【シゴトを知ろう】装蹄師(そうていし) 〜番外編〜

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【シゴトを知ろう】装蹄師(そうていし) 〜番外編〜

2017.02.16

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】装蹄師(そうていし) 〜番外編〜

装蹄師(そうていし)の仕事は一言で言えば、“馬の蹄鉄(ていてつ)をはめる仕事”。しかしその一見シンプルな作業のなかに、職人ならではの工夫と醍醐味が数多く隠されています。修行を経て独立までこぎつける装蹄師は半分以下という厳しい世界のなかで、日々精進を続ける装蹄師の猪股さんに、そのリアルでシビアな職人のお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 装蹄を嫌がる神経質な馬は早く静かに作業を終わらせることが大事
  • 人間の足の形に見立てて蹄鉄の形を整えることも
  • 爪を切るカマなど、使う道具の質が仕事を左右する

馬の脚への負担を軽減させることが装蹄のテーマ

――動物を相手にする仕事は大変ですか?

僕は馬が好きなので、全然苦ではありません。装蹄の仕事がなくても時間があれば厩舎に足を運んで、歩き方の癖を見たり、脚の調子が悪い馬の経過を観察しているくらいです。「次は外側の爪をもっと切った方がいいかな」……など、生き物を相手にするだけに“これでよし”ということがありませんね。

馬が走っているコースは、テレビなどで見ると平らに見えますが、実はかなりデコボコしていて馬の脚にはかなりの負担がかかっています。高い馬だと1億円くらいの価値があるので、「ケガをさせないように」「脚の負担を軽減できるように」というのは常に装蹄師のテーマです。逆に考えると、そんな場所をあんな速度で何度走っても平気なんですから、馬というのは丈夫な生き物だとも言えますけどね。

大変という意味では装蹄を嫌がる馬の時は工夫はします。桜花賞などで優勝したこともあるアパパネという牝馬がいましたが、この馬は非常に神経質で装蹄の時もよく暴れる馬でね。どちらかというと牝の方がデリケートなので、装蹄を嫌がる馬の時は、ハンマーもヤスリも静かに当てるようにして、作業をなるべく早く終わらせてストレスをかけないようにしています。


――指導者(親方)のところに修行に入らないと装蹄師にはなれないのですか?

講習会で学ぶことは基礎中の基礎なので、指導者(親方)の元で修行して実践で学ばないと資格取得も難しいと思います。親方に教えてもらうことは本当に多いですし、独立した後も仕事を紹介してもらったりとずっとお世話になるので、修行をした方がプラス面が多いと思いますよ。僕の親方は注意深くて細かいタイプの人だったので、仕事もしっかり教えてもらえましたし、装蹄中大きなケガをすることなくここまで来られたので感謝しています。

この美浦トレーニングセンターに一緒に入った同期は5人いましたが、指導級の資格まで取って独立したのは僕ともう1人だけ。修行も大変ですし仕事もシビアですから、辞めていく人も少なくありません。でも自分の腕1本で食べていくことは仕事としてやりがいもあるし、競馬界を裏で支えているという楽しさもあります。独立するとお給料も結構いいですしね(笑)。

「馬の蹄を人間の足に見立てる」――馬を大切に考える日本人らしさ

装蹄に使用するカマ(左)とヤスリ(右)

装蹄に使用するカマ(左)とヤスリ(右)

――装蹄の仕事でこだわりなどはありますか?

自分のこだわりというよりも、日本の装蹄師のやり方だと思うんですが、蹄鉄は納品されてくる時は左右対称のU字型になっています。その蹄鉄を人間の足の形のように少しだけ親指から小指にかけて斜めに作ってから装蹄するようにしています。パッと見ただけでは分からないくらいの微妙な差なんですが、馬の蹄(ひづめ)をあえて人間の足の形に見立てるというところが、日本人らしいというか馬を大切に考えている証のようで、僕は好きなんですけどね。

また、道具類の準備には一番心を砕きます。爪を切るためのカマ研ぎは修行の第一歩で、今は弟子が担当していますが、かなりうるさく注意して切れ味が鋭くなるように仕上げさせています。僕も修行時代には「カマが切れないと息が切れる」とよく注意されて、装蹄師たちはカマの切れ味が悪いのを非常に嫌うんです。道具の使い勝手が悪いと仕上がりにも影響が出て質の良い仕事ができなくなりますし、何より馬に負担がかかります。弟子入りして最初にやるカマ研ぎの仕事が、一番重要な仕事でもあるということです。


――今後の目標などはありますか?

まずは得手不得手をなくして、安定した仕事ができるようになりたいです。馬の蹄は一頭ずつ全然違う形をしているのですが、その個性やいろいろな爪の形にもうまく対応して、平均して良い仕事ができるといいなと思っています。まだまだ試行錯誤は続きますが、体力が続く限り定年のない仕事なので、長く続けて行きたいですね。


競走馬のスピードとその寿命をも左右する装蹄のクオリティは、装蹄師たちの腕はもちろん、その道具にも支えられています。触るのも怖いほどに鋭く研がれたカマは、手早く作業を終わらせるためには必須のアイテムでした。
競馬場で注目を浴びる美しい馬たちは、彼らを育てる牧場スタッフはもちろん、装蹄師や厩務員などの多くの人たちの手と目がかけられ、ふんだんな愛情を浴びてあの大舞台に立っているんですね。今まで何気なく見ていた競馬中継も、思わず馬たちの脚元に注目してしまいそうです!


【profile】装蹄師 猪股謙二

この記事のテーマ
動物・植物」を解説

ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。

「動物・植物」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「装蹄師(そうていし)」
はこんな仕事です

馬の脚のツメを削り、馬のシューズである鉄の蹄を装着させる仕事である。馬の脚は細く長いために、さまざまなストレスが加わり、仔馬(こうま)のときから病気やトラブルの危険を抱えている。また、競走馬や競技場は、限界ぎりぎりまでの運動を強いられるため、けがや故障のリスクが高くなる。装蹄師は、ツメと蹄を管理することで、そのような問題を未然に防ぐ重要な役割を担う。装蹄師になるには、公益社団法人 日本装削蹄協会の認定資格を取得後、JRAや乗馬クラブなどに勤務するか、独立開業する道がある。

「装蹄師(そうていし)」について詳しく見る