【シゴトを知ろう】仲居 編
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温泉宿や旅館へ行くと、笑顔で迎えてくれる仲居さん。仲居さんのおもてなしによって、その温泉宿や旅館の評判を左右するといってもいいほど、とても重要な役割を担っています。
今回は、人気の温泉地である草津温泉で300年以上の歴史を誇るホテル一井の野田有希さんに、仲居のお仕事内容や魅力についてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 仲居は、ホテル・旅館業界で一番お客様と関わる時間が多い
- 日本の文化や伝統を深く学び、発信することができる
- 誰かをおもてなししたい、幸せにしたいと思える人は仲居の仕事に向いている
お客様からの「ありがとう」が大きなやりがいに
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えて下さい
仲居は、ホテル・旅館業界の役割の中で一番お客様と関わる時間が多い仕事だと思います。普段の仕事内容は、まずお客様が到着されたらお迎えに行き、お部屋にご案内します。その後、ご夕食(宴会、部屋食、またはレストラン会場)、翌日のご朝食を提供します。最後にお見送りをする場合もあります。勤務スタイルは2パターンあり、「なか抜け勤務」と「通し勤務」があります。
<ある一日のスケジュール:なか抜け勤務>
06:00 出勤
07:00 朝食開始
08:00 片付け・次の宴会のセット
09:30 退勤
〜なか抜け休憩〜
16:00 出勤
17:00 料理つけ
17:00〜17:30 休憩
17:30〜 料理つけ
18:00ごろ 宴会・お食事開始
20:00 宴会終了・片付け・次の宴会のセットなど
21:30 退勤
<ある一日のスケジュール:通し勤務>
13:30 出勤
13:30 夜の宴会準備
14:00 お客様を部屋に案内
17:00 休憩
17:30 料理つけ
18:00 宴会・お食事開始
20:00 宴会終了・片付け・次の宴会のセットなど
21:30 退勤
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
ホテルには、全国各地からさまざまな年齢のお客様がいらっしゃいます。主に、ご年配の夫婦・カップル・家族連れの方が多いですね。ご案内の際中には「草津には◯度目なのだよ、昔はこうだったのになんか変わったよね?」などと昔の草津のお話、そして出身地やご到着されるまでの道中の話や、今働いている仕事の話など多岐に渡る内容のお話をします。お客様との会話の中で、自分の知らないことを知ることができ視野の広がりを感じることができ楽しいです。
また、お食事終了時などに、お客様から「ありがとう、おいしかったよ」と言っていただいたときはとてもやりがいを感じます。
Q3. 仕事で大変なこと・辛いと感じることはありますか?
お客様をお部屋にご案内した際、お部屋で館内の説明をするのですが、最初はどこの建物になにがあるか分からず、どのような順番で説明をすればいいのかも分からなかったので、そのときは苦戦しました。また、ご夕食・ご朝食の準備や料理の内容説明、料理を出す準備・片付けなど覚えることがたくさんあり大変でした。
今でも、自分の担当場所で掛け持ち(例えば、お部屋食で3~4部屋担当するとき、宴会で2つの宴会を持つとき)がある場合でお客様に寄り添えないと感じるときは、まだまだ未熟だなと感じます。
仲居は日本の文化や伝統を深く学び発信できる仕事
Q4. どのようなきっかけ・経緯で仲居の仕事に就きましたか?
私は大学生でバイトをしていたとき、サービス業で大事なのは「お客様が求めていることを五感で感じる」ということを学びました。また、「和(わ)」が好きなので、日本文化や日本の伝統を深く学び発信することができる、温泉、旅館でお客様をもてなし、喜んでもらいたいと思ったのがきっかけです。
ゼミ活動では合宿係りを担当し、1年に3回合宿の企画を行い、当日の進行・運営などを行いました。合宿の終わり際に参加者のみんなから「ありがとう」と笑顔で感謝の言葉をもらってうれしかったことを覚えています。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学では小学校教諭の免許を取得するコースを専攻し、ゼミは心理学を学んでいました。ゼミでは、自分と他者との関係性について研究し、誰が読んでも理解できるように分かりやすい論文を心がけて執筆しました。今、仕事をしているときにお客様から質問を受けた際は、分かりやすく丁寧に説明し、他にどのようなことに興味がありどのような内容を話せば親近感を持ってくれるのだろうか、などを考えながらお話しています。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校生のころの夢は保育園の先生でした。高校時代から、周りの人たちには「初対面でも仲良くなれるよね」と言われることが多かったです。そのころから人と関わることが好きで、その点は現在の仕事につながっていると思います。
誰かを喜ばせたいという気持ちが一番大切
Q7. どういう人が仲居の仕事に向いていると思いますか?
人と関わることが好きな人なら向いていると思います。特に、誰かをおもてなししたい、誰かを幸せにしたい、と相手のことを考えることが好きな人は向いているのではないでしょうか。加えて、サービス精神がある人がよりいいのかなと思いますね。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします
誰かをハッピーにしたいと考えている人は、誰かをハッピーにすることで自分自身の幸せにつながります。また、全国各地からさまざまなお客様がいらっしゃいます。そのため、有名な温泉や近隣の温泉・観光地について、普段からニュースをチェックしておくと、お客様との会話にも花が咲き、自分自身も楽しめると思いますよ。仲居の仕事に興味がある人は、自分で温泉地に足を運び、宿泊してみるのもいいかもしれませんね!
仲居という仕事は、お客様が心地よく旅館に滞在できるようにおもてなしをする仕事です。日本の伝統的な仕事であり、その伝統を受け継いでいくことができるとても貴重な職業だと言えるでしょう。お客様と密に接する仕事がしたいと思っている人はもちろん、日本文化や伝統に興味がある人にもおすすめの職業ですよ。
【profile】草津温泉 ホテル一井 野田有希
http://www.hotel-ichii.co.jp/
この記事のテーマ
「旅行・ホテル・ブライダル・観光」を解説
ゲストに非日常的なサービスや空間を提供し、心身のリフレッシュを手伝うとともに、心に残る思い出となるように努めることが、旅行・ホテル・ブライダル・観光の仕事に求められる役割です。接客技術やサービス精神を磨くことが不可欠。また外国からの観光客をもてなすための語学修得も必要になります。
この記事で取り上げた
「仲居」
はこんな仕事です
日本旅館の客室係という立場で和服姿で働く従業員のことを指す。玄関で客を出迎えた後、部屋へ案内してからお茶を入れたり、室内設備や浴場、宴会場などの案内、周辺観光情報を紹介したりする。忙しいのは食事の時間帯で、部屋食の場合は食事のペースを測りながら調理場と連携して順に料理を配膳。メニュー内容を事前に頭に入れておき、客に旬の味覚や料理法などを説明する。勤務は早朝からで、館内を動き回るため体力もいるが、客から直に謝意を聞けるのは大きな喜び。日本の伝統やもてなしの心を受け継ぐ仕事だといえる。
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