【シゴトを知ろう】ジュエリーCADデザイナー 編
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CAD(キャド)というのは、コンピューター上で設計を行うシステムやソフトウェアのこと。そのCADを用いてジュエリーをデザインするのがジュエリーCADデザイナーの仕事です。ジュエリーCADデザイナーであり、オーダーメイドのジュエリーショップ「ジュエリースミス」の代表でもある大友浩さんに、そのお仕事内容を伺いました。
この記事をまとめると
- 事前にデザイン画を描く方法と直接CADでデザインする方法がある
- デザイン性と機能性のバランスをとることが難しい
- 向上心と危機感を持って仕事ができる人に向いている
人生の節目に関わるブライダルジュエリーはやりがいも大きい
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
私はブライダルジュエリーをデザインすることが多く、指輪とペンダントが全体の8~9割を占めています。ケースに応じて、デザイン画を描いてからコンピューターに読み込んで作り込む場合と、立体の完成図を想像しながら最初からCADでデザインする場合があります。商業デザインの場合はデザイン画が大切なので、一般的には前者のパターンが多いと思います。
<一日のスケジュール>
10:30 出社
午前中 社内ミーティング・業者やお客さんとの打ち合わせ・電話対応など
12:00 昼食
午後 デザイン・職人への指示出しなど
20:00 退社。帰宅後はネットで情報収集など
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
ブライダルジュエリーは、お客様の人生の節目に関わる大切なアイテムです。だからこそ「希望通りに出来上がった」とお客様に喜んでいただけたときは本当に嬉しいですね。
お客様からのオーダーに対しては、できるだけその場でアレンジを考えてご提案するようにしています。「こうした方がおしゃれですよ」「この場合はこのデザインがおすすめです」など、打ち合わせをしながら決めていくことが多いです。「どんなデザインがいいかわからない」というお客様の場合には、好みを引き出すところから始めます。サンプルをお見せしながら希望を探り、それを形にしていくのもデザイナーとしてのやりがいです。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
ジュエリーのデザイン性や流行を追求しすぎると、機能面に問題が生じる恐れがあります。例えばあまりにも華奢なデザインの指輪は、使っているうちに曲がったり削れたりしてしまうことがあるのです。いくらお客様が「このデザインがいい」とおっしゃっても、せっかくのブライダルジュエリーが一生使えないものになってしまっては嫌ですよね。もちろんご希望は優先しますが、場合によってはこちらからも提案しながら進めるようにしています。見た目の好みと耐久性のバランスをとることは難しいですね。
子どもの頃から馴染みのあったジュエリー業界
Q4. どのようなきっかけ・経緯でジュエリーCADデザイナーに就きましたか?
私はジュエリーを地場産業とする山梨県の出身です。子どもの頃から近所にはジュエリーの職人さんや販売職の人などが多く、ジュエリー業界はとても身近なものでした。
初めに勤めたのはジュエリーの卸売りの会社です。営業の仕事をしていましたが製造の現場に足を運ぶことも多く、手伝いをさせてもらうことありました。基本的なジュエリー製作のノウハウは、そこで身につけたものです。
Q5. ジュエリーCADデザイナーに就くために学んだことは?
ジュエリーデザインと製造に関する知識と技術は、独立してから実地で学びました。それまでは、製造のノウハウは知っていても技術が全くない状態。大切なのは貪欲さだと考え、あらゆることを現場で吸収していきました。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代は特にアートやデザインに興味があった訳でもなく、外に出かけるのが好きで釣りやバイトに熱中していました。ただ、小中学生の頃から通学路に宝石製造や販売の店がたくさんあり、ジュエリーに馴染みはありましたね。
仕事が大変なのは当然。その中で楽しさを見つけてほしい
Q7. どういう人がジュエリーCADデザイナーに向いていると思いますか?
どんな仕事でも同じだと思いますが、向上心のある人。ジュエリーデザインや製造の仕事でも、ある程度のルーティンがあります。その中で「いかにキレイに、効率よく仕上げるか」と考えられる人が向いていると思います。向上心のない人は後から入ってきた若い人にどんどん先を越されてしまいます。ジュエリーデザイナーには、常にそういう危機感を持ち続けることも必要になります。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
ラクにお金を儲けられる方法はありません。「仕事が大変」というのは当たり前のことなんです。それをわかった上で、「大変な中でどうやったら楽しく仕事ができるか」を考えてほしいと思います。そのための一つの方法がアルバイト。接客業でも製造業でも、学生時代にいろいろな種類のアルバイトを経験することで、自分に向いているもの、好きなものが見えてくるのではないでしょうか。
デザインを手掛けるジュエリーのほとんどがブライダルジュエリーだという大友さん。人生の節目を彩るジュエリーに携われることは、大きなやりがいになるそうです。一方で、お客様の好みのデザインと機能性を両立させるには難しさもあるようです。CADの技術だけでなく、ジュエリーそのものに対する深い知識も必要な仕事なのですね。
【profile】ジュエリースミス青山 代表 大友浩
http://smith-jewelry.com/
この記事のテーマ
「ファッション」を解説
ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウ、感性やセンス、そして技術を駆使し、世の中に新たな流行を生み出すビジネスです。主に、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。この仕事をめざすには、作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につける他、資格取得をめざす場合もあります。
この記事で取り上げた
「ジュエリーCADデザイナー」
はこんな仕事です
主に貴金属や宝石を使った指輪やブローチなどのアクセサリーを設計する仕事。最近はCADソフトでデザイン画を描いて設計図を起こすので、従来のように手作業で原型を作るよりも精巧なデザインが可能。実際、アクセサリーメーカーやブランドのデザイン部門で働くデザイナーの多くは、CADデザイナーでもある。アクセサリーの構造と素材の知識、美的センスは必須。数多い教育機関や専門講座などで技術を学ぶとよい。企業に勤めて仕事を始める場合は、企画提案、発注業務、生産管理などのビジネススキルも重要になってくる。
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