【シゴトを知ろう】地図編集者 編
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身近なものでありながら、その制作現場を知る機会は滅多にない「地図」。日々そんな地図と向き合う、地図編集者の仕事とはどんなものなのでしょうか。大学2年生のときから株式会社平凡社地図出版でアルバイトを始め、大学4年生である現在も業務の手伝いをし、2017年4月から正社員として地図職人の道を進む中島さんに、お話を伺いました。
この記事をまとめると
- 地域の見方などの視点が広がることがやりがいの1つ
- 地図編集者に向いているのは、人にわかりやすく説明する表現力がある人
- 地図を作る仕事に興味があるなら、まずはしっかりと地図について学ぶこと
地図をつくり続けること自体がやりがい・視点が広がる楽しさ
Q1.お仕事の概要と、一日のスケジュールを教えてください。
僕はまだ地図職人見習いという立場なので、大きな地図の編集は任されていませんが、大型本の中にあるような、ある特定のテーマ・データに特化した小さな地図などを編集するのが最近の主な業務です。
まずは資料を集めてテーマについて調べ、基礎知識を身につけてから、どんな地図を作るべきかをイメージします。それが出来たら上司に相談し、あとは実際に地図を作っていく作図の作業ですね。今はそうしたテーマごとの小さな地図を、大体一日で一つ完成させるというペースで、今は仕事をしています。
<一日のスケジュール>
8:45 出社
9:00 作成図の仕様書の確認
9:30 作図のための資料収集と確認
12:00 昼休み
13:00 作図の開始
16:00 作図した地図を編集長に提出
16:45 編集長から指示された箇所の修正
18:00 終業
Q2. お仕事をされる中で、やりがいや楽しさを感じるのはどんなときですか?
まず、好きな地図を作り続けられること自体がやりがいです。自分一人の手では、まだ完璧な地図を作ることは難しいのですが、先輩方にアドバイスを貰いながら試行錯誤し、完成した地図見たときには嬉しくなります。また、地域の見方など、新しい視点がどんどん広がっていくことも、この仕事の楽しさだと思います。
Q3. お仕事の中で大変さや苦労を感じるのはどんなときでしょうか?
小さな地点の名前一つ入れるにも慎重にならなければならない仕事なので、すごく細かい情報まで調べる必要があります。それは楽しさでもありますが、大変なことでもありますね。
また、自分で編集した地図が良く出来たと思っても、キャリアの長い先輩方から見ればそうではなく、やり直しになることも多いです。その後、念入りに調べ直すところから再度やってみると、自分が未熟だったことがわかり、気づきや次への自信に繋げることができます。
大学で受けた講義をきっかけに、アルバイトを経て地図の道へ
Q4. 現在のお仕事を志すようになったきっかけを教えてください。
大学時代、弊社編集長でもある前島さんの講義を受けたのをきっかけに、弊社でアルバイトをさせて貰うようになりました。その後就職活動をする中で、改めて地図を作る仕事を続けたいと思い、弊社への入社を希望しました。2017年4月からは正社員として、豊富な知識を持つ先輩方の下で一流の地図職人を目指します。
Q5. 大学ではどのようなことを学びましたか?
地図に関係することを幅広く学びました。1年の頃に地図に興味を持ち始め、それからは地図編集についての授業や、測量を実際に行って測量図を作る授業などで学んでいきました。それに加えて、平凡社地図出版でのアルバイトで学んだことも大きいです。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校に入ったばかりの頃は、大学進学すらも頭になく、卒業後は地元である新潟で働ければいいかな……。なんて思っていました。それが変わったのは高校2年生のときです。2年生のときの地理の先生が地理学科出身で、地理に本当に詳しく、説明もわかりやすくて。その先生の話を聞いているうちに、地理を本格的に勉強したくなり、地理学科への大学進学を決めました。その経験が現在につながっています。
地図のことをよく知らなければ、地図を作ることは出来ない
Q7. どういう人が地図編集者に向いていると思いますか?
自分が見たものや感じたものについて、人にわかりやすく説明できる表現力がある人は、地図編集者に向いていると思います。
あとは地図に限ったことではないかもしれませんが、スケジュールに合わせた制作が出来ることが重要なので、期限をしっかり守れる人が向いていますね。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
地図編集者を目指すなら、大学に行って地図について学ぶのが一番です。
地図のことをよく知ることで、地図を作る技術が身についてきます。僕は地図の歴史や編集方法など、いろいろな細かいことまで、大学の地理学科で学ぶことができ、すごく良かったと思っています。もし、地図を作る仕事に興味があるのならば、まずはしっかりと学べる環境を探してみて下さい。
高校時代の先生との出会いを機に地理に興味を持ち、大学では授業とアルバイトで地図について深く学んできた中島さん。「地図のことをよく知ることで、地図を作る技術が身についてくる」という言葉には重みがありました。地図編集に限らず、気になる仕事があればまずはそれについて学べる場を探すことで、その仕事への理解も深まるのではないでしょうか。
【profile】
中島健太 2017年 株式会社平凡社地図出版に入社予定
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「地図編集者」
はこんな仕事です
縮尺などによって異なる情報を整理して、正確かつ目的に合った地図を作っていく。制作する地図1ページ(1枚)に求められる情報量を考慮して、最適と思われるトリミング(図郭)や文字のサイズや種類、全体の色のバランスを決定する。区・市・町・村、山や河川などをどの程度掲載するのかも選定。地図制作者に指示を出すなど、総合的に作業を進行していく。また将来の地図制作のために、道路や地形の変更に伴うデータの修正やメンテナンスも行う。主に地図専門出版社やパンフレットなどの印刷物制作会社で活躍する。