【シゴトを知ろう】点訳者 編

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【シゴトを知ろう】点訳者 編

2017.02.14

提供元:マイナビ進学編集部

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【シゴトを知ろう】点訳者 編

目の見えない方が触って読む文字を「点字」と呼ぶのは、みなさんも知っていることでしょう。では、今、みなさんが目で読んでいる活字や手書きの文字である「墨字(すみじ)」を、点字にする仕事があることをご存じですか? そのような職業のことを「点訳者」といいます。

この記事では、日本盲人会連合 点字出版所の中山 敬さんに、点訳者のお仕事についてお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • ルールに従い点訳したあと、1字1字を細かく校正する
  • 大学で学んだ文化人類学が、現在の仕事にも生きている
  • 点訳者を目指すなら、まずは点字出版所や点字図書館を訪れてほしい

点字を通して、多くの人や新しい表現と出会うことができる

製版した紙を挟み、ローラーに通して印刷していく様子

製版した紙を挟み、ローラーに通して印刷していく様子

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
 
私の勤務する点字出版所では、主に東京都内の市や区の広報を点字にして、個人宅や図書館に発送しています。

また、点字図書館という、小説やエッセイなどを中心に点訳している機関もあります。ベストセラーのような人気のある本は、発売して半年もすれば点字図書として借りることが可能です。

一般的な点字は、数字・アルファベット・カギかっこなどの記号以外は「カナ書き」です。つまり、すべて平仮名で書かれているようなものなんですね。平仮名だけで書くと、意味を取り違えやすくなるので、それを防ぐために、意味や発音を考慮して所々にスペースを入れるなど、独特のルールがあります。そのルールにしたがって、読みやすく分かりやすい点字にしていきます。

墨字から点字に点訳するときに間違えることもありますので、点訳したものは他の人が校正します(誤りを直し、正すこと)。点訳者は校正者でもあるんですよ。ほかの点訳者が点訳した点字を、助詞など間違っていないか、点字のルールに反していないかを、1字1句細かく丁寧に校正することも点訳者の仕事です。

<ある一日のスケジュール>
08:45 出勤。メールチェック
09:00 朝のミーティング
09:15 『○○区議会だより』の点訳(点字で約130ページ)
12:00 昼食
13:00 『○○区広報』(点字訳150ページ)の校正、企業や自治体から点字についての問い合わせと相談
16:00 『○○区議会だより』点字100ページを53部印刷
17:15 退勤

仕事が集中するときは、残業することもあります。
 
 
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
手話や点字は知らなければ何も理解できません。一般の方とは違う特別な能力だと思います。点字が印刷された紙は真っ白です。でも、私たちは目で読むことができます。会議や研修会も、点字の資料があれば目の見えない人たちとも一緒に参加することができるんです。

また、点字出版所や点字図書館は全国組織に加盟しているので、研修会などで、ほかの点字出版所や点字図書館の職員と交流する機会が多くあります。このように、点字を通していろいろな人に出会えることに楽しさを感じますね。

仕事では、自分からは手にしないような本を点訳したり校正することもよくあり、予想もしなかった世界を知ったり、多彩な表現に出会うこともあります。日々新しい表現の発見があり、それをどのように点字にしていこうかと考えています。とてもワクワクしますよ。 
 
 
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
 
点字が世の中で理解されていないことです。今、街中で点字をよく見かけますが、その点字が間違っていることも多いのです。あるホテルのエレベーターでは上下さかさまに点字が貼られていました。そのことをフロントの従業員に伝えましたが、あまりピンときていないようでした。

未知の世界への好奇心が、現在の仕事にもつながっている

ローラー印刷機を使う中山さん

ローラー印刷機を使う中山さん

Q4. どのようなきっかけ・経緯で点訳者の仕事に就きましたか?
 
目が見えない伯父に手紙を書こうと思ったことがきっかけです。私とよく遊んでくれた伯父は、私が10歳のころに病気で目が見えなくなりました。伯父の家には、点字の新聞が積まれていたのを覚えています。

大学卒業後、大阪にあるカルチャースクールで点字を学びました。その先生が神戸の点字出版所を紹介してくださりアルバイトをはじめ、そのあと、正社員となりました。 
 
 
Q5. 大学では何を学びましたか?
 
大学では文化人類学を専攻しました。文化人類学のテーマは「異文化理解」、つまり自分にはなじみのない世界を学ぶことです。同時に、相手の立場や考え方から自分を見つめ直すことも学びます。ゼミの先輩のひとりは「障がい者」をテーマにして、盲学校でも勤務していました。

目が見えない方の日々の暮らしに役立つ点字の世界は、私には想像を超えるものですし、この先も100%理解できるとはいえない世界です。その世界で働くことへの心構え、心の持ち方は文化人類学で学んだことが役立っています。 
 
 
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
外国なども含めて、未知の世界への興味や知識欲が旺盛だったと思います。一方で、何か世の中の役に立ちたいと思っていました。点字のプロとして働くことでこれらが実現できたと思います。

注意深さとコミュニケーション能力が大切な仕事

ノルウェー製の点字プリンタ

ノルウェー製の点字プリンタ

Q7. どういう人が点訳者の仕事に向いていると思いますか?
 
丁寧に、こつこつと、注意深く仕事に取り組める人です。点訳したあとは校正が必ず必要ですので、校正する方とのコミュニケーション能力も必要です。

決して華やかな仕事ではありません。漢字仮名交じり文を、すべて平仮名にし、読みやすいように言葉を区切っていきます。「上手」という見た目は簡単な漢字でも、文脈によって「じょうず」「かみて」「うわて」と読み分けられなければいけません。

また、点訳者に必要なコミュニケーション能力とは、「言葉を大切に丁寧に扱える力」「相手を尊重できる力」を指します。社交的でなくてもかまいません。言葉が相手にどのように伝わるかを敏感に感じ取れる人は、この仕事に向いています。 
 
 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
 
この仕事ではいろいろな本を点訳しますので、学校での各教科の勉強が基礎的な知識として役に立ちます。興味のある教科を中心に丁寧に向き合ってください。

また、各都道府県に点字図書館が必ず1つ、多いところは3~4つあります。点字出版所はすべての都道府県にはありませんが、全国で30か所以上あります。インターネットで調べて、お近くの点字出版所や点字図書館を訪れてみてください。点訳者に直接会っていろいろ質問してください。そして、ぜひ仕事も体験してみましょう。点字を読む人に会って話を聞くのが、一番必要な勉強であり経験です。現場に行ったときは、きっとみなさんウエルカムで迎えてくれますよ。
 
 

点字は、目の見えない方にとっての大切なコミュニケーションツールです。読む相手の気持ちを尊重しているからこそ、点訳者の方は、間違いがないよう慎重に点訳に取り組んでいるのです。このような考え方に共感をした人は、ぜひ、点字を読む人にお会いして話を伺ってみてはいかがでしょうか?
 
 
【profile】日本盲人会連合 点字出版所(日盲委視覚障害者選挙情報支援プロジェクト 点字版事務局) 中山 敬

【取材協力】
社会福祉法人 日本盲人会連合
http://nichimou.org/braille-corporate/braille/
社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会
http://www.thka.jp/

この記事のテーマ
福祉・介護」を解説

現場で福祉を担う介護福祉士などのスペシャリストや、福祉サービスの企画・提案ができる人材を育成します。通常の生活を営むことが困難な人の生活を助けるための専門知識、技術を身につけ、職種により就業に必要な資格取得を目指します。高齢化が進む中、精神的なケアや寝たきりを防ぐための運動指導など、必要な専門知識や技術も幅広くなっています。

「福祉・介護」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「点字通訳者」
はこんな仕事です

目で読む普通の文字「墨字」を、縦3点・横2点の6点を組み合わせた視覚障がい者が用いる文字「点字」に翻訳する仕事。点字の翻訳に資格は必要ないが、点字が読み書きできることが前提となる。点字を書く場合は点字器という道具を使用し、点筆と呼ばれる針のような物で紙に突いて書く。従来は点訳者が1点1点手打ちしていたが、現在はパソコンによる自動点訳やデータ化が可能になった。点訳者は、ただ墨字を点訳するだけではなく、こうした点字の道具や歴史的背景など視覚障がい者を取り巻く環境を理解することが必須。

「点字通訳者」について詳しく見る