士である。訓練士の仕事は、盲導犬に向いている落ち着きがあり安定した性格の犬を選ぶことから始まる。次に言葉や歩き方、トイレへの行き方などを訓練する。さらに盲導犬歩行指導員の資格を持った訓練士が、目の不自由な人に対して、犬と一緒に歩けるように歩行指導を行う。訓練士は、目の不自由な人と盲導犬の出会いと人生の重要な局面をサポートし、のちのちまで見守り続ける責任を担う。