【シゴトを知ろう】アニメ監督 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】アニメ監督 ~番外編~

2017.02.13

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】アニメ監督 ~番外編~

リアルな絵にシュールな笑いを組み合わせた作品にファンの多いアニメ監督の谷口崇さん。数々の賞を獲りヒット作を生み出してきたモチベーションには、キラキラした美大生への憧れと嫉妬があったようです……。そのきっかけになった衝撃的な事件とは? 詳しく伺いました。

この記事をまとめると

  • 悔しさが大きな糧になることがある
  • アウトプットの形が違うだけでどの仕事もやることは同じ
  • アニメ制作会社に入って経験を積むか自主制作からスタートする方法がある

エリート美大生への敵対心を糧にしてきた

――谷口さんは高校時代は漫才師を目指していたそうですが、大学でアニメを作り始めたきっかけは何だったのでしょうか

もともと小中学生の頃は漫画家を目指していたので、子どもの頃から絵は描いていました。人を笑わせることが好きで高校生のときに漫才コンビを組みましたが、相方と大学がバラけてしまったことを機に解散してしまい、大学では舞台慣れしておきたくて演劇部に入りました。演劇部では演じるだけでなく絵を描くこともありましたし、脚本にギャグを入れることもありました。それら全てを1人で形にできるのがアニメではないかと思い、アニメを作るようになりました。


TOHOシネマズ劇場幕間アニメ『ねた実そね美』

――今の作風は子どもの頃からのものなんですか?

いえ、高校生の頃まではしっかりした綺麗なデッサンを描いていました。今の作風が生まれたきっかけは、美術系の大学に入るために通っていたデッサン教室でのことでした。

そのデッサン教室は2つのコースに分かれていました。一つは一般の美大を目指すコースで、もう一つはエリート美大を目指すコースでした。僕は一般コースに通っていたのですが、あるとき僕らが課題で描いた絵がエリートコースのクラスに運ばれ、「この絵の悪いところを指摘せよ」という授業が行われているのを見てしまったんです。笑いながらダメ出しをするエリートたちを見て「こいつら……」と怒りが湧いてきました。それならこの教室で学んだ技術を使って下品で愚劣な作品を作り、それを世に広めてやることが僕の復讐だ! と思ったんです。あのパステルカラーの空気を醸し出したキラキラしたエリートたちの笑顔は未だに忘れられません……。


――壮絶な体験でしたね……。ところで前職はメーカー勤務とのことですが、どのようなお仕事をされていたんですか?

新卒で入って6年ほど商品開発の仕事をしていました。マーケティング戦略にもとづいた商品開発や、案を通すためのプレゼンの仕方はそこで学びました。アニメ監督にもそういう視点やスキルは求められるので、当時の経験が役立っています。
この業界に憧れを抱いて入ってくる人もいますが、実はメーカー時代も今も、仕事の9割くらいは同じような内容なんです。最終的に何を出すかの1割が違うくらいで、実際にやることはどの仕事でも変わらないんだなと感じています。


――異業種の経験が生きているんですね。でも新卒でアニメ業界ではなくそのメーカーに入ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか

当時そのメーカーは大喜利のようなユニークな採用試験をしていて、テレビでもよく取り上げられていたんです。その試験を、僕が敵視していた側にいたキラキラ美大生の先輩が受けて落ちたと聞いて、受けることにしました。結果僕は受かり、一つ復讐を果たせたと感じました(笑)。


――負の感情をエネルギーに変えてきたんですね……。そのスタンスは作品作りのベースにもなっているのでしょうか

僕の作風が正統派の路線に向かうことは一生ないと思います。むしろ太い幹にどこまでも絡みついて伸びていくツタのように、メインストリームを行く作品にくっついてその幹を枯らしてやろうというのが僕のスタンスです。そうして作ってきたバカバカしい作品は企業の広告に採用されたり、映画館やテレビでも流れました。キラキラしたエリート美大生たちが目指している世界に、こんなくだらないもので出てやったぜ! という表現の仕方なんです。……あくまでもパロディ精神であり、幹あってのツタなので、枯らせることは一生ありませんが(笑)。

一世を風靡したあのアニメは悔しくて観れない……

――アニメ監督にはどうしたらなれるのでしょうか

僕は自主制作からスタートして経験を積んだ上でアニメ制作会社に入りました。一般的にはアニメ制作会社に入り、アシスタントディレクターとして技術やノウハウを学んでから監督になるパターンが多いと思います。フリーランスとして活動する人もいれば、より大きな商業アニメを手がけたくて会社に所属する人もいます。


――谷口さんはアニメ監督になるために特別なスキルは必要ないと考えていらっしゃるそうですが

はい。絵が描けなくても脚本が書けなくても、企画が頭に描けて指示が上手にできれば監督にはなれます。人と話ができて、しっかりしていて、やる気があればいいのではないでしょうか。そのやる気の源もお金でも何でもいいと思います。


――それでも谷口さんのように1人で全工程の作業ができるというのは、アニメ監督としては強みになるのでしょうか

僕の場合はそれが強みです。笑いのセンスだけであればもっと面白い人はいますし、もっと綺麗な絵を描ける人もたくさんいます。でも僕のように1人で全ての工程ができる人はあまりいません。また、いくら優秀な監督でも人に指示を出すと良くて8割しか伝わらなかったりしますが、1人で作ると絵も台詞回しも間の取り方も、全て思った通りに作れるというメリットもあります。


――2016年は『君の名は。』がアニメ界の記録を塗り替えるヒットとなりましたが、他の監督の作品を観ることもありますか?

『君の名は。』はまだ観ていません。本音を言うと悔しくて観れません……。


――それは売れ筋作品への反発心からでしょうか?

いえ、観ればきっと感動するんだろうなと思いますし、作品への悪い感情は全くありません。売れ筋ということについても、そこを狙って成功できるのも才能だと思います。キラキラ美大生への屈折した感情も同じで、その人たちの描く絵は技術も高いし、綺麗で良い絵だと思うんです。単純にちやほやされていることが悔しいだけです(笑)。

既読スルーされているときに便利なLINEスタンプ

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――でも谷口さんも人気者ですよね。Twitterでのネタ画像もよくリツイートされていますが、そちらは純粋に作りたいものを作れる喜びがあるのでしょうか

Twitterは一番好き放題にやれる場所です。母親も見ているので下品なネタは一応はセーブしていますが。でもあまりに好きに描いていたら病んでいると思われたようで、先日も同業者の人に「最近どう……?」と遠回しに心配されました(笑)。

最近感じるのは、同じような作風でやってきた作家仲間が近頃真面目になってきているんじゃないかということです。そうした意味でも、自分はより一層バカバカしい作品を作っていきたいなと思っています。


谷口さんはギャグアニメ作家という仕事柄、普段の取材ではシュールな受け答えで質問をはぐらかすこともあるようですが、今回は将来を考える高校生のためということで真面目に答えてくださいました。シニカルでありながら誰も傷つけない、むしろイジられた側が嬉しくなるような作風にはその人柄が表れているように感じました。


【profile】株式会社ディー・エル・イー 谷口崇
HP:http://mc.adkda.net
Twitter:@ t2homet2home
株式会社ディー・エル・イー:http://www.dle.jp/

この記事のテーマ
マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説

若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。

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この記事で取り上げた
「アニメ監督」
はこんな仕事です

アニメ作品の制作を取りまとめる監督者である。劇場用作品の場合、自身が書く場合もあるが、基本的には脚本家が書いた脚本を基に、絵コンテを制作してアニメーターに指示を出す。作品のメッセージが観客に届くように自分ならではの表現を込めて、作画・撮影・音楽・編集・声優などへの演出を行う。アニメ制作に関してだけでなく、映像・映画についての知識も役に立つ。近年、長年のアニメーターの経験を生かして監督に選ばれたという人も多いが、コンピュータを駆使して一つのアニメ作品のすべてを一人で制作することも不可能ではない。

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