【シゴトを知ろう】証券外務員 ~番外編~
証券会社などに勤め、有価証券や金融商品の取引業務を行う証券外務員。お客様の悩みやライフプランに合った提案が求められるため、専門知識や日々の情報収集が欠かせません。勉強が大変そうなイメージもあるお仕事ですが、実際はどうなのでしょうか。大手の証券会社である野村證券株式会社(以下野村證券)で働く益田大輔さんにお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 勉強することは多いが、その分成長を実感できる
- 車移動が多いため地域のお店情報に詳しくなる
- お客様とは仕事の話より雑談や趣味の話をしている時間の方が長い
仕事に対する価値観を変えた上司からの一言
――お仕事をされて、事前のイメージとのギャップはありましたか?
証券会社で働く人にとって、証券外務員の資格は必須といえるもの。野村證券でも、入社したらまず全員がこの証券外務員の資格を取得します。そのほか毎年の税制改正や、業務によってはファイナンシャルプランナーや証券アナリストといった資格など、勉強しなければいけないことは思っていた以上に多かったですね。
ただ弊社の場合、資格取得のためのカリキュラムが業務時間内にきちんと組み込まれています。会社のサポート体制がしっかりしていたので、勉強もさほど苦になりませんでした。入社早々から企業の経営者の方と1対1でお話してたくさんのことを学びますし、そうすると「お客様の役に立ちたい」と勉強にも身が入ります。大変ではありましたが、自分がすごいスピードで成長していくことを実感できました。
――仕事において転機になった出来事は?
まだ入社1~2年目の頃、ある法人のお客様から資産運用についてのご相談を受けました。足繁く訪問していろいろな話をしていたのですが、上司である当時の次長が何度も同行してくれたんです。そしてある時、そのお客様から大口の注文をいただきました。入社して初めての大きな取引に私は有頂天になり、日頃厳しい上司も「頑張った、よくやった」と手放しで褒めてくれると思っていました。でも上司は得意げな顔をしている私に一言、「親に感謝しなさい」と言ったんです。「経験も地位もある経営者の方が入社数年の新人の話を何度も聞いてくれ、財産を預けてくれた。それは決して自分の力ではなく、教育してくれた親のおかげだ」と。その言葉に鳥肌が立つほどの衝撃を受け、仕事に対する価値観が大きく変わりました。
休日でも気になる会社はついチェックしてしまう
――一般の人が知らないような業界用語はありますか?
これは野村證券だけかもしれませんが、注文のことを「ペロ」と呼びます。株や債券の注文を受けた時に「ペロを切る」「ペロを出す」などと言いますね。由来は「注文伝票をペロッとめくる動作から」などと言われています。
――お仕事に関わる「あるある」エピソードがあれば教えてください
車での移動が多いため周辺のお店情報に詳しくなりました。おいしそうな飲食店などは「今度の休日に行ってみよう」とチェックしています。
また週末は家族で出かけることが多いのですが、外出先でそれまで知らなかった会社を見かけると「どんな会社だろう」「社長さんにお会いしてみたいな」と気になります。時には子どもと遊ぶのもそっちのけでその会社について調べ始めてしまい、家族に叱られています(笑)。
コミュニケーションで心の距離を縮め、お客様との信頼関係を築く
――仕事で失敗した時の気持ちの切り替え方は?
そもそも野村證券には失敗に寛容な社風があります。ミスをしたらダメという減点主義ではなく、良い仕事をしたら評価する加点主義なんです。最も良くないとされるのが「挑戦をしないから失敗もない」という状態。「失敗を恐れずにチャレンジすることが大切」という考えがベースにあるため、些細な失敗でクヨクヨ思い悩むことはありません。
――仕事のために普段から心がけていることはありますか?
できるだけ本を読むようにしています。お客様との面談ではもちろん仕事の話もしますが、実はそれよりも雑談や趣味の話をしている時間の方が断然長いんです。ゴルフや野球の話で盛り上がり、1時間半の面談のうち仕事の話は10分くらい、ということもよくあります。仕事の話ばかりを長々としていてはお客様も退屈でしょうし、お互いの距離も遠いままです。仕事以外の話でコミュニケーションをとり、信頼関係を築くからこそ、距離感が縮まってお客様も本音で悩みを話してくださるのです。幅広い話題作りのためにも、仕事に関わる本だけでなく小説や雑誌なども多く読んでいます。
――お客様との信頼関係が大切なのですね
どれだけ話術に長けていても、商品や提案の内容がよくても、私たちの仕事はお客様との信頼関係なしには成り立ちません。何かご提案をする時も、堅苦しい雰囲気ではお客様もきっと気構えてしまいますよね。ですから説明の際には対面ではなく、隣に座らせていただくこともあるんです。例えるなら家族や親戚に接するような気持ちで、お客様にとってより良い提案をお伝えするようにしています。
業務に必要な知識は入社してから学んだという益田さん。勉強の大変さよりも、自身の成長を実感できる喜びの方が大きかったそうです。資格取得をバックアップしてくれる会社の体制が整っているのも心強いですね。一方お客様との面談の中では、仕事以外の話題から距離感が近くなることも多いよう。証券外務員の仕事に興味があるなら、まず本や新聞を読む習慣をつけ、知見を広げるところからスタートしてもよさそうですね。
【profile】野村證券株式会社 川口支店 ファイナンシャル・コンサルティング課 課長代理 益田大輔
http://www.nomura.co.jp/
この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
法律などの専門知識を学び、文書作成などの技能を磨くほか、資格取得や検定合格を目指すカリキュラムもあります。小売業や不動産売買、経営コンサルタントや税理士など、各ビジネス分野におけるスペシャリストも育成します。国家試験の合格が求められる高度な資格を必要とする仕事もありますが、専門学校の中には受験指導に実績を誇る学校もあります。
この記事で取り上げた
「証券外務員」
はこんな仕事です
株券などの有価証券、金融商品を販売する職種。正式には、日本証券業協会が定める証券外務員という名の資格取得者。試験に合格後、外務員登録を行い、初めて仕事をすることができる。勤め先としては証券会社や銀行が挙げられる。取り扱う金額は大きく、営業職としては特に高い専門性が求められる。国内外の相場、年々多様化する金融商品について絶えず最新知識を把握し、常に好機を捉えて顧客が利益を獲得できるような販売活動を展開できれば、仕事の機会や収入が増えていく。
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